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遊戯は続く。
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私は勢いよく体を起こしました。すぐに確認したのはカレンダー。
「……三月」
――そう、繰り返しの日々に戻っていたのです。
「え……?」
窓際の小机の上にあったのは――イヴが持ち歩いていた書、好感度が記されていたものでした。
「どうして……」
持ち主のイヴは? どうしてここにあるというのです?
私はどうしてもいてもたってもいられなくて――。
「……」
朝イチで使用人から知った事実。イヴは――辞職したのだと。
「……あなたこそ、何も言わないではありませんか」
窓際の椅子に座った私はごちていました。挨拶もなく、行く先を告げず。息災であると信じるしかない身であって。
「……見てしまいますわよ?」
当初のものより倍となってしまっている厚み。イヴ、記憶の共有に必死だったことが伺えますわ。
「……存じなかったのです」
イヴがどれほどの想いを抱いていたのか。どれだけ思い悩ませてきたのか。彼が従者としての責務を全うしていたのだと……馬鹿ね、私は。職務を越えて私を助けようとしてくれていたのでしょうに。
「……読めば、あなたがわかるのかしら」
最初の頃、書き殴られたページをチラ見したけれど。頑なに書かれていたのは――自分はセレステであるのだと。ほら、あなたはセレステでしょう……?
「……?」
どこか胸にひっかりがありますけれど。
「……好感度のページ、許してくださいまし」
一緒に確認していたものですわ、ご容赦くださいませ。
「殿下……」
好感度のページ。四人の殿方は薔薇を持ってらっしゃる――殿下もでした。好感度は底をついたものですが、あの殿下を目した身からすると、あえてセーブしていたのでしょうか。
「もし、イヴもそうなら――」
私は息を呑みながら次のページをめくるのです。そう、イヴが――。
「……そうでしたの」
イヴの項目がすぐに目に飛び込んできました。彼の器は――とっくに満杯でした。氷のように固められていて、溶けることのない――揺るぎないもの。そんな彼の思いを目の当たりにした私は、どう思いにしたら良いのか。
「……イヴ。まずはあなたがどこに行ったかですわね」
――ええ、イヴ。あなたと私の恋愛遊戯を始めましょう。好感度はこうであっても、あなたに辿り着くことからですもの。
そう、あなたが最後の相手だと――。
「ん?」
次のページもまたがって四分割にされてますわね?
「……んん?」
というか、イヴ以外の項目、でかでかとハテナマークが……?
「なんてこった、でしてよ!?」
ええ、自室ですから遠慮なく叫びますわよ!? な、なんてことですの!?
イヴ以外……隠しキャラということでしょうか。その……彼らも対象であると? こんなにもハテナマークが主張している方々と?
『あの不思議な書、そちらに記された人物。彼らが歪みの影響を受けている』
……そういったお話でしたわね。
記された――今回で隠しの方々も加わったのだと。
「……しっかりなさい、私」
従姉の早口アドバイスを思い出すのです、私! 彼女、隠しのことも触れていましたわ、確か!
「それにですわ――私が向き合うはイヴ」
一つ一つ、乗り越えていきましょう。そう……まだ遊戯は続いているのですから――。
「……三月」
――そう、繰り返しの日々に戻っていたのです。
「え……?」
窓際の小机の上にあったのは――イヴが持ち歩いていた書、好感度が記されていたものでした。
「どうして……」
持ち主のイヴは? どうしてここにあるというのです?
私はどうしてもいてもたってもいられなくて――。
「……」
朝イチで使用人から知った事実。イヴは――辞職したのだと。
「……あなたこそ、何も言わないではありませんか」
窓際の椅子に座った私はごちていました。挨拶もなく、行く先を告げず。息災であると信じるしかない身であって。
「……見てしまいますわよ?」
当初のものより倍となってしまっている厚み。イヴ、記憶の共有に必死だったことが伺えますわ。
「……存じなかったのです」
イヴがどれほどの想いを抱いていたのか。どれだけ思い悩ませてきたのか。彼が従者としての責務を全うしていたのだと……馬鹿ね、私は。職務を越えて私を助けようとしてくれていたのでしょうに。
「……読めば、あなたがわかるのかしら」
最初の頃、書き殴られたページをチラ見したけれど。頑なに書かれていたのは――自分はセレステであるのだと。ほら、あなたはセレステでしょう……?
「……?」
どこか胸にひっかりがありますけれど。
「……好感度のページ、許してくださいまし」
一緒に確認していたものですわ、ご容赦くださいませ。
「殿下……」
好感度のページ。四人の殿方は薔薇を持ってらっしゃる――殿下もでした。好感度は底をついたものですが、あの殿下を目した身からすると、あえてセーブしていたのでしょうか。
「もし、イヴもそうなら――」
私は息を呑みながら次のページをめくるのです。そう、イヴが――。
「……そうでしたの」
イヴの項目がすぐに目に飛び込んできました。彼の器は――とっくに満杯でした。氷のように固められていて、溶けることのない――揺るぎないもの。そんな彼の思いを目の当たりにした私は、どう思いにしたら良いのか。
「……イヴ。まずはあなたがどこに行ったかですわね」
――ええ、イヴ。あなたと私の恋愛遊戯を始めましょう。好感度はこうであっても、あなたに辿り着くことからですもの。
そう、あなたが最後の相手だと――。
「ん?」
次のページもまたがって四分割にされてますわね?
「……んん?」
というか、イヴ以外の項目、でかでかとハテナマークが……?
「なんてこった、でしてよ!?」
ええ、自室ですから遠慮なく叫びますわよ!? な、なんてことですの!?
イヴ以外……隠しキャラということでしょうか。その……彼らも対象であると? こんなにもハテナマークが主張している方々と?
『あの不思議な書、そちらに記された人物。彼らが歪みの影響を受けている』
……そういったお話でしたわね。
記された――今回で隠しの方々も加わったのだと。
「……しっかりなさい、私」
従姉の早口アドバイスを思い出すのです、私! 彼女、隠しのことも触れていましたわ、確か!
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一つ一つ、乗り越えていきましょう。そう……まだ遊戯は続いているのですから――。
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