(改稿版)あら...私は一欠片も悪くありませんわよ?

神谷 絵馬

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3 : 我が儘娘は、どちらかしら?

13 ~シェリーside~+

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「もう!嫌よ!!
なんで、私がこんなことをしなくちゃいけないのよ!!
私は、この家の子供なのよ?!
貴族っていう、高貴な人間なの!!
なによその目!!」

「ハァー、奥様?
どうやら、この子は私の手には負えませんわね。
今まで通り、アリアお嬢様とリュシーお嬢様の授業はいたしますが、この方の授業は出来かねますわ。
そもそも、人の言葉を理解出来ない人間に何も教えることはありませんもの。

あぁ、それと、この方を養女となさるのはお止めになられた方がよろしいわ。
この方の仰る通りに、この方が高貴な人間であるのならばそれ相応の振る舞いが必要ですわ。
ですが、この方は何も出来ておりませんのよ?
この方が社交界に出るのならば、この家の恥としかなりませんわ。」

「なんですってぇー?!
アンタ!何様よ!!
私に対して失礼だわ!!」

───パシンッ───

「失礼なのは貴女でしょう?
目上の方に対して、アンタだなんて...貴女は指導を受ける立場でしょう?
高貴な血筋を持っていたとしても、それに伴う立ち振舞いが出来なければ嘲られ蔑まれるだけですわ。
最低限のマナーすら出来ないのであれば、この家の養女にはなれませんのよ?
それを学ぶ為に来てくださっている先生に対して、暴言を吐かないでちょうだい。

ジュリア様、本日は、突然の依頼を受けてくださりありがとうございました。
このような結果となり、大変申し訳ございませんでした。
もうお帰りになられて大丈夫ですわ。」

「それでは、帰らせていただきますわね。」

陰険な女がとっとと帰って、清々したわ。
それにしても、この女!!
お父様はもうアンタを愛してないっていうのに...この私を!こんな目に合わせるなんて!!
絶対に許さないわ!!
あぁ、本当ならお母さんと一緒にここに来る筈だったのに、この女のせいで予定が狂ったのよね。
本当なら、既に死んでいる筈なのに...どうしてまだ生きているの?
リュシーを産んだ後にアリアンネの本当の父親が現れて、それに激怒したお父様が家を追い出してのたれ死んでる筈でしょ?
だから、お父様と相談して、アリアンネの時の不貞を理由にして修道院に送るだけにしてあげようと思っていたのに、私に対してこんな扱いして、そんな生易しいことで済ませるもんですか!!

「酷い!!酷いわ!!ぶつなんて!!!」

「貴女を叩いたりはしておりません。
私が叩いたのは、机ですわ。
そう言えば、アリアにも同じように言い掛かりを付けておりましたわね...それが手ですか...ハァー、浅ましいわね。」

「私は、お父様の子供なのよ!?
アンタが知らないだけで、お父様は私のお母さんと愛し合ってたのよ!!
お母さんと私をこの家に正式に迎えるために、色々と画策して妹夫婦をどこかにやったって聞いているわ!!
アンタも、アンタが浮気して作ったアリアンネも、この家から追い出されるのよ!!」

───ガチャッガッ───

「シェリー!大丈夫か?!」

「お母様がぶつの!
きっと、私がお嫌いなのね...。」

「ミーティア?!なんてことを!!
早くここを開けろ!!」

「ハァー、元々鍵は開いておりますわよ?」

───ガチャッ───

「ミーティア、この子は、俺の大事な子なんだぞ?
こんな酷いことを...お前には、修道院に行ってもらう。」

ほら、お父様は私達を愛しておりますのよ?
ゲームでは、リュシーを産んだ後すぐに死んでる筈なのに...まだ生きてるなんて可笑しいのよ。
きっと、貴女はバグなのよね?
だったら、さっさと身の程を弁えて退場してよ!

「あら、私、貴方と離縁はいたしますが、修道院には参りませんわよ?
不貞などしておりませんし、子供達を育てなければなりませんもの。」

「何ぃ?!」

「まぁ!怖いわ!!お父様!!!」

「そうだな、シェリー。
お前に何かあっては、俺は耐えられない。
2度と現れないようにしないといけないな。」

「そうしてよ。」

「ミーティア、少し話し合おう。」

「離縁してくださるのであれば、私は誰に頼まれても貴方方の前には現れませんわよ?」

「子供達のことについてだ。
さぁ、書類の準備もあるから執務室に。」

「...分かりましたわ。
子供達のことなのならば、仕方ありませんから参りますわ。」

お父様、しっかりお願いね?
私の幸せを脅かすものは全て取り除かないといけないのよ...私はヒロインなんだから。
後は、アリアンネだけね。
ジークもリュシーも私の味方なのに、アリアンネのせいで近付くことも出来ないんだもん!
あの2人を独り占めするなんて、酷いわ!
あれ?そう言えば、ゲームのアリアンネってお父様と同じ髪色をしてたっけ?
違ったような?...うーん、いや、
『アリアンネは、あの子は俺の子とは思えん!』
って、お父様が言ってたもん!
それが事実の筈よ!
それに、ゲームであんなに虐めてきたアリアンネが、半分でも血の繋がった姉な訳が無いわ!





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