モブが最高!!!なのに...

神谷 絵馬

文字の大きさ
19 / 38
学園までの僕です。

先生との対面は前途多難。1

しおりを挟む
家族水入らずのお茶会から2日が経ちました。そうです!!上級魔法の先生、ユーシン様が初めて来られる日です!!ユーシン様は第1魔師団所属の隊長さんなのですよ!!テンションが上がりすぎて...さっきからそわそわが止まりません。僕は自室にある応接セットのソファーに浅く腰掛け、今か?今か!と前のめり気味に扉を見つめています。足音もなく、コンコンコン!と扉が叩かれたのでびくりと肩を震わせると立ちあがり、深く息を吐いて返事を返します。

「...はーい。どうぞ?」

「おはようございます。私は、第1魔師団第3分隊隊長を勤めております...ユーシン・ジーンマリオンと申します。現ジーンマリオン伯爵の弟にあたります。貴方様がご依頼くださいました、ノアール様でしょうか?」

「おはようございます。父よりお聞き及びかも知れませんが、僕はノアール・オミ・アレスティアと申します。...ユーシン様、とお呼びしてもよろしいでしょうか?僕のことは“ノアール”とお呼び捨てください。」

「!!そんな!!貴方様の御名前を!!様をお付けせずに呼ぶなどなんとご無体な!!私には無理です!!
あぁ..........どうぞ、私のことは“ユーシン”とお呼びいただければ幸いです。」

「.....いえ、ジーンマリオン伯爵弟様は僕の先生として来られたのですよね?僕は、学びの先生を呼び捨てで呼ぶ生徒なんて聞いたことありません!!」

部屋に入って来られたのは、170後半位の痩せた男性です。深い緑色の長い髪を後ろで1つに結って左肩側から前に垂らしていて、面長で顎がシャープに尖っている、柔和な琥珀色の垂れ目が印象的な方でした。子供の自分に対してとても丁寧な言葉遣いで、深みのあるバリトンは憧れの美声ですが、何故に様付けですか?そして何故に僕が呼び捨てするんですか?僕は只の7歳児ですよ...?

「ノアール様??ご自覚が無いようですが、貴方様は7歳という若さでご自分の属性全ての中級魔法を修められております。これは異例の速さでございます。通常であれば、5歳の時に魔力量と属性を調べて、属性に合わせた家庭教師の選定を行います。6歳・7歳では魔力の制御方法を学び、大体の子供が8歳・9歳から魔法の基礎を学び始めます。勿論学ぶのは下級魔法からで、学園に入学する11歳頃に少数名中級魔法を1つか2つ使える程度です。殆どの子供が中級も上級も学園で学び始めるのです。」

「あ、はい。そうですね...。」

「そうですね。じゃありません!!国王陛下も貴方様に目を掛けていらっしゃるのですよ??」

「!!それは初耳です!!!」

「当たり前でしょう?この事が他国に...帝国にでも知られたら、幼いとはいえ利用価値のある貴方様を...誘拐してでも自国民としようとするでしょうからね。この国の貴族であっても油断は禁物ですよ?理不尽な妬み嫉みなどから何をされるか...。国王陛下の元にアレスティア公爵から連絡があった際に、極一部の関係者以外には“他言無用”との箝口令が敷かれております。貴方様の聡明さと魔法力を知っているのは公爵と陛下、私と魔師団総団長、第1団長のみです。貴方様のお母上も知りませんので、絶対に話しては駄目ですよ?」

「..........そんな.....。そんな大事になっていたなんて...知りませんでしたし、気づきませんでした。」

ユーシン様は立っている僕の目線に合わせるように膝を付き、僕の頬を手の甲で優しく撫でながら諭します。聖母のような慈愛に満ちた眼差しと優しい声音に、驚き焦燥に駈られた心が徐々に凪いでいくのを感じます。







*
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど

monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。 でも、なんだか周りの人間がおかしい。 どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。 これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...