ホスト狂いのホスト

那月

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第3章

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 後頭部を持って近づけ、唇が触れる寸前に彼女の口に押し込んで離す。


「甘い、おいしい。ハルトの味がする。もっと欲しいんだけど」


 シャインマスカットをモグモグしながらポワンと夢心地の亜鳥ちゃん。だめだよ。次やったら事故って言ってわざと唇、奪おうとするでしょ?


「そうですね、もう1つ。と思ったんですが、残念。お時間です」


 続きはまた今度。吐息とともにそう囁いてやれば近いうちに来てくれる。俺って罪作り?でもこれがホストだから。姫達に甘い夢の時間を過ごしてもらう。


 夢なんだ。現実じゃない。本物じゃない。本気でも、ない。


 最後の客だった亜鳥ちゃんを店の外まで見送って、フロアに戻るとハスキーさんがまだ食べきってなかったシャインマスカットの粒をつまんでいた。


「それ、俺のですよ?なんてね。俺、もうお腹いっぱいで食べられないのでどうぞ」


 客が注文した飲食物は基本、その客と指名ホストのもの。でももう亜鳥ちゃんはいないし、俺の腹はシャンパンでいっぱいだし。けど、ハスキーさんってシャインマスカット好きだっけ?


「さっきの、他の姫にもやったことあったか?」


「え?いや、なかったと思いますけど。膝貸してくれたし、お礼もかねてみたいな?まぁ、ノリですね。もちろん触れてませんよ?」


「……あんまり、過度な接触はやめろよ。見ていてイライラする」


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