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第5章
⑥
しおりを挟む部屋の真ん中にはキングサイズのベッド。向かいには大きなテレビ。隣にはL型の大きなソファ。マッサージチェアもある。
ラブホだってわかると、冷や汗がにじんできた。心臓がバクバク轟いて、警告している。
「普通のホテルよりは安いぞ。というより、セックスなしであれだけ稼いでいるのか。はぁ、マジでエグイな。まぁいい、腹が減った。こっちに来い、座れ」
あ、今オーナー、俺にドン引きしたな?L型ソファに座ったオーナーに呼ばれ、隣に座る。俺から袋を奪うと中身をテーブルに置いていく。
いい匂いがすると思ったら、ムスバーガーのセットだ!俺のはこれだと、バーガーの包みとポテトとジュースをいただいた。
本当は店で食べるつもりだったんだろうなぁ。おごってもらってしまった。あ、俺は好き嫌いないんで何でも食べます。すっかり冷えてポテトがシナシナだぁ……
「ありがとうございます。いただきます」
俺のは定番のムスバーガー、ポテトがLサイズ、メロンソーダー。オーナーは……とびっきり贅沢チーズバーガー!?うわ、うまそ……
「見るな。やらん。さっさと食え。食ったら風呂だ」
身をよじって、斜めに背中を向けるオーナー。ちょっと可愛いんですけど。あぁ、トロトロのチーズが大量に入っていて、かぶりつくたびに口の端から垂れている。
いつも無表情で口数も少ない、新人キャストからは怖がられているオーナー。ラブホなんかに連れてこられたから嫌な予感がしたけれど。安いって言っていたし、本当にもう遅いから宿を選んでくれただけかもしれない。
そう思ったらオーナーが可愛く見えてきた。不器用なツンデレさんなの?
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