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第8章
②
しおりを挟む――なんて。俺の願いがかなうはずがなかった。
ゼェハァと呼吸を乱して着いたのは、まさかのホストクラブペットショップ。えぇ、帰ってきましたよ。しかも、俺は今絶賛厄日らしい。
「なんだハルト、シルバーハスキーの家に行ったんじゃなかったのか?忘れ物か?それとも…………また俺様を味わいたくなったか?」
ちょうど店の施錠をしたオーナーと鉢合わせしてしまった。
ここまで全力疾走だった。もう、疲れた。また自転車でダッシュはちょっと、さすがに吐く。
「来いよ」
ハッと気づいた時には自転車が倒れ、オーナーに手をつかまれ引っ張られていた。振り払おうとしても、離してくれない。俺よりも小柄なはずなのに、俺よりも力が強い。
向かう先はオーナーの愛車がある地下駐車場。オーナーは勤務中でも飲酒しないから車で通勤している。
俺の体は後部座席に押し込まれ、オーナー自身も隣に乗り込むとバタンッとドアを閉めた。瞬間、昨日の悪夢がフラッシュバックする。
「今日はずっと上の空だったが、昨日のアレが忘れられなかったか?俺様はコッチ界隈ではかなり有名でな。普段は金をとっているが、お前なら休憩中だろうが声をかけられればすぐに応じるぞ?もちろん無料でな」
だめだ、抵抗する力も残ってない。シートに押し倒され、暗い車内で体をまさぐられている。
「汗びっしょりだな。イイ匂いだ。おっと。フッ、力が入ってないぞ?さすがに、あれだけ飲んで全力疾走を繰り返せばフラフラか」
汗が染みこんだシャツとパーカーをたくし上げられ「やめてください」と手を上げたらつかまれた。そのまま、手品のように出てきた手錠で両手をつながれ、手首まで上がったパーカーでグルグルに。
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