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第9章
①
しおりを挟む俺が処女も失ったあの日から、俺は仕事を休んでいる。無断欠勤。
もう、壊れたんだ、俺の心は。
グレープボムを一気に抜かれた快感でイった俺はプライドも意地も夢も全て手放した。生きているだけのラブドールとしてオーナーを悦ばせ彼のナカに何度も出した。
つながっていない時はまたグレープボムを、最終的には1番奥まで飲み込み一気に抜くのを繰り返され精液だけでなく失禁までしてしまう始末。挙げ句、ディルドも使われて俺の尻はメスと化した。
シルバーハスキーさんを諦める。他の男も、女も、生きることさえも。全て。
死のうとした。俺の家は3階建てのアパートで、3階から飛び降りたら地面が土のところに落ちて怪我をするだけ。骨が折れることもなく、誰かに見られることもなく。ただ1人で痛みに悶絶して。
ガスを出しっぱなしにしてみようとしたら、うちはIHだったし。
首を吊ろうとしたらロープの方が耐えられなくて、吊って少ししたら切れてしまった。苦労の末に残ったのは首についたロープの痕と、瞬間だけ感じた本物の死の恐怖。
ことごとく、死ねない。
その数日の間にホスト仲間と、固定の姫達。それからオーナーからしきりに連絡がきた。
シルバーハスキーさんからも、連絡が来た。他の人達よりも長い、鳴りやまないコール音。胸の奥がギュウッと痛んだ。苦しくて、涙が出そうになった。
電源を切った。
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