ホスト狂いのホスト

那月

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第9章

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 オーナーが来た。家じゅうのカギをかけて窓もカーテンを閉め切っていたのに。あいつは合鍵を使って侵入してきたんだ。


 盗聴器と隠しカメラの場所も、合鍵もネタばらし。今の俺にはどうでもいい。だから、覚えてない。


 そのあと、もはや当然のように犯された。お互いにグッチャグチャになって、光も全てなくした俺を「面白くない」と言った彼は。


「さっさと来ないと、動画をバラまくからな」


 と吐き捨てて去っていった。去り際、玄関の鍵をかけなおしてくれたのは何かの意図があったのか、はたまたただの手癖か。


 あれだけ脅しておいて、まだ動画をハスキーさんに見せてなかったのか。まだ、脅すだけで実行しない。あんな動画、今の俺には無価値。


 そんなことはいい。もう、全部全部、どうでもいい。


 ――あれからどれくらいの時間が過ぎたのか。腹が減っても何か食べる気になれず、胃が痛くなっても吐きそうになっても放っておいたら、何も感じなくなった。


 ベッドに横たわるだけ。何の音も聞かず、何も見ず、何も感じない。このまま、スッと俺が終わればいいのに。


 あぁ、最後に。夢でもいい、幻でもいいから、ハスキーさんに会いたかったなぁ。


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