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第9章
⑤
しおりを挟む「本物ですよ。俺はあの日、オーナーをラブホで抱きました。以降も、何度か会って関係を深めています。でもセフレ。好きじゃないですよ、あんな人……」
「笑うなッ!もう、嘘で笑うんじゃねぇッ!!泣いているくせに、本当のことを言えっ!!」
一瞬、息をのんだハスキーさんは顔を真っ赤にして叫んだ。表情、声、震える体全身を使って怒りをあらわにしている。
俺に、オーナーに、そして自分自身に。こんなハスキーさん、見たことがない。どうして?どうして俺にここまでしてくれる?
でも、俺は彼から離れないといけない。俺は1人で、終わらないといけない。ハスキーさんはまだ、戻れるから。
「言いません。あなたには関係ありませんから。これは俺の問題です。誰にも助けは求めない、誰も、求めない……」
「なんてことを言いやがる。いつものお前ならそんなこと、泥酔してでも言わねぇ。オーナーが、あの野郎がそこまでさせたのか」
「嘘つき。俺、泥酔したことなんてないでしょ?」
「っ、このっ!!………………はぁ。俺が、お前を助ける。お前のために必死になる理由があれば、いいのか?」
早く嫌いになって。可愛いナマイキな後輩の俺を心底嫌いになって、ここから出て行って。そう願いながら、笑った。
なのにハスキーさんは爆発しそうになったものを震える拳で鎮火させると、俺の体の泡を全て流してシャワーを止めた。
ハスキーさんが俺を助ける理由は、先輩後輩で、彼が俺の指導者だから。そう言ったら、また笑ってやろう。
「お前のことが好きだからだよ。仲間としてじゃなく、恋愛対象として本気で好きなんだ」
そう言ってハスキーさんは、俺にキスをした。
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