ホスト狂いのホスト

那月

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第12章

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 ――数日後。俺は昼間は沙琉の見舞いに通いながら夜は仕事という毎日を送っていた。


 ある日、休憩中にハスキーさんが教えてくれた。


 沙琉が刺された後に暴行犯の馬淵ちゃんを殴って、さらに蹴ってとどめを刺したのはハスキーさんではなく、オーナーだったんだと。


「あの時のオーナーは怖かった、いや、恐ろしかったな。胸ぐらつかんで『いいかげんにしろよ』ってすげぇ低い声でさ。その一言だけだったのに全員が震えあがったぜ」


 きっとあのオーナーのことだ。自分の店――城を汚され暴れられるのが気に食わなかったんだろう。お気に入りの俺や太客の蛍様が殺されそうになって助けようとなんて、微塵も思わなかったんだ。


 ハスキーさんはオーナーが俺にしたことを知っていて許せないはずだけど、なんだかちょっと嬉しそう。


 最後まで傍観を貫いたんじゃなく、最後の最後に手を出してくれたのはちょっと、ほんの少しだけ意外で嬉しい。たとえそれが怪我人が出たあとのマジの最後でも。


 …………でも、それでも。オーナーは俺にとって、決着をつけないといけない人なんだ。


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