1 / 7
① 杉田家
しおりを挟む里親の職業が、警察官だから 多少 仕方ないのかもしれないが、
ここのところ、事件に巻き込まれる回数が増えている気がする。
小学生の一人息子(トウイ)の子守役 として招かれたハズなのだが…
というか、ジブンののんびりとした余生を 一番 脅かしてるのは、そのトウイのような気が…。
今回の件も、途中からは意図せず巻き込まれたとはいえ
もともと バロンの時に、トウイが 首を突っ込んでいるワケだし。
まっ!その時、怪我の功名(?)というべきか、
ジブンたち(ジブンとトウイ)は意志の疎通がとれるようになったワケだが。
だから その後、林間学校で 迷子&監禁された時 なにかと重宝した。
その時図らずも 顔見知りになった杉田たちに呼び出され、
今 その杉田宅に向かっているところだ。
++++++++
到着した杉田家は、そりゃもう見事というしか なかった。
泥棒 の二文字を連想させるには 充分な有り様。
タンスや食器棚などの引き出しは、手当たり次第に中身が引き出され 床一面を覆いつくしている。
その上 いったい何をしたのだろうか?
丸いちゃぶ台が、部屋の片隅で ひっくり返されていた。
この惨状を目の当たりにして、
仕事(パート)から帰った母親が、110番したことは 言うまでもない。
今どきの泥棒は、家人に気づかせないように、荒らした痕跡を残さないようにする と聞くが、
こたびの犯人げ、細かいことを気にしないタイプのようだ。
それが、吉と出るか、凶と出るか? は、まだ不明だが。。
因みに、杉田家までの道のりは、ことのほかスムーズで 全く困らなかった。
さすがは、住民台帳である。
「どうしようかな~」
現場検証のため、ひっきりなしに出入りしている警察官を眺めながら、杉田がつぶやく。
「何が?」
まさにジブンも問いたかった疑問を トウイが口にしてくれた。
「コレって,魔女の仕業じゃないかなー?って」 怪しむ杉田。
「昨夜のこと。
やっぱり、警察に話した方が良いよね?」
口調は疑問形だったが、ほぼ決定しているような感じだった。
「でも、関連あるか、まだ わからないし…」
言葉を濁し 言い淀むトウイ。「
「だけど…タイミング 良すぎ…だよね」
小声で 言い合っている二人を 止めたのは、玄白じいだった。
「警官とて 人の子じゃ。
そういった情報を与えたら、
万が一、違っていたとしても
その先入観にとらわれ、誤アヤマった答えを|導ミチビき出してしまうかもしれん。
ゆえに、今はまだ 黙っておいた方が良いと思うぞ」
鶴の一声 ではないが、そう述べた玄白の一言で 二人とも顔を見合わせ、おもむろに口を閉じたのだった。
ところが………この時、帰宅していた上杉。
彼によって 持ち込まれた事件の発覚により、
事態は急速に 変化を見せることになった。
0
あなたにおすすめの小説
カリンカの子メルヴェ
田原更
児童書・童話
地下に掘り進めた穴の中で、黒い油という可燃性の液体を採掘して生きる、カリンカという民がいた。
かつて迫害により追われたカリンカたちは、地下都市「ユヴァーシ」を作り上げ、豊かに暮らしていた。
彼らは合言葉を用いていた。それは……「ともに生き、ともに生かす」
十三歳の少女メルヴェは、不在の父や病弱な母に代わって、一家の父親役を務めていた。仕事に従事し、弟妹のまとめ役となり、時には厳しく叱ることもあった。そのせいで妹たちとの間に亀裂が走ったことに、メルヴェは気づいていなかった。
幼なじみのタリクはメルヴェを気遣い、きらきら輝く白い石をメルヴェに贈った。メルヴェは幼い頃のように喜んだ。タリクは次はもっと大きな石を掘り当てると約束した。
年に一度の祭にあわせ、父が帰郷した。祭当日、男だけが踊る舞台に妹の一人が上がった。メルヴェは妹を叱った。しかし、メルヴェも、最近みせた傲慢な態度を父から叱られてしまう。
そんな折に地下都市ユヴァーシで起きた事件により、メルヴェは生まれてはじめて外の世界に飛び出していく……。
※本作はトルコのカッパドキアにある地下都市から着想を得ました。
しょうてんがいは どうぶつえん?!
もちっぱち
児童書・童話
しょうがくせいのみかちゃんが、
おかあさんといっしょに
しょうてんがいにいきました。
しょうてんがいでは
スタンプラリーをしていました。
みかちゃんとおかあさんがいっしょにスタンプをおしながら
しょうてんがいをまわるとどうなるか
ふしぎなものがたり。
作
もちっぱち
表紙絵
ぽん太郎。様
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる