討って出る! -2-

hanahui2021.6.1

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④ 罠(?)−トウイside−

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グツグツグツ…。

目の前の 鍋の中では、カレーが 美味しそうな匂いを上げていた。
ボクは、それが焦げ付かないように、たえずお玉で かき回す役だった。
他の人は 何をしてるかいうと、
広場で 飯ごうを使い、お米を炊いており、、
今、みんなは それを 取りに行っているところだった。 
勿論 ボクの分も、持ってきてくれることになっている。

 「もうそろそろ 良いかなー?」
ボクは ずっとかき回ていた手をとめ、コンロの火を消しかけた時、視界の隅を 何かの影が走り抜けた。
一瞬 ゴキブリか?と 身構えたが、それよりもっと大きかった気がする。
ボクは それが何か確認するため、おそるおそる顔を上げた。
予想を外し…

匂いにつられて出てきたのは…一匹のネズミだった。
大人しく(?)鍋の向こうに 座っている。
『ってか まだ絶滅してないんだ』 変なところで 感心してしまった。
絵本とかでは、見たことあるけど…実物を見るのは、初めてだった。

『え、えー、えっと…捕獲?』
『違うな、追い払えば良いのか?』 
どう対応するべきかわからずに 右往左往しているうちに

。  
背後から、何かが飛び出し、ネズミを追いかけ始めた。
それは よく見ると、杉田くんのところの猫だった。

二匹は しばらく、調理台の周りを 走り回っていたが、
突然、進路を変更し…森に向けて走り出した。
すかさず 後ろを追っていく猫。

ボクは それまでボーッと見ていtのだが、
その段階になって 初めて 慌てた。
「ま、まって。 待ってよー!」
『だって猫は、杉田くん家の飼い猫なのだ…たぶん⁉』 
だからボクは、ソレを追いかけるしかなかった。
すると驚いたことに、いつの間にか となりを レオが並走していた。
 それに気づき、ボクはレオに声をかけた。
だってレオは…確か テントのそばで 休んでいたはずだったから。
「レオ! もう体 大丈夫なの?」
 ボクの問いかけに、レオは 「ワン」 と一度 鳴いて、それに応える。
そして 発見した。
リクの後方 数メートルというところを 上杉くんが追いかけていた。
そして それに遅れること数歩、杉田くんまでついて来ている
ネズミを先頭に、 猫→ボクとリク→上杉くん杉田くんという図式である。
まるで 【ハーメルンの笛吹き男】のように 
ネズミが 笛でも吹いているのでは?と疑いたくなってしまう。
『ホント!芋づる式! ネズミ一匹で、ずいぶん 釣れたな‼』
吹き出しそうになるのを 堪えな
「なんで ついて来てるの?」 普段の運動不足がたたり、短くしか問いかけることが出来ない。
「飯をもらって 戻ったら
ちょうど 調理場から飛び出してきた お前らが見えて、思わず 追いかけてる」
息も乱さず 平然と足を進めながら、上杉くんんが答える。「走ってるお前らを マジマジと見たら、前の方にじいちゃんの姿があって…それで合点した。ってわけ」

尚も 説明を続けている上杉くんに対し、ゼイゼイと 肩で息をしている杉田くん。(ボクも、あまり…人のこと いえないけれど…)
それを チラリと横目で確認した上杉くんは。
「カンペキ 運動不足だな!」 無情に 一刀両断した。
「ボクは…オマエと違って…頭脳派なんだよ!」
苦しそうにしながらも、
途切れ途切れに反論する杉田くん。
そんな2人をともないつつ、
それから まだしばらく 追いかけっこは続くのだった。




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