single tear drop

彩矢

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俺の愛おしいひと

俺の愛おしいひと

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「地竜さんからもらった腕輪が未知さんと子供達の命を救ったんですよ」
橘さんに言われ、ベッドの脇のテーブルの上に目を遣ると、真っ二つに割れた腕輪が置いてあった。
記憶が全然ないから、何が起こったのか全く思い出す事が出来なかった。
でも頭に手をやると確かに包帯が巻かれてあって、顔にもあちこち白い絆創膏が貼られてあって、腕輪があった右の手首にも包帯がぐるぐると巻かれてあった。
「マー寒くない?」
「うん」
「3日と4日、二日続きで夏日になったと思ったら、今日は朝から雪なんだもの。日本の天気はよく分からない」
那和さんが肩にガウンを羽織らせてくれた。
子供たちがいつでも来れるように個室にしてもらった。
「たいくん、ここちゃん、天井に誰かいるの?首痛くなっちゃうよ」
太惺と心望は紗智さんと和江さんにそれぞれ抱っこしてもらい、病室の天井を不思議そうに首を傾げながらじっと見詰めていた。
「お家じゃないっていうのが分かるのかも知れないわね」
「赤ちゃんって本当に不思議。見てて飽きないし、仕草も可愛くて、みとれちゃう」
紗智さんが頬を太惺の頬に擦り付けると、キャキャと声を立てて笑いだした。
「あっ、そうだ。未知さんに渡したいものがあったの」
和江さんが足元にあった紙袋からA4サイズのノートを取り出すと、それを手渡された。ノートを開くと一ページ分にびっしりと、子供たちの様子が事細かく書かれてあった。
一番上の欄に書かれた日付を見ると、僕が記憶を失った12月20日の翌日から始まっていた。
「これは?」
「未知さんの記憶が戻ったとき、もしかしたら記憶を失っていた間の記憶がないかもしれない。何か一つでも思い出す手かがりになればいいかなってそう思って」
「ありがとう和江さん。目が覚めたらいきなり3月6日になってて、その間のことを何も覚えていなかったからすっごく嬉しい」
ギュっと両手でノートを抱き締めた。
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