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暗澹
暗澹
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お兄ちゃんが引き金を引いたまさにその時。
男の背後にスカルさんが現れて。
男が手にしていた銃を取り上げると、額に向けて銃口を捩じ込ませた。
男は軽快な動きでさぁと身を翻ると、風のように忽然と姿を消した。
銃声を聞きつけ駆け付けた蜂谷さんに拳銃を渡すと、お兄ちゃんの手首に巻かれた布をほどいて、銃を両手から外し、それも蜂谷さんに渡すと、お兄ちゃんをぎゅっと抱き締め、額に何度も口付けをしていた。
誰この人?何で泣いてるの?
正気を失ったお兄ちゃんはスカルさんことを何も覚えていなかった。
不思議そうに首を傾げながら、虚ろな目でぼんやりと遠くをしばらく眺めていた。
やがてお兄ちゃんの目から一筋の涙が零れ落ちた。
スカルがどうしても未知に謝りたいことがあるそうだ。体調が悪いなら無理にとまでは言わないが。決めるのは未知自身だ。そう彼に言われて、悩みに悩んだ末、子供達を千里さんと心さん、それに鳥飼さんに頼んで、彼に付き添ってもらいペンションのバーカウンターへと移動した。
「未知、ここにいたんだね。パパ探したんだよ」
スカルさんや蜂谷さんに付き添われ少し遅れて姿を見せたお兄ちゃん。
ソファーの上に置きっぱなしになっていたくまのぬいぐるみを見付けるなり目を輝かせ駆け寄ると、大事そうに両手で抱き抱えた。
「お兄ちゃんそれは・・・・・・」
くまのぬいぐるみだよ、僕じゃないよ。そう言いかけたけれど、彼に止められた。
「今の尊は、21年前のまま時間《とき》が止まっている。赤ん坊の頃の未知の記憶しかヤツには残っていない」
「そんな・・・・・」
突き付けられた真実はとても哀しいものだった。
男の背後にスカルさんが現れて。
男が手にしていた銃を取り上げると、額に向けて銃口を捩じ込ませた。
男は軽快な動きでさぁと身を翻ると、風のように忽然と姿を消した。
銃声を聞きつけ駆け付けた蜂谷さんに拳銃を渡すと、お兄ちゃんの手首に巻かれた布をほどいて、銃を両手から外し、それも蜂谷さんに渡すと、お兄ちゃんをぎゅっと抱き締め、額に何度も口付けをしていた。
誰この人?何で泣いてるの?
正気を失ったお兄ちゃんはスカルさんことを何も覚えていなかった。
不思議そうに首を傾げながら、虚ろな目でぼんやりと遠くをしばらく眺めていた。
やがてお兄ちゃんの目から一筋の涙が零れ落ちた。
スカルがどうしても未知に謝りたいことがあるそうだ。体調が悪いなら無理にとまでは言わないが。決めるのは未知自身だ。そう彼に言われて、悩みに悩んだ末、子供達を千里さんと心さん、それに鳥飼さんに頼んで、彼に付き添ってもらいペンションのバーカウンターへと移動した。
「未知、ここにいたんだね。パパ探したんだよ」
スカルさんや蜂谷さんに付き添われ少し遅れて姿を見せたお兄ちゃん。
ソファーの上に置きっぱなしになっていたくまのぬいぐるみを見付けるなり目を輝かせ駆け寄ると、大事そうに両手で抱き抱えた。
「お兄ちゃんそれは・・・・・・」
くまのぬいぐるみだよ、僕じゃないよ。そう言いかけたけれど、彼に止められた。
「今の尊は、21年前のまま時間《とき》が止まっている。赤ん坊の頃の未知の記憶しかヤツには残っていない」
「そんな・・・・・」
突き付けられた真実はとても哀しいものだった。
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