single tear drop

彩矢

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きみが癒し 生きる希望

きみが癒し 生きる希望

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よし今度こそ………もう一度声を掛けようとしたら、地竜さんのスマホが鳴り出した。ちらっと画面に目をやると、すぐにポケットにし舞い込んだ。

「出なくていいんですか?」

「鬼の居ぬ間に未知を独り占め出来る。こんなチャンスは滅多にない」

嬉しそうに頬をスリスリさせる地竜さん。顎髭がくすぐったくて身を捩らせると、腰に腕が回ってきた。

「遥琉は鬼じゃありませんよ」

「俺にとっては鬼だ」

「向かうところ敵なしの貴方にも怖いものがあるなんて」

橘さんがクスリと笑った。

「笑うことないだろ」

顔を真っ赤にし不貞腐れる地竜さん。体の向きを変えるとプイッと顔を逸らした。
一度はすぐに電話が切れた。
でも三分おきに何度も掛かって来るようになって、あぁ~~もう!しつこい!ぶつぶつとぼやきながらポケットに手を伸ばした。
電話に出るなり『〇△+〇×△』早口で捲し立てられ、地竜さんの顔つきと声色が変わった。
地竜さんが何を言ってるかちんぷんかんぷんだったけど、怒っているのは確かだった。

「昇龍会と手を組むだと、ふざけているのか」
「束になっても敵わない。力の差は歴然としている。今は手を組んだ方が利口だ」
すぐ近くにいた紗智さんと那和さんが通訳してくれた。
「正気の沙汰ですか?」これには橘さんも鳥飼さんも驚いていた。

「手を組むのは昇龍会じゃない。菱沼組とだ。未知のために死ねるなら本望」

歯の浮くような台詞をさらりと口にする地竜さん。
何事もなかったように電話の相手とまた会話をはじめた。
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