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スーレン スー
スーレン スー
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「地竜が炎竜側の動きを事前に察知して、マメに連絡を寄越してくれているんだ」
「なるほどな」
「伊澤が動かぬ証拠を茂原に突き付けた途端、逃げ出したと聞いた。蜂谷、知っていることがあれば教えてくれ」
「捜査機密だ。教えるわけにはいかない」
蜂谷さんがそう返すと、またポコっと竹刀の先で頭を軽く叩かれた。
「だから、邪魔しないでくれ」
「お前はバカか。地竜から聞いたんだが、連中は護送車を襲うくらい朝飯前。炎竜は何をしでかすか分からない危険な男だ。恐らく貝沼彩っていう女を奪還する気だろう。違うか?」
惣一郎さんに詰め寄られ、捜査情報が炎竜側にすべて筒抜けだったことを正直に話してくれた。それだけじゃない。
「未知が火事の時に何かを見た。だから、連中は未知の口を封じようとしている」
にわかには信じがたいことを言われ愕然となった。
「鳥飼や紗智や那和に聞いたが彩以外、誰も見てないと」
「現場に恐らくもう一人いた。誰も面を見たことがない黒竜の幹部が……彩を裏で操っている黒幕がな」
「そんな………」
彼も返す言葉がないのか呆然としていた。
「リーと同じで表向きは慈善家で、裏であくどい金儲けをしているんだろうよ。大丈夫だ、儂の目が黒いうちは連中の好き勝手にはさせない」
「惣一郎さんありがとうございます」
「礼なんか止してくれ。背中が痒くなる」
惣一郎さんが照れ笑いしながら、ちと気になることがあるからと、蜂谷さんをどこかに連れていった。
「鳥飼は大丈夫なのか?」
「蜂谷や玉井が上と掛け合って、護衛を付けてくれた。新婚の颯人にこれ以上迷惑を掛けるわけにはいないだろう」
「それなら良かった」
鞠家さんがホッと胸を撫で下ろした。
彩さんの公判前手続きまであと三日。
何事もなく無事に終わりますようにと祈ることしか出来なかった。
「なるほどな」
「伊澤が動かぬ証拠を茂原に突き付けた途端、逃げ出したと聞いた。蜂谷、知っていることがあれば教えてくれ」
「捜査機密だ。教えるわけにはいかない」
蜂谷さんがそう返すと、またポコっと竹刀の先で頭を軽く叩かれた。
「だから、邪魔しないでくれ」
「お前はバカか。地竜から聞いたんだが、連中は護送車を襲うくらい朝飯前。炎竜は何をしでかすか分からない危険な男だ。恐らく貝沼彩っていう女を奪還する気だろう。違うか?」
惣一郎さんに詰め寄られ、捜査情報が炎竜側にすべて筒抜けだったことを正直に話してくれた。それだけじゃない。
「未知が火事の時に何かを見た。だから、連中は未知の口を封じようとしている」
にわかには信じがたいことを言われ愕然となった。
「鳥飼や紗智や那和に聞いたが彩以外、誰も見てないと」
「現場に恐らくもう一人いた。誰も面を見たことがない黒竜の幹部が……彩を裏で操っている黒幕がな」
「そんな………」
彼も返す言葉がないのか呆然としていた。
「リーと同じで表向きは慈善家で、裏であくどい金儲けをしているんだろうよ。大丈夫だ、儂の目が黒いうちは連中の好き勝手にはさせない」
「惣一郎さんありがとうございます」
「礼なんか止してくれ。背中が痒くなる」
惣一郎さんが照れ笑いしながら、ちと気になることがあるからと、蜂谷さんをどこかに連れていった。
「鳥飼は大丈夫なのか?」
「蜂谷や玉井が上と掛け合って、護衛を付けてくれた。新婚の颯人にこれ以上迷惑を掛けるわけにはいないだろう」
「それなら良かった」
鞠家さんがホッと胸を撫で下ろした。
彩さんの公判前手続きまであと三日。
何事もなく無事に終わりますようにと祈ることしか出来なかった。
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