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心望の初節句
心望の初節句
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幼稚園のホールには園児が厚紙や折り紙で思い思いに作った男雛と女雛の雛飾りがクラス毎に並べられてあった。
鳥飼さんと黄さんは駐車場で、柚原さんは廊下で待機してくれている。三人とも何かあればいつでも駆け付けてくれることになっていた。
一太が作った雛飾りはすぐに見付けることが出来た。何故なら、男雛と女雛じゃなく、男雛と男雛が仲良く手を繋いで並んでいたから。
これには紗智さんも那和さんも苦笑いするしかなくて。
「考えてみたら、一太くんの回りの夫婦ってみんな男同士だね」
「そういえばそうかも」
「一太くんにとって、ごく普通のことなんだろうね」
「だね」
紗智さんと那和さんがそんな会話をしていたら、担任の先生が声を掛けてくれた。
「一太くんの独創性と想像力には毎回脱帽しています」
「いぇ、すみません………」
先生にどう言葉を返していいか迷っていると、一太がニコニコの笑顔で駆け寄ってきた。遥香も太惺も心望もお兄ちゃんの姿を見付け大喜びしていた。
「ねぇママ」
一太が何かに気付き出入り口の方を指差した。
「ん?どうしたの?」
小さな手の先を辿ると、ドアに寄り掛かる長身の男性がいた。ハイブランドのブラックスーツを粋に着こなしサングラスを掛けたちょっと強面な男性。明らかに場違いの格好。でもそれが彼らしい。
「げ、何でいるの?」
那和さんが顔をしかめた。
「何でって、一太に呼ばれたからだよ。来て悪いか?」
「足、あるよね?」
紗智さんに言われ、
「勝手に殺すな。俺は不死身だ」
憮然としながらも、一太や遥香に、ディノンさんだ!おじゃちゃんだ!と大歓迎され、嬉しそうに目を細めた。
鳥飼さんと黄さんは駐車場で、柚原さんは廊下で待機してくれている。三人とも何かあればいつでも駆け付けてくれることになっていた。
一太が作った雛飾りはすぐに見付けることが出来た。何故なら、男雛と女雛じゃなく、男雛と男雛が仲良く手を繋いで並んでいたから。
これには紗智さんも那和さんも苦笑いするしかなくて。
「考えてみたら、一太くんの回りの夫婦ってみんな男同士だね」
「そういえばそうかも」
「一太くんにとって、ごく普通のことなんだろうね」
「だね」
紗智さんと那和さんがそんな会話をしていたら、担任の先生が声を掛けてくれた。
「一太くんの独創性と想像力には毎回脱帽しています」
「いぇ、すみません………」
先生にどう言葉を返していいか迷っていると、一太がニコニコの笑顔で駆け寄ってきた。遥香も太惺も心望もお兄ちゃんの姿を見付け大喜びしていた。
「ねぇママ」
一太が何かに気付き出入り口の方を指差した。
「ん?どうしたの?」
小さな手の先を辿ると、ドアに寄り掛かる長身の男性がいた。ハイブランドのブラックスーツを粋に着こなしサングラスを掛けたちょっと強面な男性。明らかに場違いの格好。でもそれが彼らしい。
「げ、何でいるの?」
那和さんが顔をしかめた。
「何でって、一太に呼ばれたからだよ。来て悪いか?」
「足、あるよね?」
紗智さんに言われ、
「勝手に殺すな。俺は不死身だ」
憮然としながらも、一太や遥香に、ディノンさんだ!おじゃちゃんだ!と大歓迎され、嬉しそうに目を細めた。
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