欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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564家出

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春になり、ポトリ教授が提示した3つの遺跡を回る。
OZとしては3人だけで回ろうと考えていたが、エチゴが馬車を出すと提案してくれる。
コースも3ヶ所を回る様にし、それぞれの場所で1ヶ月は留まるとの事。

「どうする?拓が飛べる事を隠すのなら提案に乗った方が良いと考えている。」

ガラに言われ、エチゴに世話になる事にした。

国の方からも軍を付けると提案されていたが、それは拓の方で断っていた。
エチゴとしても、この遺跡調査の重要性は理解している。
そして、拓が国からの補助を断った理由も分かる為、自分達で手伝う事にした。


ルーカスとハックが同行したいと言って来たが、拓は断っていた。

「ハック、拓さん達の旅に同行したくないか?」
「したいけど、拓さんに断られてしまったから。」
「俺は、どうしても諦められない。あんな旅、絶対に他では体験できない。
 それに今回は、この国のこれからを左右する様な旅だ。」
「僕もそう思うけど、断られたのに無理に付いていく事は出来ないよ。」

ルーカスに言われ、ハックも諦められなくなって来た。
そんなハックにルーカスは1つ提案をする。
2人は数日間、手伝いの為神殿に泊まると言って、家を抜け出した。


拓達がエチゴ商隊として出発する朝、サリナ姫や勇者の3人、ゴルゴやサブ、ワンガ達が見送りに集まってくれた。
一応、目立たない様にサリナ姫達4人は変装をしている。

「自分の身の安全を第一に考えてくださいね。」
「ありがとうございます。私は危険を避け、身の丈に合った安全な行動しかしないので安心してください。」

サリナ姫に拓が答えたが、全員が黙ったまま疑いの目で拓を見ていた。
国王やブルネリ公爵達も顔を出したがっていたが、立場的に諦めサリナ姫が皆からの言葉を伝えていた。


そろそろ出発をしようとした時、ロダン侯爵とピスタ子爵がピース神官、トリス神官と共にやって来た。
しかし、その顔を見ると見送りに来たのとは違うみたいだ。

「どうかされましたか?」

拓が声を掛けると、ロダン侯爵とピスタ子爵が手紙を取り出して見せる。
そこにはルーカスとハックが拓達の手伝いをする為に暫く王都を離れると書かれていた。
ロダン侯爵とピスタ子爵は拓達の見送りをする様にと、息子達に伝える為に神殿に伺ったところ
2人が神殿に来てなく、息子の部屋で書置きが有るのを発見し急いでここに来た。
エチゴとアルが馬車を調べてみたが、2人が隠れてはいなかった。

「ルーカス様とハック様がどうやって私達に合流しようとしているのか分かるでしょうか?」

エチゴが尋ねるが、ロダン侯爵とピスタ子爵は首を横に振るだけだった。
何か有れば連絡をする事にし、エチゴ商隊は出発した。

「俺の断り方が悪かったのかな?」

拓が考え込んでいると、ガラが問題無かったと言う。

「どちらかと言うと、あの2人は拓にご執心だからな。
 そっちの方が原因なんじゃねぇか?」

レオに言われ、納得してしまう拓。
2人がどんな行動をしているのかは分からないが、無事にいて欲しいと思わずにはいられなかった。


ルーカスとハックは身分を偽り、髪形を変えて商人の馬車に同行していた。
他に護衛に5人組の冒険者パーティが一緒にいる。
魔獣に対してはその冒険者パーティとルーカスが対処し、怪我に対してはハックが治療を行う。
夜は拓が作った休憩所か村、町に泊まるので安全が確保されている。

「2人共、旅は初めてか?」

同行している冒険者がルーカスとハックに声を掛けて来る。

「一度、別の商人の方に同行させてもらった事が有ります。その時に色々と教えて頂きました。」

ルーカスが答えると、冒険者達が笑う。

「良い所のお坊ちゃんって感じで、冒険者らしくないな。」

そう言いながらも、冒険者達は2人の態度を快く思っていた。

「所で、休憩所作りに動いていた冒険者パーティを知っているか?」
「OZとクリームですよね。」
「そう。その中にいる拓っていう冒険者がスゲーんだよ。
 俺は彼のAランク昇級試験を見ていたんだが、魔導士なのに9人の冒険者と同時に戦って勝ったんだぞ。
 それも、ほぼAランクの実力に近いBランクの剣士とだ。」

戦っていた冒険者だけでなく、見ていた人達ですら姿を消した拓を把握できず、いたぶりながら倒した拓の話をする。

「色々と影口を言われていたみたいだからな、そういう事が無い様に力を誇示していたんだろう。
 直接話したことは無いが、真っ当な相手には腰の低い礼儀正しい男らしいからな。」

ルーカスもハックも、拓なら当然だと思いながら聞いていた。

「そして付いた二つ名が『闇の悪魔』だ。
 正直、見た目とギャップが有るが、すげぇよな。」

そんなカッコいい二つ名が有るのなら教えてくれれば良いのにとも思っていた。

商人の都合で遠回りになるが、順調に旅は進みルーカスとハックの目的の町に着いた。
この付近に在る遺跡が拓の目的としている1番目の場所だった。
予定ではエチゴ商隊も今日、到着する予定になっている。
ルーカスとハックは明日の朝早くから門の所で見張るつもりでいた。
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