欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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044甘いもの好き

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日の出前にエチゴの所に集まり、拓が荷物を収納すると
「これも頼む。」とジークからホールケーキが15個も渡される。

「こんなに持って来て、収納できなかったらどうするつもりでしたか?」
「その時は、出発前に食べれば良いだけだろ。拓のアイテムボックスに収納出来て良かった。」

ニカッと笑うジークを見て、拓はこの依頼を受けて良かったと改めて思ったのだが

「何をニヤついているんだよ。」
「喜びすぎだろ。スケベ野郎。」
「何か勘違いをしているみたいだけど、俺はケーキを食べれると思って喜んでいただけだからな。」

2人が拓の頭を突きながら疑い深い視線を送ってきたが「まぁ、良いか」と突くのを辞めてくれた。
移動はエチゴと荷物運びの拓が馬車に乗り、護衛はその周囲を歩く。
馬車と言っても、引くのは馬ではなく魔獣だ。そして馬車もかなり大きい。

街道沿いには広場があり、大きな馬車でも問題なく止められるようになっている。
広場により昼食を食べ、食後のデザートとして早速ケーキを出すので、紅茶を入れようと拓が魔法でお湯を用意するとジェニファーとロビンに驚かれた。

「拓って魔法で水や火を出すことも出来るのか。本当に何種類もの魔法を使えるのね。」

やはり人前では1つの魔法だけを見せておいた方が良かっただろうか。
今更 気にしても仕方ないので、先ずは紅茶とケーキを食べることに・・・
それにしても、クリームのメンバーが嬉しそうに食べる。

「長距離護衛の問題は飯が不味くてデザートが食べれないことだが、今回は最高だな。」
「そうね、買ってきたケーキを収納出来て良かったわ。」

特に喜んでいるのはジークとジェニファー。
満面の笑みで食べる2人を見ていた拓にトムとニコラスが話しかける。

「ジークって、あの見かけで酒より甘いものが好きなんだよね。意外でしょ。2人だけでなくクリームは全員甘いもの好きなんだけどね。」
「クリームには女性が2人も居るから、一部の冒険者に睨みを利かせる必要が有って色々と面倒なんだ。」

確かにジェニファーとロビンは綺麗なので、良からぬ事を考える冒険者も出て来るだろうと拓も納得。
食事が終わったところで、拓がマルチで魔法を使う事についてジェニファーに聞いてみる。

「もしかして拓って魔導士の師匠が居なかったの?」

ジェニファーが驚きながらも説明してくれた。
確かに色々な魔法が使えると便利なのは確かだが、強い魔法が使えなくなるため普通は推奨されていない。
拓の様にマルチの魔法を覚えてしまうと、普通なら日常生活で使う程度の魔法しか扱えないらしい。
その為、魔導士の師匠が居れば、拓の様な魔法の覚え方をさせていなかっただろうと。

「正直、ちょっと勿体なかったかも知れないわ。
 拓は他の中級魔法も使えるんでしょ。もし何かに特化していたら凄い威力の魔法を使えたかも知れないわ。」
「そうね。宮廷魔導士にも成れたかも。」

拓は「強い魔法より、便利な方が良いですから。」と笑って応えていた。
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