欲にまみれた楽しい冒険者生活

108救助

無事に脱出したリストにＯＺがいるのを見て、クリームが救出者の中に３人を探していたのだが見つからない。

「誰かをお探しかな？」

どうしたものかと考えている所に、小柄でぽっちゃりとした髭ずらの男が話しかけて来た。

「えっ、もしかして拓なのか。」
「そうですよ。冒険者なりきりセットで見た目は少し違いますが。」
「・・・」

一緒にいるガラとレオを見て、クリームは言葉を失っていた。
とにかくＯＺが問題ない事を確認できて安心したが、残された者の捜索は始まったばかりだった。

拓は未だ２０名もの冒険者がダンジョンに取り残されていると聞いて

「俺の探索魔法なら効果的に見付けられる。」
「拓なら、そう言うと思ったけどな。」
「仕方ねぇか。俺達も付き合うぜ。」

ＯＺとして冒険者捜査にダンジョンに入ることにした。
クリームも行動を共にすると言ってくれたが、浮遊魔法を使いたいので拓の通信の魔導具をジークに渡して手分けして行動することに。
拓が外に出て遺跡の入口へと向かおうとすると

「アンディ・ジョーンズ、冒険者の救助に向かうのか。なら俺達も手伝う。」

脱出した冒険者達が集まって来た。
クリームのメンバーは「アンディ・ジョーンズ？」と一瞬何かと思ったが、「ホワイトジャック」を思い出し呆れた感じで拓を見ていた。
拓は集まって来た冒険者に１階層の探索をお願いすると、自分達は２階層へと向かった。

ＯＺだけになると、拓は姿を消して浮遊魔法で移動を始めた。
４階層を飛び回り動けずにいる冒険者を見つけると、怪我を治療し救助隊が居る場所へ向かう様に指示を出した。
更に５階層へと向かうと、救助が来るまで留まっていた１０人の冒険者が居た。
拓は４階層への階段の位置を教え、現在３階層まで救助隊が来ている事を説明した。
更に５人の冒険者を見つけ、これで２０人。
仲間の１人が魔獣の攻撃で大怪我をしてしまい、完全に身動きが取れなくなっていた。
拓は薬を渡し応急処置を行う。

「俺は探検家のアンディ・ジョーンズ。出口までの道は分かります。」
「俺達は助かるのか。」
「この下の階層まで救助隊が来ています。大丈夫、無事に脱出できます。」

泣き崩れてしまった女性の冒険者が落ち着くのを待ってＯＺと冒険者達は移動を開始した。
ダンジョンがどれだけの物か拓には判断が付かないため、治癒魔法は使わない。
怪我人は応急処置をしただけなので仲間が背負って移動し、先に見つけた１０人の冒険者達と合流。

「救助隊を待ちますか。それとも３階層へ移動しますか。移動するなら案内します。」

冒険者達は移動することにし、ガラがジークに残り１５人の冒険者を発見しこれから３階層に向かうことを連絡した。
ＯＺが先頭で道を魔獣を退治しながら進み、３階層に降りるとクリームを先頭に救助隊が既に登り口までやってきていた。

「良くやったな。後は任せろ。」

３階層にいた救助隊員が全員集まり、魔獣の攻撃を防ぎながら無事にダンジョンを脱出した。

記録に残っているダンジョンの活性化では、中に居た多くの冒険者が亡くなったが
今回は活動が小さかった事や、アンディ・ジョーンズの探索魔法により全員が無事に生還した。
暫くはダンジョンの内部構造や現れる魔獣の確認の為、領主と冒険者ギルドとでの調査が行われる必要があるが騒動は一段落ついた。