欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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539ダンス、ダンス、ダンス

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見張台は問題無く機能し、細かい森の状況が領主と王都へ連絡される様になった。
1度、魔獣の動きに変化が有り、直ぐに対応出来た為被害を抑える事も出来ていた。

そんな中、アンディ・ジョーンズから最新の瘴気の吹き溜まりの情報が送られて来た。

「瘴気の吹き溜まりが結合するのは確実だな。出来れば異なる方向に進んで欲しかった。」

その地図を見た国王は大きな溜息をついてしまう。
王都に対する壁、周囲の見張台、安全に移動するための休憩所と拓によって設備が整えられたが、これだけで対応出来るとは考え難い。

「拓殿の力を借りては如何ですか。」
「これ以上彼に何をさせようと言うのだ。」
「それは・・・せめて騎士団か魔法師団に入ってもらうのは。」
「それで彼に戦前で戦えと言うのか。」
「今は国の非常事態です。その位の事は。」
「ならば、其方も最前線で戦うのだな。」

会議ではまともな意見は出て来なかった。
拓の力に依存しようとする考えに、国王は自分自身も含め情けないと思うだけだった。


ダンスを習いにOZが登城。
拓は自分だけで問題無いと言っていたが、ガラもレオも心配で同席させてもらう事にした。

「もしかして拓様はもうダンスをする必要が無いと思っていましたか?」

拓の現状を確認すると、サリバンは困った顔で拓にたずねる。

「前回は功績が有ったので強制参加となりましたが、今回からは出ても食事だけを楽しめば良いかと。」

サリバンは天井を見上げて、考えてしまう。

「サリバン先生。我々も拓の練習に付き合いますので、どうか投げ出さずにお願いします。」

ガラが頭を下げると、レオも同じ様に頭を下げた。
その後は、ガラとレオもダンスを教わり、去年習った事の復習を始める。
サリバンに教わらない日の夜はガラとレオに教わる事になった。

夕方までみっちりと教わった後、サリナ姫と勇者3人と少し話す時間を設けた。
メイド達を下がらせると、本題に入る。

「瘴気の吹き溜まりの付近で強い魔獣が出現している。また4人で動く事が出来ないかな。
 年明けに合わせて貴族が移動し始める前に、ある程度対処しておきたい。」
「この事はお父様には伝えて有るのですか?」
「伝えていない。教えた所で動きようが無いし、結局は勇者の力が無ければどれだけの死傷者が出るか分からない。」

サリナ姫は手を固く握りしめて黙ってしまう。
浩司、由美、里香は互いの顔を見ると頷き時間を作ることにした。
ただ、こんな事をしていても解決になる訳もなく、抜本的な解決策が無ければ対応出来なくなるだろう。
 
「拓さんの方で何か原因らしき事でも分からないですか?」
「何も分からない。後出来る事は、アンディ・ジョーンズとして状況を伝えるだけだね。」

浩司は残念そうだが、拓としてはどうしようもない。
他に出来る事も思い浮かばない。
拓達が帰る前に国王に「勇者達の特訓」として話をした所、今は魔獣も落ち着いているという事で直ぐに了解を得る事が出来た。

魔獣討伐は順調に進み、浩司達の魔力制御も上がっているため大量の魔獣を手に入れられている。
拓は勿体ないと素材として使えそうなのは全て収納し、毎日、多いときは2度も王都へ戻っては解体を依頼する。
強力で特殊な魔獣はエチゴの下で行ってもらい、残りはスラム街の解体所に可能な限り対応して貰う。
寒くなると冒険者達の活動も減り解体所の仕事は少なくなっていたが、拓が持ち込む魔獣が多過ぎ24時間体制で捌いていた。
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