欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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541依頼

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サリバンのダンスレッスンの為にOZが登城した際、拓が空いた時間で良いので国王との面会を求めるとレッスンの前に会ってくれることになった。

「拓殿が面会を求めるとは何が有ったか?」
「1つお願いしたい事が有ります。」

拓はドラゴンスネークの魔石2つとシーサーペントの魔石1つを取り出した。
どれもヘビモスのと近いサイズで国宝級と言える魔石だ。

「こちらの魔石で、勇者3人に魔力を蓄える魔道具を用意して貰えないでしょうか。」
「これだけの魔石を使って良いのか?」
「この位のサイズでないと、彼等の保有魔力に対して使い物になりませんので。」

国王はダッソン将軍を呼ぶと、魔石を保管しておくように指示を出す。
ダッソン将軍は魔石を見て表情に驚きが現れたが、拓を見て何か納得し部下と一緒に丁重に魔石を受け取り部屋を後にした。

「拓殿。もし魔石に余裕が有るのなら売ってもらえないだろうか?」
「さすがに、あのサイズはもう有りません。」
「ハックに用意した魔石位のサイズが有れば助かるのだが。」

魔導士団に魔力を蓄える魔道具を装備させておきたいとの事。
魔導士団は150名。国王が提示した価格は異様に高い。
拓はその提案を受け入れると、テーブルの上に150個の魔石を並べる。
国王は自分で依頼したのだが、まさか150人分全てを用意できるとは思ってもいなかった。
このサイズの魔石を保有しているとなると、かなり強力な魔獣でそう簡単に倒せるものでは無い。
国王には拓の実力を図る事は出来そうになかった。

「その魔石は勇者と特訓をした時に手に入れた物です。私1人で魔獣を倒したわけでは無いですよ。」

拓は国王の様子を見て、一言付け加える。
更に拓は別に同サイズの魔石を4つ取り出し、4人分の魔道具を作ってくれるように依頼する。
国王としても、これだけの魔石を出してくれるのならと、無償で魔道具を作る事を約束してくれた。

直ぐにダッソン将軍とヨギ魔導士を呼んだのだが、2人は部屋に入り机の上に並んでいる魔石を見て動きが止まってしまった。
物としては先の魔石の方が上なのだが、このサイズでこれだけの量の魔石を見た事は無い。

「この魔石を使って、魔力を貯める魔道具を魔導士団全員に付けさせる。
 先に受け取った魔石から作業を行う。直ぐに準備に取り掛からせろ。」

国王に言われ、ダッソン将軍とヨギ魔導士は我に返り、ヨギ魔導士がマジックバックを取りに戻り大量の魔石をしまうと部屋を後にした。
この魔石なら上級魔導士2人分の魔力を込められる。これで大幅な戦力増強を図る事が出来る。
国王は表情には出さないが、国を守るための道が見えて来たことに安堵していた。

数日後、エチゴの方でドラゴンスネークの素材が販売されるとの話が流れ、国は1体分の素材を購入する事を決めた。
キラーアントの素材を使った防具に合わせる事でより強固にすることが出来る。
見張台からの報告で、若干魔獣が活発化しているとの報告が有ったが
拓と勇者3人の特訓が行われてから、その活動が落ち着きを見せていた。
そしてその後の拓からの巨大な魔石による魔道具の依頼と、エチゴの強力な魔獣の素材の販売
スラム街ではフル稼働で魔獣の解体作業が行われている。
国王の下に届く情報は疑うことなく一人の要因によるものだと示していた。

会議において、魔道具や防具の強化による戦力増強は大きな効果を上げられると受け入れられた。
誰もがこの効果をもたらした人物については分かっているが、本人がその事を公にする気が無いのなら黙って受け入れる事にした。
ただ、それだけの力、これだけの実績、多くの貴族からの推薦を持っていれば一気に高い地位へ上り詰める事が可能だというのに。
何故それを拒むのかが誰も理解できなかった。
その力が強力なだけに、拓本人を直接知らない人の中には不気味にも感じる者も居た。


拓のダンスだが、サリバンのレッスンの他にガラとレオの特訓の効果もあり強化魔法を使っているが普通に踊れるところまで戻すことが出来た。
里香も時間を作ってはレッスンに参加し、及第点を貰う事が出来ている。

「貴族の勉強も有って忙しいのに悪いね。しかし、何で貴族は踊るのかな?」
「私はちょー楽しくて息抜きにもなっているよ。拓さんは楽しくないの?」
「優雅そうに見えるけど、実際にやるとステップとかの決まりが色々あってキツイよ。俺はもっと気楽なのが良いな。」
「拓さん、自由人過ぎ。慣れれば楽しいし。」

里香は笑うが、拓には何が楽しいのか全く理解できない。
ただ、ガラやレオとの練習で逞しい身体に抱きついて2人の匂いを吸い込んでいるのは楽しい・・・
拓は申し訳ないという気持ちから、ルドルフ料理長に食材を渡してサリバンに女性受けのする特別料理を提供してもらう様にお願いしていた。
これはサリバンも助手の女性にも好評で、レッスンの場を和ませていた。

「なんか、魔法とかと違って全く集中力が上がらないんだよね。何が悪いんだろ?」

拓が不思議に思っていたが、ガラとレオはダンスをする相手が女性だからだと思っていた。
ただ現実として、ガラやレオを相手に練習をするとダンスより下半身に走ってしまい集中以前の問題が発生してしまうのだが・・・
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