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第2章
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しおりを挟む今日の夜のお茶会はなにもお茶請けはない。
「……さて、今日の話ですよね。」
「……はい。」
「……竜人族につがいというものがあるのは知っていますか?」
「……えっと結婚相手的な?」
「そう思ってもらっていいです。
でも竜人族はつがいを持ったら将来その者だけを愛します。
大抵の竜人族はその者が現れたらどんなに離れていてもわかると言われています。
自分のつがいが見つけられるように長寿だとも言われているくらい竜人族にとっては大事な存在なんです。
大体の竜人族は100歳くらいまでにつがいと巡り逢うと言われています。
現にチェルロもそうでした。
でも私はこの世に生を受けて200年は経つというのに現れなかった……。
それで100歳のとき、自らつがいを探す旅に出たんです。
そのとき兄にはしばらく探しても現れなかったら帰ってくることと条件をつけられてしまって……。」
話しているエルヴィスさんはなんだか苦しそうで、それ以上話さなくていいよって、大丈夫ですよって言おうとしたけれど、エルヴィスさんは話を続ける。
「……私の兄と私は竜人族の父と精霊族の母との間に生まれました。
兄は父の力を受け継いだ立派な竜人族です。
……でも私は……私は完全な竜人族ではありませんでした。」
「?
両親が異種族だった場合、どちらか片方の種族になるって……。」
「私は出来損ないなんです。
竜人族の特徴を持っているのに精霊族しか持ち得ない霊力を持ち、魔力もある。
魔力に惹かれる竜人族には霊力が邪魔して魅力的だと思ってもらえない。
霊力に惹かれる精霊族には魔力が邪魔して魅力的だと思ってもらえない。
獣人族や人族には完璧な竜人族ではないから私のことがわかると気持ち悪がれます。
つまりどの種族から恋愛対象には入っても結婚相手にはならないんです。」
そこでエルヴィスさんは一息つく。
「…………そこに現れたのがユーリさん、あなたでした。」
「……俺?」
そこでなんで俺?
「ユーリさん……ユーリさんは不思議な人でした。
会った瞬間にわかりました。
魔力とも霊力とも言えないなんとも不思議な力を持っていますね。
きっかけはそれでした。
一緒に過ごすうちに、双子を一生懸命に育てている姿、いつも笑顔でお客さんと向き合う姿、美味しい料理を幸せそうに食べる姿、ひとつひとつに惹かれました。
……まだこのことを言うつもりはなかったですし、こんなときに気持ちを伝えるつもりもなかったんですが……。
……すきです。ユーリさん。」
金色の瞳がまっすぐこちらを射抜いてきた。
すき?エルヴィスさんが俺を?
その言葉が頭の中を反芻して処理しきれないけれどひとつ言えることがある。
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