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第3章 運用廃止の危機ですよ!!
3.お弁当持ってアスレチックデートは……超危険!?
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週末。
早く起きて私はお弁当を作っていた。
「こんなもんでいいかな……?」
ささみのチーズ香草焼きとパプリカのマリネ、カボチャのサラダとブロッコリーのおかか和え。
それに彩りのミニトマト。
おにぎりは紫蘇とごまを混ぜて、焼きおにぎりにした。
カロリーとか気にしたし、大丈夫だとは思うんだけど自信はない。
「うわっ、もうこんな時間!」
気がついたら滝島さんが迎えに来る時間が迫っていた。
慌てて片付けを済ませてしまう。
「きょ、今日はよろしくお願いします……」
「おう」
車に乗り、シートベルトを締める。
滝島さんは紺のハブリッドコンパクトで私を迎えに来た。
「車、どうしたんですか」
「兄貴の嫁さんに借りた」
「へぇ、そうなんですね」
滝島さんの家族情報ゲット。
ってそれでなにかあるわけじゃないけど。
「どれくらいかかるんですか」
「二時間ってとこかな」
滝島さんの運転も上手くて、あまり揺れたりしない。
「喉が渇いたとかトイレとか遠慮せずに言えよ」
「はい」
そういう小さなな気配りは、嬉しかった。
車は渋滞にはまることもなく、スムーズに目的地に着いた。
「森の中なんですね」
「あ、言い忘れていたけど、お前、高所恐怖症じゃないよな?」
ニヤリ、と右頬だけを歪め、実に意地悪い顔で滝島さんが笑う。
「……ハイ?」
この言葉の意味をこのあと、身をもって知ることになる……。
「無理。
無理無理無理無理無理無理」
「無理じゃねーよ。
さっさと進め」
右手でしっかり命綱を握り、左手をぶんぶん振って無理だと否定する私を、少し先で滝島さんが待っている。
細い板を縄ばしご状に連ねただけの橋の下は……深い渓谷。
これって何メートルあるの?
高さだけでも足が竦むのに、さらに吹き抜ける風が橋を揺らしているとなると……恐怖はさらに倍増する。
「だって落ちたら死ぬじゃないですか!」
「死なない。
そのための命綱だろうが」
確かにそれはそうだけど。
ハーネスから伸びるロープはこんなんで大丈夫なの?
ってくらい細いし。
それにそれが繋がる先だってそんなに太くないんだよ?
十分な強度があるって言われても信じられない。
だいたい、初心者コースもあるからー、とか言いながら強引に上級者コースへ私を連れていったのは滝島さんだ。
ここまでどうにか着いてきたものの、最終関門でこれはない。
「これをクリアしたら温泉!」
そんなものに釣られると思っているんだろうか。
……うん、少しだけ揺らいだけど。
「エステもつけてやる!」
「エステ……」
それはかなり……。
いやいや、でもこの高さは無理だって!
「伊深ならできる!
頑張れ!」
簡単に言ってくれちゃって。
でも滝島さんの言うとおりにやれば、ダイエットの効果は出てきた。
これだってできる?
これができたら仕事も恋も上手くいく?
滝島さんを信じて手すり代わりのロープをしっかっり掴み、震える足を前に出す。
一歩、二歩……。
下は怖いから極力見ない。
できるだけ、滝島さんの顔を見る。
「嘘っ!?」
あと少しというところでひときわ強い風が吹いた。
落ちないようにロープを両手で強く掴む。
心臓は先ほどまでよりも速く、大きな音で鼓膜を震わせている。
「伊深、来い!」
残り三歩を夢中で渡り、滝島さんの胸に飛び込む。
「よく頑張ったな」
「こ、怖かったですー」
半べその私のあたまを、ヘルメットの上から滝島さんガシガシ撫でてくれた。
なんだかそれにドキドキするのは、さっきのあれがまだ治まっていないだけかな。
怖いアスレチックをクリアしたあとは、遅いお昼ごはん。
「おっ、旨そうだな」
お弁当箱を開けたら、にぱっと嬉しそうに眼鏡の下で目尻を下げ、滝島さんが笑った。
「お口に合うかわかりませんが」
「いや、いただきます」
律儀に手を合わせ、ささみのチーズ香草焼きを滝島さんが口に入れる。
「旨いな。
伊深は料理、上手いんだな」
滝島さんに褒められると自然と笑顔になっていた。
「そ、そんなことはないですよ」
「いや、毎日でも食いたいくらいだ。
バランスもいいし」
滝島さんは本当に美味しそうにお弁当を食べてくれる。
そういうのは凄くいいし、家族以外から料理を褒められたのははじめてだ。
「ごちそうさまでした」
完食した上に、最後もちゃんと手を合わせてくれた。
普段俺様のくせに、こういうのはきっちりやるのは狡い。
早く起きて私はお弁当を作っていた。
「こんなもんでいいかな……?」
ささみのチーズ香草焼きとパプリカのマリネ、カボチャのサラダとブロッコリーのおかか和え。
それに彩りのミニトマト。
おにぎりは紫蘇とごまを混ぜて、焼きおにぎりにした。
カロリーとか気にしたし、大丈夫だとは思うんだけど自信はない。
「うわっ、もうこんな時間!」
気がついたら滝島さんが迎えに来る時間が迫っていた。
慌てて片付けを済ませてしまう。
「きょ、今日はよろしくお願いします……」
「おう」
車に乗り、シートベルトを締める。
滝島さんは紺のハブリッドコンパクトで私を迎えに来た。
「車、どうしたんですか」
「兄貴の嫁さんに借りた」
「へぇ、そうなんですね」
滝島さんの家族情報ゲット。
ってそれでなにかあるわけじゃないけど。
「どれくらいかかるんですか」
「二時間ってとこかな」
滝島さんの運転も上手くて、あまり揺れたりしない。
「喉が渇いたとかトイレとか遠慮せずに言えよ」
「はい」
そういう小さなな気配りは、嬉しかった。
車は渋滞にはまることもなく、スムーズに目的地に着いた。
「森の中なんですね」
「あ、言い忘れていたけど、お前、高所恐怖症じゃないよな?」
ニヤリ、と右頬だけを歪め、実に意地悪い顔で滝島さんが笑う。
「……ハイ?」
この言葉の意味をこのあと、身をもって知ることになる……。
「無理。
無理無理無理無理無理無理」
「無理じゃねーよ。
さっさと進め」
右手でしっかり命綱を握り、左手をぶんぶん振って無理だと否定する私を、少し先で滝島さんが待っている。
細い板を縄ばしご状に連ねただけの橋の下は……深い渓谷。
これって何メートルあるの?
高さだけでも足が竦むのに、さらに吹き抜ける風が橋を揺らしているとなると……恐怖はさらに倍増する。
「だって落ちたら死ぬじゃないですか!」
「死なない。
そのための命綱だろうが」
確かにそれはそうだけど。
ハーネスから伸びるロープはこんなんで大丈夫なの?
ってくらい細いし。
それにそれが繋がる先だってそんなに太くないんだよ?
十分な強度があるって言われても信じられない。
だいたい、初心者コースもあるからー、とか言いながら強引に上級者コースへ私を連れていったのは滝島さんだ。
ここまでどうにか着いてきたものの、最終関門でこれはない。
「これをクリアしたら温泉!」
そんなものに釣られると思っているんだろうか。
……うん、少しだけ揺らいだけど。
「エステもつけてやる!」
「エステ……」
それはかなり……。
いやいや、でもこの高さは無理だって!
「伊深ならできる!
頑張れ!」
簡単に言ってくれちゃって。
でも滝島さんの言うとおりにやれば、ダイエットの効果は出てきた。
これだってできる?
これができたら仕事も恋も上手くいく?
滝島さんを信じて手すり代わりのロープをしっかっり掴み、震える足を前に出す。
一歩、二歩……。
下は怖いから極力見ない。
できるだけ、滝島さんの顔を見る。
「嘘っ!?」
あと少しというところでひときわ強い風が吹いた。
落ちないようにロープを両手で強く掴む。
心臓は先ほどまでよりも速く、大きな音で鼓膜を震わせている。
「伊深、来い!」
残り三歩を夢中で渡り、滝島さんの胸に飛び込む。
「よく頑張ったな」
「こ、怖かったですー」
半べその私のあたまを、ヘルメットの上から滝島さんガシガシ撫でてくれた。
なんだかそれにドキドキするのは、さっきのあれがまだ治まっていないだけかな。
怖いアスレチックをクリアしたあとは、遅いお昼ごはん。
「おっ、旨そうだな」
お弁当箱を開けたら、にぱっと嬉しそうに眼鏡の下で目尻を下げ、滝島さんが笑った。
「お口に合うかわかりませんが」
「いや、いただきます」
律儀に手を合わせ、ささみのチーズ香草焼きを滝島さんが口に入れる。
「旨いな。
伊深は料理、上手いんだな」
滝島さんに褒められると自然と笑顔になっていた。
「そ、そんなことはないですよ」
「いや、毎日でも食いたいくらいだ。
バランスもいいし」
滝島さんは本当に美味しそうにお弁当を食べてくれる。
そういうのは凄くいいし、家族以外から料理を褒められたのははじめてだ。
「ごちそうさまでした」
完食した上に、最後もちゃんと手を合わせてくれた。
普段俺様のくせに、こういうのはきっちりやるのは狡い。
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