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最終章 公開告白を許してください
7.次は公開結婚!?
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ふたりで考えて、恋人繋ぎにした手の写真を撮る。
「なあ、なんてツイートするんだ?」
「滝島さんの方こそ」
恥ずかしくて画面は隠しているから互いに見えない。
「TLを見てのお楽しみってことで」
「だな」
ぽちっと、ほぼ同時にツイートボタンを押す。
すぐに同じ画像を付けたミツミとカイザージムのツイートが並んだ。
【皆様の応援のおかげで両思いになれました。
ありがとうございます】
【おかげさまで、可愛い彼女ができました。
めいっぱい幸せにして、次は結婚報告ができるように頑張ります!】
「えっ、滝島さん!?
結婚って!?」
「んー、なんだろうなー」
滝島さんはヘラヘラと締まらない顔で笑っている。
ただ、それだけで幸せなのってなんでだろ。
「……で。
ふたりとも社長室へいいかぁ……?」
こめかみをピキピキと引き攣らせた大石課長の声で現実が戻ってくる。
「は、はいっ!」
なんだかいちゃついていたのを見られたのが恥ずかしくて、逃げるように社長室へ急いだ。
ドアの前で一度深呼吸。
頷きあったあと、ノックした。
「どうぞ」
「失礼します」
社長室へ入るのは初めてで、こんなときだからこそさらに緊張する。
「今日はお騒がせして申し訳ございませんでした!
全責任は私にありますので、彼女への罰は寛大にお願いいたします!」
仙道社長の前に立つなり、滝島さんが勢いよくあたまを下げた。
慌てて私も一緒にあたまを下げる。
「それで、式はいつにする?」
「……は?」
ふたり同時に口から間抜けな音が出たけど、仕方ない。
想定外、どころじゃないことを言われたんだから。
「公開告白したんだから、次は公開結婚だろ?」
「えっと……」
仙道社長は机の上に両肘を付いて指を組み、若干乗り出し気味に私たちを見ている。
「満見社長とも話したんだけどさ、記念に共同でなにかやるのもいいねって」
「あの……」
なんですでに、そんなところまで話が進んでいるんだろう?
そもそもここは、会社のアカウントを使って超個人的なことをやり、しかも他社を巻き込むとかーってお叱りを受けるところじゃ?
滝島さんも同意見らしく、困惑しているし。
「なにしようか。
君たちからも意見はない?
恋愛にちなんだものがいいよね、もちろん」
ひとりで仙道社長は話し続けているが、いいんだろうか。
「その。
……お叱り、は」
おずおずと滝島さんが口にする。
途端にそれまで饒舌に喋っていた仙道社長が止まった。
「なんで?」
信じられないものでも見るかのように、大きく一回、彼がまばたきした。
「フォロワーが一気に倍に増えた上に、ほとんどが好意的な意見。
ヘタな宣伝打つより認知度は上がっただろうし、それでなおかつ伊深くんのお給料を減らすから会社としてはプラスだし、費用対効果抜群なんだけど」
「えっ、減給ですか……!?」
さらっと言われて一瞬、聞き逃すところだった。
そうか、減給か……。
覚悟はしていたけど、痛いな。
「まあ、減給は冗談だけど。
始末書は書いてもらうけどね」
「ありがとうございます……!」
あたまが膝に付くほど下げた。
それだけで済んだなんて、もう感謝しかないよー!
「そっちの彼は会社に戻って聞いて。
といっても、こちらが勝手に巻き込んだんだから、こちらから謝罪に伺わないといけないけどね」
にっこりと仙道社長が笑う。
「すみません、すみません」
今度はペコペコと何度もあたまを下げた。
結果オーライだったからといって、考え無しの自分が憎い。
「本日は誠に、申し訳ありませんでした。
また寛大なご処置、ありがとうございます」
「うん、早く式の日取りを決めてね」
ふたり揃ってあたまを下げて社長室をあとにする。
「そういえば、滝島さんはお仕事いいんですか?」
仕事でもないのによその会社に来て、そこの社長にからかわれていていいはずがない。
「ん?
熱が出たから早退します、って午後休で帰った」
うおっ、私には真似できない。
そしてそれを許す会社も凄い……。
「茉理乃こそ仕事、いいのかよ」
「あ……」
部署のある階に戻ってきたら、ジト目で大石課長から睨まれた。
「えっと。
サ、サボった分もしなきゃだから、遅くなると……思う」
「わかった。
じゃ、一回会社、戻ってくるわ。
終わったら連絡して」
滝島さんが立ち止まって振り返る。
あれ? とか思っていたら彼の唇が私の唇に触れた。
「じゃあなー」
ひらひらと手を振って去っていく滝島さんを見送る。
いなくなってぼーっと後ろを向いたら、怖ーい顔の大石課長が立っていた。
「いーぶーかー」
「ハイッ、スミマセン!
すぐにやります!」
これはサボったと責められても仕方ないので、甘んじて受ける。
机に着いて放置していた仕事から手をつけた。
「なあ、なんてツイートするんだ?」
「滝島さんの方こそ」
恥ずかしくて画面は隠しているから互いに見えない。
「TLを見てのお楽しみってことで」
「だな」
ぽちっと、ほぼ同時にツイートボタンを押す。
すぐに同じ画像を付けたミツミとカイザージムのツイートが並んだ。
【皆様の応援のおかげで両思いになれました。
ありがとうございます】
【おかげさまで、可愛い彼女ができました。
めいっぱい幸せにして、次は結婚報告ができるように頑張ります!】
「えっ、滝島さん!?
結婚って!?」
「んー、なんだろうなー」
滝島さんはヘラヘラと締まらない顔で笑っている。
ただ、それだけで幸せなのってなんでだろ。
「……で。
ふたりとも社長室へいいかぁ……?」
こめかみをピキピキと引き攣らせた大石課長の声で現実が戻ってくる。
「は、はいっ!」
なんだかいちゃついていたのを見られたのが恥ずかしくて、逃げるように社長室へ急いだ。
ドアの前で一度深呼吸。
頷きあったあと、ノックした。
「どうぞ」
「失礼します」
社長室へ入るのは初めてで、こんなときだからこそさらに緊張する。
「今日はお騒がせして申し訳ございませんでした!
全責任は私にありますので、彼女への罰は寛大にお願いいたします!」
仙道社長の前に立つなり、滝島さんが勢いよくあたまを下げた。
慌てて私も一緒にあたまを下げる。
「それで、式はいつにする?」
「……は?」
ふたり同時に口から間抜けな音が出たけど、仕方ない。
想定外、どころじゃないことを言われたんだから。
「公開告白したんだから、次は公開結婚だろ?」
「えっと……」
仙道社長は机の上に両肘を付いて指を組み、若干乗り出し気味に私たちを見ている。
「満見社長とも話したんだけどさ、記念に共同でなにかやるのもいいねって」
「あの……」
なんですでに、そんなところまで話が進んでいるんだろう?
そもそもここは、会社のアカウントを使って超個人的なことをやり、しかも他社を巻き込むとかーってお叱りを受けるところじゃ?
滝島さんも同意見らしく、困惑しているし。
「なにしようか。
君たちからも意見はない?
恋愛にちなんだものがいいよね、もちろん」
ひとりで仙道社長は話し続けているが、いいんだろうか。
「その。
……お叱り、は」
おずおずと滝島さんが口にする。
途端にそれまで饒舌に喋っていた仙道社長が止まった。
「なんで?」
信じられないものでも見るかのように、大きく一回、彼がまばたきした。
「フォロワーが一気に倍に増えた上に、ほとんどが好意的な意見。
ヘタな宣伝打つより認知度は上がっただろうし、それでなおかつ伊深くんのお給料を減らすから会社としてはプラスだし、費用対効果抜群なんだけど」
「えっ、減給ですか……!?」
さらっと言われて一瞬、聞き逃すところだった。
そうか、減給か……。
覚悟はしていたけど、痛いな。
「まあ、減給は冗談だけど。
始末書は書いてもらうけどね」
「ありがとうございます……!」
あたまが膝に付くほど下げた。
それだけで済んだなんて、もう感謝しかないよー!
「そっちの彼は会社に戻って聞いて。
といっても、こちらが勝手に巻き込んだんだから、こちらから謝罪に伺わないといけないけどね」
にっこりと仙道社長が笑う。
「すみません、すみません」
今度はペコペコと何度もあたまを下げた。
結果オーライだったからといって、考え無しの自分が憎い。
「本日は誠に、申し訳ありませんでした。
また寛大なご処置、ありがとうございます」
「うん、早く式の日取りを決めてね」
ふたり揃ってあたまを下げて社長室をあとにする。
「そういえば、滝島さんはお仕事いいんですか?」
仕事でもないのによその会社に来て、そこの社長にからかわれていていいはずがない。
「ん?
熱が出たから早退します、って午後休で帰った」
うおっ、私には真似できない。
そしてそれを許す会社も凄い……。
「茉理乃こそ仕事、いいのかよ」
「あ……」
部署のある階に戻ってきたら、ジト目で大石課長から睨まれた。
「えっと。
サ、サボった分もしなきゃだから、遅くなると……思う」
「わかった。
じゃ、一回会社、戻ってくるわ。
終わったら連絡して」
滝島さんが立ち止まって振り返る。
あれ? とか思っていたら彼の唇が私の唇に触れた。
「じゃあなー」
ひらひらと手を振って去っていく滝島さんを見送る。
いなくなってぼーっと後ろを向いたら、怖ーい顔の大石課長が立っていた。
「いーぶーかー」
「ハイッ、スミマセン!
すぐにやります!」
これはサボったと責められても仕方ないので、甘んじて受ける。
机に着いて放置していた仕事から手をつけた。
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