うさぎと狼

その患者を診たとき、酷く心がざわついた。

いまにも壊れてしまいそうだったから。

精神科医だからそんな患者は見慣れている。

なのに、その患者に対して酷く心がざわついたのだ。

医者になって十年。

患者を前に緊張するなんて、駆け出しの頃以来。

彼の名前を呼ぶ声が、震えてしまいそうで怖かった。

ばくばく早い心臓の鼓動が聞こえてないか心配になってくる。

診療を終え、彼の次の予約を確認すると、うきうきとしてしまった自分を否定する。

……患者にそんな感情を抱いてはいけない。

しかし、彼は次の診察日に来なかった。
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