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第2部
第2部 1話 幸せな日々
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あの【夏星の大宴】から二ヶ月後。そろそろ秋も半ばに入ったある朝のことです。
私、ミゼール領辺境騎士団ポーション職人長ルルティーナ・プランティエ伯爵は、ポーション作りに精を出していました。
場所はミゼール城内のポーション作成室です。
「私が作成する【新特級ポーション】と、皆様が作成する【準特級ポーション】は、材料も作成過程も同じです。光属性魔石と七つの薬草を使います」
まずは光属性の魔石をトンカチで砕き、乳鉢に入れて乳鉢で細かくすり潰していきます。
魔石がすり潰される音と光が弾け、私と新入りのポーション職人たちを照らします。全員、私と同じポーション職人の白い衣装を着ています。
「このように、魔石は粉状になるまですり潰します」
「あの硬い魔石をこんな短時間で粉に!?」
「しかもお一人での作業よ。すごい。なんて細かいの」
「私たちが作っていた上級ポーションも、丁寧に魔石を砕いていましたが……」
「ええ、ここまでではありませんでした」
「プランティエ職人長、尊敬します!」
新入り職人たちが、目をキラキラさせながら私と魔石を見比べます。
うう……顔が熱い。ちょっと照れてしまうわ。嫌じゃないけど……。むしろ、尊敬してもらえて嬉しいけど……。
彼らは、元アンブローズ侯爵領のポーション職人です。
私は知りませんでしたが、元アンブローズ侯爵によって奴隷のように働かされていたそうです。
アンブローズ侯爵家が取り潰され、彼らのその後は三つに別れました。
新しい領主の元で働く者。王都など別の場所で独立する者。そして彼ら、私の元で働くことを希望する者たちに。
彼らは男女共に若い方が多く、とても意欲的です。
初めてお会いした日のことを思い出します。
『ありがとうございます。私どもが救われたのは、プランティエ職人長様のおかげです』
『それは違います。私はなにもしていません』
私は驚いて否定しました。彼らを逃して保護したのは国です。
『いいえ。貴女様の存在がなければ元アンブローズ侯爵の悪行は明かされず、何の力もない私ども平民は救われませんでした』
『それにプランティエ職人長は、憧れの【新特級ポーション】を生み出したポーション職人です!』
『しかも私ども領民が慕っていた前アンブローズ侯爵のお孫様です!ぜひ、お仕えさせて下さい!』
私は彼らの言葉に感激しました。
私がかつてアンブローズ侯爵令嬢だった頃、彼らアンブローズ領領民の力になることが夢の一つでした。その夢が、形を変えて叶ったのです。
私は、彼らの敬意に値するポーション職人でありたい。
誇らしい思い出から意識を現実に戻し、次の工程に移りながら説明します。
「丁寧さはもちろん必要です。また、作業は全て一人でしなければなりません」
「だから、エイルさんユーリさんも見ているだけなんですね」
「その通りだ」
「うん。私たちも【準特級ポーション】を作成する時は一人で作業しているよ」
実は最初からいた、古参のポーション職人の二人が頷きます。
また、壁際に立っている私の専属侍女シアンもポーション作成には手を出しません。
シアンは残念がっていましたが、こればかりは仕方ありません。これからも、シアンの有能さは他の仕事で発揮してもらいます。
「そしてあと二つ、大切なことがあります。
まずは、薬の女神様に感謝して祈ることです」
魔石の粉の入った乳鉢を避け、手を洗います。まな板の上に紅玉草を出し、葉をナイフで刻んで乳鉢と乳棒ですり潰します。
もちろん、祈りの言葉を口にしながらです。
「薬の女神様にお祈り申し上げます。どうか、このポーションを飲む方を少しでも癒せますように。魔境を浄化できますように」
そして心の中だけで『魔境討伐中のドリィたちが無事に帰還できますように』と、祈りました。
ドリィ。ミゼール領辺境騎士団団長アドリアン・ベルダール辺境伯。
短く整った濃い金髪、青空のような瞳、黒い騎士装束をまとった雄々しい婚約者の姿が脳裏に浮かびます。
私の大切な婚約者が、魔境討伐に向かって二週間が経ちます。
そろそろ帰ってくるはずですが、魔境討伐は魔獣と戦い瘴気を浄化する激務です。
どうか無事で帰って来て。あの眩しい笑顔を見せて。
「薬の女神様にお祈り申し上げます。どうか、ミゼール領辺境騎士団に女神様の加護をお授け下さいませ」
落陽橙の皮を削って粉に。
翡翠蘭の根を細かく刻み。
天空百合の花を繊維状にほぐし。
瑠璃玉葡萄の実の汁を一滴残らず絞り。
蔓紫水晶の蔓茎を砕いて、下ごしらえは終わりました。
大鍋を乗せた魔道釜戸に火を付けます。
「下ごしらえした順に材料を入れて、木べらでかき混ぜます。火力調整は慎重に。かき混ぜる手を止めてはいけません。異臭がでた場合は、すぐに火を止めてください」
全ての材料が溶け合い、濁った黒い夜空のような色になっていきます。
手を動かし、鍋の中身を観察し、祈ります。
「薬の女神様にお祈り申し上げます。どうか、このポーションに力をお与え下さい。辺境騎士団の皆さまを、ドリィを癒す力を……」
どれだけの時が過ぎたか。
大鍋から透き通った光があふれます。
星のない闇夜のような液体が、透き通った光のような液体になりました。
わあっと歓声が上がります。
「出来ました。完成したら、毒味の一匙を頂きます。これが一番大事な作業です。
出来上がったポーションに問題がないか確認する、いわば検品作業ですね。
先に言った二つも大切ですが、毒味の一匙だけは忘れてはなりません。ポーションは万能薬。つまり薬です。
薬は一つ間違えれば毒になりますから」
私は、パンセ師匠の言葉を思い出しながら言いました。
師匠の教えが私の中に生きている。
嬉しくて口が綻びます。
皆で毒味の一匙を飲みます。
身体を爽やかな風と光が通るような感覚。全身に活力がみなぎり……。
「すごい!一口で腰痛が消えた!」
「僕もこんなポーションが作れるようになりたい!」
「ええ!私も!」
たくさんの方に認められている幸福に満たされます。
では、彼らにも作業をしてもらおうとしたその時。
ーーーカーン!カラン!カン!ガン!ガラン!ーーー
「うわ!?何の音だ!?」
「え?鐘の音?緊急事態?」
慌てる彼らに笑って大丈夫だと告げます。
「騎士様たちが、無事に魔境討伐から帰って来たのを報せる鐘です」
よかった。今回もドリィは無事だわ。嬉しい。ホッとした。
……早く会いたい。
「プランティエ職人長。ここは私たちに任せて、団長閣下方をお出迎えされてはいかがでしょうか?」
「そうですよ!愛しの婚約者様に会いに行って下さい!」
「い、愛しの!?」
エイルさんとユーリさんの、まるで私の心を読んだかのような言葉。恥ずかしくて顔が熱くなります。
いつの間にか側にいたシアンが、生温い笑みを浮かべました。
「ルルティーナ様、参りましょう。閣下もルルティーナ様にお会いしたくて限界でしょうし」
「え、ええ。お言葉に甘えるわ……」
私はシアンと共にポーション作成室を出て、城の正面玄関に向かいます。
玄関の大扉は開かれていて、こちらに向かう騎士様方の姿が見えます。
先頭にドリィがいます!あっ!馬から降りて走って来ました!
「ルティ!君の元に帰ってきたよ!」
「ドリィ!お帰りなさ……きゃ!」
ドリィは私の背中と膝に手を回して抱き上げました。私がドリィを見下ろす姿勢です。
眩しい笑顔で見上げられてドキドキします。いいえ、そんな場合じゃないわ!ドリィの威厳が台無しよ!
「ど、ドリィ!人前では駄目!下ろして!」
「すまない。少しだけ許してくれ。やっとルティに会えたんだ!」
「きゃあ!ドリィったらもう!」
ドリィは叫んで、くるくると回りました。黒いマントがふわりと広がります。
「ああ、君の香りがする。薬草の爽やかな香りと君自身の甘い香りだ……ほっとするよ。俺は此処に帰って来れたんだ」
「ドリィ……仕方ないわね。ちょっとだけよ。私も貴方が帰ってきて、ほっとしているから」
シアンの「うわ。団長閣下変態臭い」、団員様方の「ベタ惚れにもほどがある」「団長、飼い主に再会した犬みてえ」「プランティエ職人長が甘やかし過ぎたせいっすよ」という声が聞こえましたが、聞かなかったことにします。
さようならドリィの威厳……。
「ルティ、俺は幸せ者だ」
「私も幸せ」
ドリィの威厳は悲しいことになりましたが、幸せで胸がいっぱいです。私はほとんど無意識のうちに感謝を口にしていました。
「薬の女神様。この幸せな生活をお授け下さりありがとうございます」
まさかこの幸せな生活に横槍が入るだなんて、この時の私は想像もしていませんでした。
◆◆◆◆◆◆
閲覧頂きありがとうございます。
よろしければ、お気に入り登録、エール、コンテスト投票、いいね等反応頂ければ幸いです。
第2部の連載を始めました。
毎日更新予定ですが、書きながら投稿していくので途中で止まるかもしれません。完結まで書き上げられるよう頑張ります。
皆様からの反応が大きな活力です。よろしくお願いします。
私、ミゼール領辺境騎士団ポーション職人長ルルティーナ・プランティエ伯爵は、ポーション作りに精を出していました。
場所はミゼール城内のポーション作成室です。
「私が作成する【新特級ポーション】と、皆様が作成する【準特級ポーション】は、材料も作成過程も同じです。光属性魔石と七つの薬草を使います」
まずは光属性の魔石をトンカチで砕き、乳鉢に入れて乳鉢で細かくすり潰していきます。
魔石がすり潰される音と光が弾け、私と新入りのポーション職人たちを照らします。全員、私と同じポーション職人の白い衣装を着ています。
「このように、魔石は粉状になるまですり潰します」
「あの硬い魔石をこんな短時間で粉に!?」
「しかもお一人での作業よ。すごい。なんて細かいの」
「私たちが作っていた上級ポーションも、丁寧に魔石を砕いていましたが……」
「ええ、ここまでではありませんでした」
「プランティエ職人長、尊敬します!」
新入り職人たちが、目をキラキラさせながら私と魔石を見比べます。
うう……顔が熱い。ちょっと照れてしまうわ。嫌じゃないけど……。むしろ、尊敬してもらえて嬉しいけど……。
彼らは、元アンブローズ侯爵領のポーション職人です。
私は知りませんでしたが、元アンブローズ侯爵によって奴隷のように働かされていたそうです。
アンブローズ侯爵家が取り潰され、彼らのその後は三つに別れました。
新しい領主の元で働く者。王都など別の場所で独立する者。そして彼ら、私の元で働くことを希望する者たちに。
彼らは男女共に若い方が多く、とても意欲的です。
初めてお会いした日のことを思い出します。
『ありがとうございます。私どもが救われたのは、プランティエ職人長様のおかげです』
『それは違います。私はなにもしていません』
私は驚いて否定しました。彼らを逃して保護したのは国です。
『いいえ。貴女様の存在がなければ元アンブローズ侯爵の悪行は明かされず、何の力もない私ども平民は救われませんでした』
『それにプランティエ職人長は、憧れの【新特級ポーション】を生み出したポーション職人です!』
『しかも私ども領民が慕っていた前アンブローズ侯爵のお孫様です!ぜひ、お仕えさせて下さい!』
私は彼らの言葉に感激しました。
私がかつてアンブローズ侯爵令嬢だった頃、彼らアンブローズ領領民の力になることが夢の一つでした。その夢が、形を変えて叶ったのです。
私は、彼らの敬意に値するポーション職人でありたい。
誇らしい思い出から意識を現実に戻し、次の工程に移りながら説明します。
「丁寧さはもちろん必要です。また、作業は全て一人でしなければなりません」
「だから、エイルさんユーリさんも見ているだけなんですね」
「その通りだ」
「うん。私たちも【準特級ポーション】を作成する時は一人で作業しているよ」
実は最初からいた、古参のポーション職人の二人が頷きます。
また、壁際に立っている私の専属侍女シアンもポーション作成には手を出しません。
シアンは残念がっていましたが、こればかりは仕方ありません。これからも、シアンの有能さは他の仕事で発揮してもらいます。
「そしてあと二つ、大切なことがあります。
まずは、薬の女神様に感謝して祈ることです」
魔石の粉の入った乳鉢を避け、手を洗います。まな板の上に紅玉草を出し、葉をナイフで刻んで乳鉢と乳棒ですり潰します。
もちろん、祈りの言葉を口にしながらです。
「薬の女神様にお祈り申し上げます。どうか、このポーションを飲む方を少しでも癒せますように。魔境を浄化できますように」
そして心の中だけで『魔境討伐中のドリィたちが無事に帰還できますように』と、祈りました。
ドリィ。ミゼール領辺境騎士団団長アドリアン・ベルダール辺境伯。
短く整った濃い金髪、青空のような瞳、黒い騎士装束をまとった雄々しい婚約者の姿が脳裏に浮かびます。
私の大切な婚約者が、魔境討伐に向かって二週間が経ちます。
そろそろ帰ってくるはずですが、魔境討伐は魔獣と戦い瘴気を浄化する激務です。
どうか無事で帰って来て。あの眩しい笑顔を見せて。
「薬の女神様にお祈り申し上げます。どうか、ミゼール領辺境騎士団に女神様の加護をお授け下さいませ」
落陽橙の皮を削って粉に。
翡翠蘭の根を細かく刻み。
天空百合の花を繊維状にほぐし。
瑠璃玉葡萄の実の汁を一滴残らず絞り。
蔓紫水晶の蔓茎を砕いて、下ごしらえは終わりました。
大鍋を乗せた魔道釜戸に火を付けます。
「下ごしらえした順に材料を入れて、木べらでかき混ぜます。火力調整は慎重に。かき混ぜる手を止めてはいけません。異臭がでた場合は、すぐに火を止めてください」
全ての材料が溶け合い、濁った黒い夜空のような色になっていきます。
手を動かし、鍋の中身を観察し、祈ります。
「薬の女神様にお祈り申し上げます。どうか、このポーションに力をお与え下さい。辺境騎士団の皆さまを、ドリィを癒す力を……」
どれだけの時が過ぎたか。
大鍋から透き通った光があふれます。
星のない闇夜のような液体が、透き通った光のような液体になりました。
わあっと歓声が上がります。
「出来ました。完成したら、毒味の一匙を頂きます。これが一番大事な作業です。
出来上がったポーションに問題がないか確認する、いわば検品作業ですね。
先に言った二つも大切ですが、毒味の一匙だけは忘れてはなりません。ポーションは万能薬。つまり薬です。
薬は一つ間違えれば毒になりますから」
私は、パンセ師匠の言葉を思い出しながら言いました。
師匠の教えが私の中に生きている。
嬉しくて口が綻びます。
皆で毒味の一匙を飲みます。
身体を爽やかな風と光が通るような感覚。全身に活力がみなぎり……。
「すごい!一口で腰痛が消えた!」
「僕もこんなポーションが作れるようになりたい!」
「ええ!私も!」
たくさんの方に認められている幸福に満たされます。
では、彼らにも作業をしてもらおうとしたその時。
ーーーカーン!カラン!カン!ガン!ガラン!ーーー
「うわ!?何の音だ!?」
「え?鐘の音?緊急事態?」
慌てる彼らに笑って大丈夫だと告げます。
「騎士様たちが、無事に魔境討伐から帰って来たのを報せる鐘です」
よかった。今回もドリィは無事だわ。嬉しい。ホッとした。
……早く会いたい。
「プランティエ職人長。ここは私たちに任せて、団長閣下方をお出迎えされてはいかがでしょうか?」
「そうですよ!愛しの婚約者様に会いに行って下さい!」
「い、愛しの!?」
エイルさんとユーリさんの、まるで私の心を読んだかのような言葉。恥ずかしくて顔が熱くなります。
いつの間にか側にいたシアンが、生温い笑みを浮かべました。
「ルルティーナ様、参りましょう。閣下もルルティーナ様にお会いしたくて限界でしょうし」
「え、ええ。お言葉に甘えるわ……」
私はシアンと共にポーション作成室を出て、城の正面玄関に向かいます。
玄関の大扉は開かれていて、こちらに向かう騎士様方の姿が見えます。
先頭にドリィがいます!あっ!馬から降りて走って来ました!
「ルティ!君の元に帰ってきたよ!」
「ドリィ!お帰りなさ……きゃ!」
ドリィは私の背中と膝に手を回して抱き上げました。私がドリィを見下ろす姿勢です。
眩しい笑顔で見上げられてドキドキします。いいえ、そんな場合じゃないわ!ドリィの威厳が台無しよ!
「ど、ドリィ!人前では駄目!下ろして!」
「すまない。少しだけ許してくれ。やっとルティに会えたんだ!」
「きゃあ!ドリィったらもう!」
ドリィは叫んで、くるくると回りました。黒いマントがふわりと広がります。
「ああ、君の香りがする。薬草の爽やかな香りと君自身の甘い香りだ……ほっとするよ。俺は此処に帰って来れたんだ」
「ドリィ……仕方ないわね。ちょっとだけよ。私も貴方が帰ってきて、ほっとしているから」
シアンの「うわ。団長閣下変態臭い」、団員様方の「ベタ惚れにもほどがある」「団長、飼い主に再会した犬みてえ」「プランティエ職人長が甘やかし過ぎたせいっすよ」という声が聞こえましたが、聞かなかったことにします。
さようならドリィの威厳……。
「ルティ、俺は幸せ者だ」
「私も幸せ」
ドリィの威厳は悲しいことになりましたが、幸せで胸がいっぱいです。私はほとんど無意識のうちに感謝を口にしていました。
「薬の女神様。この幸せな生活をお授け下さりありがとうございます」
まさかこの幸せな生活に横槍が入るだなんて、この時の私は想像もしていませんでした。
◆◆◆◆◆◆
閲覧頂きありがとうございます。
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毎日更新予定ですが、書きながら投稿していくので途中で止まるかもしれません。完結まで書き上げられるよう頑張ります。
皆様からの反応が大きな活力です。よろしくお願いします。
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