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第2部
第2部 42話 デートとプロポーズ
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大変な一日の翌朝。私はいつもの時間に目覚めました。
「ルルティーナ様、おはようございます」
「おはようシアン」
ベッドに座り、目覚めのお茶をいただきます。
今日のお茶は、翡翠蘭ハーブティーです。流石はシアン。たくさん食べた上、様々なことがあった翌朝に相応しいお茶だわ。
心身の調子を整えてくれるでしょう。
「あら?いつもより明るい緑……。少し光って見えるわね?香りもとても良いわ」
一口飲むと、爽やかな風が身体を吹き抜けるよう!清々しい気持ち。昨夜の精神的な疲労が消えていく。
「前よりも美味しい!シアンったら、またお茶を淹れる腕を上げたのね!」
シアンは頬を染めて微笑みました。
「お褒めいただき恐縮です!ルルティーナ様に飲んでいただく為、研鑽を積んだ甲斐がありますわ!
ところでルルティーナ様、本日のご予定ですが……」
「午前中は荷造りよね。午後はお義母様たちとお買い物に行くから、早めに済まさなくちゃ」
そうです。明日は王都から出発するので、今日中に荷造りをしなければなりません。
また、午後は久しぶりにお義母様と街歩きしてお買い物します。荷造りを早く終わらせて外食し、ミゼール領の皆様へのお土産などを買う予定です。
残念ながら、ドリィは別行動です。騎士の皆様と親睦を深めるため、競馬を見に行くとか。
競馬は本でしか知りませんが、いつか私も見に行きたいです。
「団長閣下の予定ですが、中止になったそうです」
「あら?そうなの?何かあったのかしら」
「いいえ。ふふふっ」
シアンは堪え切れないといった様子で笑います。
「なんでも、『せっかくの王都なのに、ルティと街歩きできない』と愚痴っていたのを聞いた騎士様方が『自分たちとの交友は次回でいい。婚約者殿との時間を大切にしなさい』と手紙で伝えたそうです」
「まあ!それはお気を使わせてしまったわね!」
「ふふふ。皆様、団長閣下が婚約したことを喜んで下さっているのです。お気になさらずとも良いかと」
「そういうことなら……。ところでシアンは、どうしてそんなに笑っているの?」
「んふふっ。失礼しました。手紙を読んだ団長閣下は、ルルティーナ様と街歩きするため、アメティスト子爵夫人を説得しようとしました。
そのため早朝から本邸にいらしたのですが、勢いあまって玄関ドアを壊してしまったのです」
「ええ!?玄関ドアって、あの大きくて分厚いドア!?」
「そ、そうです!ふふっ。ど、ドアを叩いてバキッと割って!そ、それで……くふふっ!アメティスト子爵夫妻に叱られているんです!あはは!あんなしょんぼりした団長閣下、久しぶりに見ましたよ!」
「ドリィ……勢い余ったのね。私と街歩きしたいと思ってくれているのは嬉しいけど……」
翡翠蘭ハーブティーで爽やかに目覚めたのに、頭が痛くなってきわ。
……でも、ドリィと街歩きできるのは嬉しい。
◆◆◆◆
その後、なんとかドリィと街歩き出来ることになりました。
しかも荷造りはすぐに終わったので、午前中からです!
これはシアンの有能さのおかげと、戻って来てくれたニトとリルのお陰です。
彼女たちも私の専属侍女ですが、今回は情報収集などの裏方に徹してもらったのです。
シアンも含めて特別手当や休暇をあげないといけませんね。
今は馬車の中。向かい側に座るドリィがため息を吐きます。
「久しぶりにやってしまった……」
「うふふ」
しょんぼりした顔が可愛い。
それに軽装だと、年齢より若く見えます。
可愛くて愛おしくて、つい笑ってしまうの。
「ルティ、笑わないでくれ。昨日からちょっと意地悪だぞ」
「ふふっ!その言い方も可愛い!」
「ルティ!」
「ご、ごめんね。小さい男の子みたいで愛おしくて……」
「は?小さい男の子!?愛おしい!?……はあ、ルティに可愛がってもらえるなら悪くないな」
「そうやって切り替えられるところは大人ね。どっちのドリィも好きよ」
「ルティ……」
「ドリィ……」
「お二人とも、私も居るのを忘れないでくださいね?聞こえてます?……駄目だ。ラピスラズリ侯爵閣下の言う通り、二人の世界ですね……」
シアンには悪いですが、しばらく見つめあっていたのでした。
◆◆◆◆◆
馬車を降りて街を歩きます。
「風が冷たい。もうすぐ冬ね」
「ルティ、俺のコートも着た方がいいんじゃないか?」
「大丈夫。歩いているうちに温かくなるわ。ドリィこそちゃんと着て」
私は青地に花柄のワンピースを着て白いコートを羽織っています。
ドリィは白いシャツに青いベスト着て黒いズボンをはき、濃い灰色のコートを羽織っています。
シアンも侍女のお仕着せではなく、紺色のワンピースとコート姿です。
私たちは街を散策しながらお土産を買いました。
あらかじめミゼール領の皆様に希望を聞いています。
特にポーション職人の皆様と騎士の皆様には、私たちの王都滞在が伸びたのでご迷惑をおかけしたので、しっかり買わないといけません。
もちろん、ビオラ師匠たちの分もです。
お洒落なマフラー、手袋、マント、ベルト、髪飾り、香水、手鏡。
紅茶の茶葉、王都で流行のお菓子、娯楽本、女優の絵姿などなど。
「この髪飾り模様が華やかで素敵!どれがいいかしら?」
「ルティには桃色か青かな?ほら、君の銀髪に良く映える」
「もう!私じゃなくてユーリさんたちに似合う髪留めを選ぶの!」
「団長閣下に聞いても仕方ありませんよ。ポーション職人のユーリさんは私服が華やかですし、こちらがよろしいかと。他の方は……」
買い上げたお土産は、梱包してアメティスト邸に運んでもらいます。
身軽に歩き回れることもあり、楽しくてつい夢中になりました。
「これで全部ですね」
「ああ、やっと終わった」
全て買い終わる頃には、お昼を少し過ぎていました。
シアンが微笑みます。
「私は先にお邸に戻ります。お二人はデートを楽しまれて下さい」
私とドリィは頷き、ある店に向かいました。店はもちろん……。
「ずっと、また君と来たかったんだ」
「私もよ」
二人の思い出の店である【リールのカフェ】です。
「少し急ごう。ランチタイムのラストオーダーが近い」
「それはいけないわ!走りましょう!」
私たちは子供のように声を上げながら、王都の街を走りました。
クリーム色の壁と緑色の屋根。そして、季節の花々に包まれている可愛らしいカフェに到着しました。
「間に合った。席も空いてるみたいだ」
「運がいいわね」
ご機嫌で席に座る私たち。
テーブルに飾られた紫のアスターまで微笑んでいるかのよう。
メニューを真剣に見つめて相談します。
「前回は名物のミートパイセットとケーキだったから、今回はチキンのクリーム煮セットとケーキにしようかな」
「私はキッシュセットとケーキにするわ。ケーキはどれにしようかしら。葡萄のチーズケーキ、ショコラとナッツのケーキ、栗のパウンドケーキ……アップルパイも美味しそう!ドリィは何にする?」
「うーん。アップルパイ以外だな」
「あら?どうして?」
ドリィは片眉をあげて、悪戯っぽい顔でいいました。
「アップルパイは、ルティが焼いたものが一番だからね」
「うふふ。嬉しい。帰ったら焼くわね」
「うん。ルティ、どうか毎年アップルパイを焼いて欲しい」
「え?」
急に真剣な眼差しを向けられ驚いていると、ドリィの手が私の手を包みます。
そして、左手の薬指に何かがはまる感触がしました。
まさか……。
ドリィの手が離れて私の手が見える。左手の薬指の上で、青と薄紅の輝きが煌めく。
小粒ながら鮮やかな色彩を放つ宝石が二つ。銀の……指輪の上に並ぶ。ドリィと私の瞳の色。
「これ……婚約指輪?」
そう、お互いの瞳色の宝石を使った指輪は、本来なら婚約式の時に互いの指にはめる婚約指輪。ドリィが今ここではめた意味は……。
「改めて伝えるよ。ルティ、俺と結婚してほしい。
今回のようなことはこれからもあるだろう。俺も君も、色々と事情があるからな。
だけど俺は君と一緒になりたいし、二人でなら乗り越えられると信じている」
きゅうっと、愛しさで胸が一杯になる。
もちろん、私の答えは決まってる。
「ドリィ。貴方の指輪をちょうだい。私の未来の旦那様の指にはめたいから」
ドリィは私の大好きな眩しい笑顔で頷き、指輪を渡してくれた。そして私はドリィの左手の薬指に指輪をはめる。
……少しだけ時間がかかったのは、喜びと緊張で指が震えたせい。
同じ輝きを指にして、私たちは見つめ合う。
「ドリィ。もちろん求婚を受けるわ。私と結婚して」
「ああ、結婚しよう。ルティ……」
「「「わあああ!おめでとうございます!!!」」」
「へ?」
「あっ……」
店が揺れる大歓声に、ここが何処か思い出したの。
わ、私たち人前でなんてことを!
顔が熱い。ドリィもそう。きっと、ドリィも人前だということを忘れていたのね。もう!
でもまあ、いいわ。色々と今更だし、手遅れだし。皆様、お祝いしてくれてるし。
「きゃー!プロポーズを生で見れるなんて素敵!」
「その指輪、婚約指輪ですよね?お二人によく似合ってるわ!」
「ご婚約おめでとうございます!お幸せに!」
私はドリィをうながして席を立ち、晴れやかな気持ちで前を向く。
「ありがとうございます!婚約証明書の発行を受け、私たちは正式に婚約しました!これからも二人で幸せに生きていきます!」
万雷の拍手が鳴り響く。幸せすぎて涙が出そう。
◆◆◆◆◆◆
ここまでお読み頂きありがとうございます。明日で第二部本編完結です。
「ルルティーナ様、おはようございます」
「おはようシアン」
ベッドに座り、目覚めのお茶をいただきます。
今日のお茶は、翡翠蘭ハーブティーです。流石はシアン。たくさん食べた上、様々なことがあった翌朝に相応しいお茶だわ。
心身の調子を整えてくれるでしょう。
「あら?いつもより明るい緑……。少し光って見えるわね?香りもとても良いわ」
一口飲むと、爽やかな風が身体を吹き抜けるよう!清々しい気持ち。昨夜の精神的な疲労が消えていく。
「前よりも美味しい!シアンったら、またお茶を淹れる腕を上げたのね!」
シアンは頬を染めて微笑みました。
「お褒めいただき恐縮です!ルルティーナ様に飲んでいただく為、研鑽を積んだ甲斐がありますわ!
ところでルルティーナ様、本日のご予定ですが……」
「午前中は荷造りよね。午後はお義母様たちとお買い物に行くから、早めに済まさなくちゃ」
そうです。明日は王都から出発するので、今日中に荷造りをしなければなりません。
また、午後は久しぶりにお義母様と街歩きしてお買い物します。荷造りを早く終わらせて外食し、ミゼール領の皆様へのお土産などを買う予定です。
残念ながら、ドリィは別行動です。騎士の皆様と親睦を深めるため、競馬を見に行くとか。
競馬は本でしか知りませんが、いつか私も見に行きたいです。
「団長閣下の予定ですが、中止になったそうです」
「あら?そうなの?何かあったのかしら」
「いいえ。ふふふっ」
シアンは堪え切れないといった様子で笑います。
「なんでも、『せっかくの王都なのに、ルティと街歩きできない』と愚痴っていたのを聞いた騎士様方が『自分たちとの交友は次回でいい。婚約者殿との時間を大切にしなさい』と手紙で伝えたそうです」
「まあ!それはお気を使わせてしまったわね!」
「ふふふ。皆様、団長閣下が婚約したことを喜んで下さっているのです。お気になさらずとも良いかと」
「そういうことなら……。ところでシアンは、どうしてそんなに笑っているの?」
「んふふっ。失礼しました。手紙を読んだ団長閣下は、ルルティーナ様と街歩きするため、アメティスト子爵夫人を説得しようとしました。
そのため早朝から本邸にいらしたのですが、勢いあまって玄関ドアを壊してしまったのです」
「ええ!?玄関ドアって、あの大きくて分厚いドア!?」
「そ、そうです!ふふっ。ど、ドアを叩いてバキッと割って!そ、それで……くふふっ!アメティスト子爵夫妻に叱られているんです!あはは!あんなしょんぼりした団長閣下、久しぶりに見ましたよ!」
「ドリィ……勢い余ったのね。私と街歩きしたいと思ってくれているのは嬉しいけど……」
翡翠蘭ハーブティーで爽やかに目覚めたのに、頭が痛くなってきわ。
……でも、ドリィと街歩きできるのは嬉しい。
◆◆◆◆
その後、なんとかドリィと街歩き出来ることになりました。
しかも荷造りはすぐに終わったので、午前中からです!
これはシアンの有能さのおかげと、戻って来てくれたニトとリルのお陰です。
彼女たちも私の専属侍女ですが、今回は情報収集などの裏方に徹してもらったのです。
シアンも含めて特別手当や休暇をあげないといけませんね。
今は馬車の中。向かい側に座るドリィがため息を吐きます。
「久しぶりにやってしまった……」
「うふふ」
しょんぼりした顔が可愛い。
それに軽装だと、年齢より若く見えます。
可愛くて愛おしくて、つい笑ってしまうの。
「ルティ、笑わないでくれ。昨日からちょっと意地悪だぞ」
「ふふっ!その言い方も可愛い!」
「ルティ!」
「ご、ごめんね。小さい男の子みたいで愛おしくて……」
「は?小さい男の子!?愛おしい!?……はあ、ルティに可愛がってもらえるなら悪くないな」
「そうやって切り替えられるところは大人ね。どっちのドリィも好きよ」
「ルティ……」
「ドリィ……」
「お二人とも、私も居るのを忘れないでくださいね?聞こえてます?……駄目だ。ラピスラズリ侯爵閣下の言う通り、二人の世界ですね……」
シアンには悪いですが、しばらく見つめあっていたのでした。
◆◆◆◆◆
馬車を降りて街を歩きます。
「風が冷たい。もうすぐ冬ね」
「ルティ、俺のコートも着た方がいいんじゃないか?」
「大丈夫。歩いているうちに温かくなるわ。ドリィこそちゃんと着て」
私は青地に花柄のワンピースを着て白いコートを羽織っています。
ドリィは白いシャツに青いベスト着て黒いズボンをはき、濃い灰色のコートを羽織っています。
シアンも侍女のお仕着せではなく、紺色のワンピースとコート姿です。
私たちは街を散策しながらお土産を買いました。
あらかじめミゼール領の皆様に希望を聞いています。
特にポーション職人の皆様と騎士の皆様には、私たちの王都滞在が伸びたのでご迷惑をおかけしたので、しっかり買わないといけません。
もちろん、ビオラ師匠たちの分もです。
お洒落なマフラー、手袋、マント、ベルト、髪飾り、香水、手鏡。
紅茶の茶葉、王都で流行のお菓子、娯楽本、女優の絵姿などなど。
「この髪飾り模様が華やかで素敵!どれがいいかしら?」
「ルティには桃色か青かな?ほら、君の銀髪に良く映える」
「もう!私じゃなくてユーリさんたちに似合う髪留めを選ぶの!」
「団長閣下に聞いても仕方ありませんよ。ポーション職人のユーリさんは私服が華やかですし、こちらがよろしいかと。他の方は……」
買い上げたお土産は、梱包してアメティスト邸に運んでもらいます。
身軽に歩き回れることもあり、楽しくてつい夢中になりました。
「これで全部ですね」
「ああ、やっと終わった」
全て買い終わる頃には、お昼を少し過ぎていました。
シアンが微笑みます。
「私は先にお邸に戻ります。お二人はデートを楽しまれて下さい」
私とドリィは頷き、ある店に向かいました。店はもちろん……。
「ずっと、また君と来たかったんだ」
「私もよ」
二人の思い出の店である【リールのカフェ】です。
「少し急ごう。ランチタイムのラストオーダーが近い」
「それはいけないわ!走りましょう!」
私たちは子供のように声を上げながら、王都の街を走りました。
クリーム色の壁と緑色の屋根。そして、季節の花々に包まれている可愛らしいカフェに到着しました。
「間に合った。席も空いてるみたいだ」
「運がいいわね」
ご機嫌で席に座る私たち。
テーブルに飾られた紫のアスターまで微笑んでいるかのよう。
メニューを真剣に見つめて相談します。
「前回は名物のミートパイセットとケーキだったから、今回はチキンのクリーム煮セットとケーキにしようかな」
「私はキッシュセットとケーキにするわ。ケーキはどれにしようかしら。葡萄のチーズケーキ、ショコラとナッツのケーキ、栗のパウンドケーキ……アップルパイも美味しそう!ドリィは何にする?」
「うーん。アップルパイ以外だな」
「あら?どうして?」
ドリィは片眉をあげて、悪戯っぽい顔でいいました。
「アップルパイは、ルティが焼いたものが一番だからね」
「うふふ。嬉しい。帰ったら焼くわね」
「うん。ルティ、どうか毎年アップルパイを焼いて欲しい」
「え?」
急に真剣な眼差しを向けられ驚いていると、ドリィの手が私の手を包みます。
そして、左手の薬指に何かがはまる感触がしました。
まさか……。
ドリィの手が離れて私の手が見える。左手の薬指の上で、青と薄紅の輝きが煌めく。
小粒ながら鮮やかな色彩を放つ宝石が二つ。銀の……指輪の上に並ぶ。ドリィと私の瞳の色。
「これ……婚約指輪?」
そう、お互いの瞳色の宝石を使った指輪は、本来なら婚約式の時に互いの指にはめる婚約指輪。ドリィが今ここではめた意味は……。
「改めて伝えるよ。ルティ、俺と結婚してほしい。
今回のようなことはこれからもあるだろう。俺も君も、色々と事情があるからな。
だけど俺は君と一緒になりたいし、二人でなら乗り越えられると信じている」
きゅうっと、愛しさで胸が一杯になる。
もちろん、私の答えは決まってる。
「ドリィ。貴方の指輪をちょうだい。私の未来の旦那様の指にはめたいから」
ドリィは私の大好きな眩しい笑顔で頷き、指輪を渡してくれた。そして私はドリィの左手の薬指に指輪をはめる。
……少しだけ時間がかかったのは、喜びと緊張で指が震えたせい。
同じ輝きを指にして、私たちは見つめ合う。
「ドリィ。もちろん求婚を受けるわ。私と結婚して」
「ああ、結婚しよう。ルティ……」
「「「わあああ!おめでとうございます!!!」」」
「へ?」
「あっ……」
店が揺れる大歓声に、ここが何処か思い出したの。
わ、私たち人前でなんてことを!
顔が熱い。ドリィもそう。きっと、ドリィも人前だということを忘れていたのね。もう!
でもまあ、いいわ。色々と今更だし、手遅れだし。皆様、お祝いしてくれてるし。
「きゃー!プロポーズを生で見れるなんて素敵!」
「その指輪、婚約指輪ですよね?お二人によく似合ってるわ!」
「ご婚約おめでとうございます!お幸せに!」
私はドリィをうながして席を立ち、晴れやかな気持ちで前を向く。
「ありがとうございます!婚約証明書の発行を受け、私たちは正式に婚約しました!これからも二人で幸せに生きていきます!」
万雷の拍手が鳴り響く。幸せすぎて涙が出そう。
◆◆◆◆◆◆
ここまでお読み頂きありがとうございます。明日で第二部本編完結です。
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