2 / 6
2
しおりを挟む
【3の巻】
ま、それはそれとして。
「えーと、アナタが佐々木小十郎……さん? でいいんだよね? 今日の決闘相手の」
相手が怒ってるってのもあったので、アタシは丁寧にさん付けをして尋ねてみた。
よく伊織に呆れられるアタシだけど、アタシにだってこれくらいのジョーシキはあるのだよ。
ふふん、さすがアタシ!
だっていうのに――、
「小十郎ではない! 佐々木小次郎だ。だいたい我らは初対面ではないだろうが!」
「え? 会ったの初めてっしょ? うげ、まさかナンパ? なんか声はでかいし、めんどくさそうだし、暑苦しくてうっとおしいし、悪いけどあんまし好みのタイプじゃないんだよね……」
「誰がナンパだ! 決闘の日取りを決めるに際して、ご家老様のお屋敷にて一度、顔を合わせているはずだろうが!」
露骨にイラっとした顔を見せる青年剣士。
まったくそんなすぐに感情を表に出すだなんて、人間ができてないなぁ。
子供って年でもないのに、嘆かわしいことだねまったく。
これだから最近の若者は。
器が小さい男は論外だよ?
「あーごめーん! アタシどーでもいー人の顔と名前って、覚えられないタイプなんだよね~。あははメンゴメンゴ、てへぺろ(^_-)-☆」
「ぐぬ――っ!」
可愛くへてぺろったアタシを見て、佐々木小次郎のおでこに青筋が浮かんだのをアタシは見逃さなかった。
というのもだ。
佐々木小次郎は煽られるとすぐ切れるタイプって聞ーてたから、出会い頭にちょこっと一発かましてやった、みたいな?
遅れてきたことも。
舐めた言い訳したことも(寝坊したのは本当なんだけど)。
顔も名前も覚えていないと言って挑発したのも(どっちもうろ覚えだったのは事実だけど)。
全部アタシの華麗なる作戦だったのだ!
どやぁ!( ˘ω˘)
「宮本武蔵! この巌流・佐々木小次郎を愚弄する気か……!」
おー、効いてる効いてる。
やっぱ事前情報は大事だねー。
作戦は大成功!
勝負は剣を抜く前から始まっているのだよ、みたいな?
「まぁまぁ、そんなのどーでもいいじゃん? さっさとやろーよ決闘。大事なのは名前じゃなくて、アタシとアンタ――宮本武蔵と佐々木小次郎のどっちが強いかってことだけでしょ?」
言って、アタシはにやっと自信満々で偉そうに。
佐々木小次郎を馬鹿にして見下すように、いやらしーく笑ってみせた。
敢えてね、ふふっ。
「……もはや情けは無用である。拙者と拙者の極めし巌流をこうまで虚仮にしたこと、閻魔大王の前でとくと後悔するがよい――!」
「はいはいはーい、きちょーなご意見、ありがとごじゃまーす! ……からの、けーれーっ!(キリッ」
アタシはビシィっと敬礼した。
でも顔はぷーくすくすと笑っている。
「きっさまぁ……っ!! どこまでもこのワシを馬鹿にしおってからに! 数々の非礼、絶対に許さんぞ……!」
とまぁそんなわけで?
アタシ宮本武蔵と怒れる佐々木小次郎による、無敗剣士同士の頂上決戦決戦が今、幕を開けようとしていた――。
ま、それはそれとして。
「えーと、アナタが佐々木小十郎……さん? でいいんだよね? 今日の決闘相手の」
相手が怒ってるってのもあったので、アタシは丁寧にさん付けをして尋ねてみた。
よく伊織に呆れられるアタシだけど、アタシにだってこれくらいのジョーシキはあるのだよ。
ふふん、さすがアタシ!
だっていうのに――、
「小十郎ではない! 佐々木小次郎だ。だいたい我らは初対面ではないだろうが!」
「え? 会ったの初めてっしょ? うげ、まさかナンパ? なんか声はでかいし、めんどくさそうだし、暑苦しくてうっとおしいし、悪いけどあんまし好みのタイプじゃないんだよね……」
「誰がナンパだ! 決闘の日取りを決めるに際して、ご家老様のお屋敷にて一度、顔を合わせているはずだろうが!」
露骨にイラっとした顔を見せる青年剣士。
まったくそんなすぐに感情を表に出すだなんて、人間ができてないなぁ。
子供って年でもないのに、嘆かわしいことだねまったく。
これだから最近の若者は。
器が小さい男は論外だよ?
「あーごめーん! アタシどーでもいー人の顔と名前って、覚えられないタイプなんだよね~。あははメンゴメンゴ、てへぺろ(^_-)-☆」
「ぐぬ――っ!」
可愛くへてぺろったアタシを見て、佐々木小次郎のおでこに青筋が浮かんだのをアタシは見逃さなかった。
というのもだ。
佐々木小次郎は煽られるとすぐ切れるタイプって聞ーてたから、出会い頭にちょこっと一発かましてやった、みたいな?
遅れてきたことも。
舐めた言い訳したことも(寝坊したのは本当なんだけど)。
顔も名前も覚えていないと言って挑発したのも(どっちもうろ覚えだったのは事実だけど)。
全部アタシの華麗なる作戦だったのだ!
どやぁ!( ˘ω˘)
「宮本武蔵! この巌流・佐々木小次郎を愚弄する気か……!」
おー、効いてる効いてる。
やっぱ事前情報は大事だねー。
作戦は大成功!
勝負は剣を抜く前から始まっているのだよ、みたいな?
「まぁまぁ、そんなのどーでもいいじゃん? さっさとやろーよ決闘。大事なのは名前じゃなくて、アタシとアンタ――宮本武蔵と佐々木小次郎のどっちが強いかってことだけでしょ?」
言って、アタシはにやっと自信満々で偉そうに。
佐々木小次郎を馬鹿にして見下すように、いやらしーく笑ってみせた。
敢えてね、ふふっ。
「……もはや情けは無用である。拙者と拙者の極めし巌流をこうまで虚仮にしたこと、閻魔大王の前でとくと後悔するがよい――!」
「はいはいはーい、きちょーなご意見、ありがとごじゃまーす! ……からの、けーれーっ!(キリッ」
アタシはビシィっと敬礼した。
でも顔はぷーくすくすと笑っている。
「きっさまぁ……っ!! どこまでもこのワシを馬鹿にしおってからに! 数々の非礼、絶対に許さんぞ……!」
とまぁそんなわけで?
アタシ宮本武蔵と怒れる佐々木小次郎による、無敗剣士同士の頂上決戦決戦が今、幕を開けようとしていた――。
0
あなたにおすすめの小説
日露戦争の真実
蔵屋
歴史・時代
私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。
日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。
日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。
帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。
日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。
ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。
ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。
深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。
この物語の始まりです。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
神典日月神示 真実の物語
蔵屋
歴史・時代
私は二人の方々の神憑りについて、今から25年前にその真実を知りました。
この方たちのお名前は
大本開祖•出口なお(でぐちなお)、
神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)です。
この日月神示(ひつきしんじ)または日尽神示(ひつくしんじ)は、神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)に「国常立尊(国之常立神)という高級神霊からの神示を自動書記によって記述したとされる書物のことです。
昭和19年から27年(昭和23・26年も無し)に一連の神示が降り、6年後の昭和33、34年に補巻とする1巻、さらに2年後に8巻の神示が降りたとされています。
その書物を纏めた書類です。
この書類は神国日本の未来の預言書なのだ。
私はこの日月神示(ひつきしんじ)に出会い、研究し始めてもう25年になります。
日月神示が降ろされた場所は麻賀多神社(まかたじんじゃ)です。日月神示の最初の第一帖と第二帖は第二次世界大戦中の昭和19年6月10日に、この神社の社務所で岡本天明が神憑りに合い自動書記さされたのです。
殆どが漢数字、独特の記号、若干のかな文字が混じった文体で構成され、抽象的な絵のみで書記されている「巻」もあります。
本巻38巻と補巻1巻の計39巻が既に発表されているが、他にも、神霊より発表を禁じられている「巻」が13巻あり、天明はこの未発表のものについて昭和36年に「或る時期が来れば発表を許されるものか、許されないのか、現在の所では不明であります」と語っています。
日月神示は、その難解さから、書記した天明自身も当初は、ほとんど読むことが出来なかったが、仲間の神典研究家や霊能者達の協力などで少しずつ解読が進み、天明亡き後も妻である岡本三典(1917年〈大正6年〉11月9日 ~2009年〈平成21年〉6月23日)の努力により、現在では一部を除きかなりの部分が解読されたと言われているます。しかし、一方では神示の中に「この筆示は8通りに読めるのであるぞ」と書かれていることもあり、解読法の一つに成功したという認識が関係者の間では一般的です。
そのために、仮訳という副題を添えての発表もありました。
なお、原文を解読して漢字仮名交じり文に書き直されたものは、特に「ひふみ神示」または「一二三神示」と呼ばれています。
縄文人の祝詞に「ひふみ祝詞(のりと)」という祝詞の歌があります。
日月神示はその登場以来、関係者や一部専門家を除きほとんど知られていなかったが、1990年代の初め頃より神典研究家で翻訳家の中矢伸一の著作などにより広く一般にも知られるようになってきたと言われています。
この小説は真実の物語です。
「神典日月神示(しんてんひつきしんじ)真実の物語」
どうぞ、お楽しみ下さい。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる