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【4の巻】
アタシと佐々木小次郎は、ガンリュー島(漢字むずい、狭い、何もないの三重苦)の真ん中に移動して、今、互いに向きあっていた。
佐々木小次郎は抜刀と同時に鞘を捨てていて、アタシはまだ二刀とも抜いていない。
最初は敢えて抜刀せずに無刀&自然体でだらーっと構えるのが二天一流、アタシの流儀なのだ。
あ、いちおー説明しておくと、アタシの二天一流は二刀流なんだ。
名前からわかるかもだけど、いちおーね。
だってほら二刀流ってカッコイイでしょ?
伊織は厨二病だのなんだのゆーんだけど、このカッコよさが分からない伊織は背伸びしてるけどまだまだおこちゃまだね。
それに1+1=2なんだから、刀だって1本より2本の方が強いのはカクテーテキに明らか的な?
おっと話がそれちゃったね。
とりあえずは目の前の佐々木小次郎との決闘だよ。
「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ?」
今まさに決闘が始まるってところで、
「刀をしまうための大切な鞘を捨てるだなんて、それってどうなの? あ、負けちゃうから、もうしまうための鞘は必要ない的な? 後ろ向きすぎてウケるwwww」
ってなことを、アタシはとりあえず口から出まかせで煽ってみた。
まぁ完全に出まかせってわけでもないけどね。
剣士にとって鞘を捨てるってのは死ってことと同義だから。
アタシもホーゾー院とか吉岡家とかと戦って結構な死線をくぐってきたんだけど、その経験じょー、そういう良くない予兆を死神の鎌は絶対に見逃さないんだよね。
アタシなら最後の最後まで、何があっても鞘は捨てないよ。
刀は武士の命だ。
その命=刀を守るのが鞘――ってことはつまり、武士の命を守るのが鞘ってことだから。
まぁ鞘はいざって時に殴るのに便利ってのもあるんだけどね。
鞘は結構柔らかいから殴るとすぐに壊れちゃうんだけど、それでも1発、2発くらいなら殴れるから。
何度それでピンチを脱出してきたことか……ごめん、そうでもなかった、3回くらい。
「ピーチクパーチク本当によくしゃべる口よ……!」
アタシの核心をついた指摘を受けて、佐々木小次郎はさらに怒り心頭って感じで吠えたててくる。
しめしめ、だいぶ頭の中がフットーしちゃってるね。
じゃあ、ま。
そろそろ頃合いかな?
いっちょ二天一流をカマしてやりますか。
アタシと佐々木小次郎は、ガンリュー島(漢字むずい、狭い、何もないの三重苦)の真ん中に移動して、今、互いに向きあっていた。
佐々木小次郎は抜刀と同時に鞘を捨てていて、アタシはまだ二刀とも抜いていない。
最初は敢えて抜刀せずに無刀&自然体でだらーっと構えるのが二天一流、アタシの流儀なのだ。
あ、いちおー説明しておくと、アタシの二天一流は二刀流なんだ。
名前からわかるかもだけど、いちおーね。
だってほら二刀流ってカッコイイでしょ?
伊織は厨二病だのなんだのゆーんだけど、このカッコよさが分からない伊織は背伸びしてるけどまだまだおこちゃまだね。
それに1+1=2なんだから、刀だって1本より2本の方が強いのはカクテーテキに明らか的な?
おっと話がそれちゃったね。
とりあえずは目の前の佐々木小次郎との決闘だよ。
「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ?」
今まさに決闘が始まるってところで、
「刀をしまうための大切な鞘を捨てるだなんて、それってどうなの? あ、負けちゃうから、もうしまうための鞘は必要ない的な? 後ろ向きすぎてウケるwwww」
ってなことを、アタシはとりあえず口から出まかせで煽ってみた。
まぁ完全に出まかせってわけでもないけどね。
剣士にとって鞘を捨てるってのは死ってことと同義だから。
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