ななしのかかし

 ……奈々香(ななか)?

 君は、幸せだったかい?

 彼は案山子(かかし)。畑に立つ案山子。自分が生きていると信じてくれた奈々香という少女と約束を守り続ける。暗く誰もいない場所で一人孤独に彼女との約束を必死で守り続ける。いつか、いつの日にか彼女が自分に会いに来てくれると信じて。

 もし、

 この世に神様がいるとして、なぜ神様は彼にこんなにも過酷な一生を贈ったのか?

 その答えは笑顔に在る。

 人は笑顔になれる為に様々な苦労を乗り越える。

 その過程がどんなに艱難辛難に満ちていようと最後に笑えれば、それでいいのだ。

 それを案山子が示してくれる。雄弁なる笑顔で。

 そんな案山子と奈々香の話が厳かに幕を開ける。

 最後までお付き合い頂ければ幸い。
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