麗しの暴君サマに愛され過ぎて困っています。

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【第1部 異世界転移】 第2章:性奴隷編

第8話①

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 朝食を食べながら今後のことについて話し合った。
 どうやら、これからしばらくは日中、この国の歴史や常識などについて学ぶ「座学」の時間を設けられるらしい。圭はこの世界のことを何も知らない。それでは何かあった時に困るからという理由だった。
 その提案に関してはありがたかった。別に勉強は好きでも嫌いでもないが、だからと言って何もやることなく毎日ボーッと過ごすのもツラい。でも、できるような仕事もない。
 それに勉強を教えてくれるのはユルゲンらしい。初日に会った女性たちだったら恥ずかしくて顔を合わせづらかったが、ユルゲンならばこの国の中ではまだ知った仲だ。

「そして、これが一番大切な話ですが」

 前置きをしてコホリとユルゲンが咳払いを一つする。デザートを食べ終え、食後の茶をすすっていた圭も何だか重要な話になりそうだと居住まいを正した。

「貴方のことは今後、国の最重要機密として扱わせていただきます」
「さ、最重要機密~??」

 自分に相応しいとは思えない言葉が飛び出してきて、思わず手にしていたティーカップを落としそうになって慌てる。

「え、俺、そんな大層なもの?」
「これを御覧ください……あ、すいません。読めなかったんですよね。ええっと、ここですね」

 テーブルの隅に置いていた一冊の分厚い古書を手に取り、ユルゲンはパラパラとページを捲った。真ん中付近のページを開き見せてくれるものの、やっぱり何が書いてあるかは全く分からない。
 ユルゲンは右ページの下の方を指さした。

「異界より来た人間によって、当時、混乱を極めていた世界が統率されたと記されています。読み進めていくと、どうやら争いに塗れてどの国も存亡すら危ぶまれる程の大戦を収めたのがその異界人であったそうです」
「ええええええ!?」

 そんな大それたこと自分にできるはずがない。ブンブンと手を振り、無理だとアピールした。
 ユルゲンは首を振り、ページを捲る。

「ただ、その者が何かをしたという訳ではないようです。その者が来たことによって争いが収まり、和平が結ばれたと。つまり、この異界人の存在自体が重要だった、ということです」
「えええ……」

 呆気に取られ話についていけない。

「えーっと、とりあえず、俺は別に何もしなくても良い、……んだよね?」

 コクリと頷かれ、ホッとする。高校生に世界平和的な何かを期待されても困る。そんな方法知っていたらノーベル賞ものだ。

「で、どうして俺のことは内緒になるの?」
「私も書物で読んだことなので、一般人がそうそうこのことを知っているとは到底思えませんが、知る者がいないとも限らない。そうすると、異界人が来たことによって国の内外で不和が生じると勘ぐる者が出てくるかもしれない。そうなった時が厄介です。一度ついてしまった火というのはそう簡単に収まるものではありません。大火になり、帝国の転覆などに繋がるようなことは絶対に避けなければなりません」

 ユルゲンは手元の茶をすすった。その姿だけでも映画のワンシーンのように絵になっている。

「国のあちこちに不穏分子がいることは分かっています。それを無理やり押さえつけ、統制しているにすぎません。それは陛下の絶対的な御力があってのこと。この均衡を崩す訳にはいかないのです」

 椅子に座っていたユルゲンが立ち上がった。圭の横へと歩み寄ると、その場に膝をつく。相応の地位にあるであろう人にかしずかれ、慌ててしまう。

「え、ちょ、そんな、やめてください!」
「ケイ様」

 そっと手を取られた。クールビューティーな見た目に反して意外とゴツゴツしている。あの暴君と同じだった。

「どうか、この国を。良き方向に導いてください」
「待って!? 俺、本当に何もできないってば」
「良いんです。あなたがここにいることが大切なんですから。陛下のお傍に」

 ギュッと握り締められた手は意思の強さを物語る。否など言えぬ雰囲気だった。反射的に頷いていた。
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