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【第2部 ヘルボルナ大陸】 第6章 旅の終わり編
第3話①
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目覚めた時、圭の体は用意されていたパジャマを身に着けていた。メイクによる顔のごわつきもなく、体もスッキリしている。昨夜、圭が眠りについた後に全て綺麗にしてくれたのだろう。よくあることとはいえ、何でもアレクにさせてしまうのはやっぱりしのびなくもある。
「おはよう、ケイ」
圭の額を撫でながら優美に笑んでいるアレクの姿は相変わらずカッコいい。アレクは寝起きでも隙がない程の美丈夫だし、そんな人に見つめられながら目を覚ますというのは何度経験してもその度に照れる。
「おはよ」
少し照れくさくてアレクの胸の中へと顔を埋めた。今日もアレク特有の爽やかな香りが鼻孔をくすぐる。アレクの胸に顔をくっつけたまま大きく深呼吸を一つ。肺の中までアレクでいっぱいになったような気がして朝から満足する。
「こら、それじゃあ可愛い寝起きが堪能できないだろう?」
「どーせ、起きてからずっと見てたんだろ?」
「もちろん。可愛いケイの顔を独占できるのは伴侶である俺の特権だからな。でも、そろそろケイの美しい黒い瞳が見たいんだ」
耳元で囁かれ、胸がキュンと鳴る。そんな風に優しくお願いされたら、断れるはずなんてない。
ゆっくりと顔を上げた先。満足そうなアレクが笑んでいた。
「やはり目覚めている時のケイが一番良い。この瞳に映るのが俺だけなのが堪らない」
頬を包まれる。犬にするように撫でられた後、唇へキス。舌を絡めた情熱的な口づけは朝からするには少しばかり濃厚だ。
「んっ、あれくぅ……」
体が熱くなってくる。昨夜、出さずに眠ってしまったため、溜まった一日分の精液が体の奥で渦巻くようだ。毎日抱かれる生活を送っているので、少し溜まるだけで射精欲へと繋がる。
しかし、アレクはそんな圭のお誘いには珍しく乗ってこなかった。
「今日はヴァラーラを出る。帰ったらたくさん抱いてやるから、今は少しばかりお預けだ」
チュッと額にキスを一つしてアレクはベッドから起き上がった。
今まで圭の方から誘えば大抵そういう雰囲気になっていたため、アレクのこの行動には驚きを隠せない。
既にベッドを降りているアレクの元へと駆け寄り、背後から抱きついた。
「俺、アレクの嫌なことした?」
「何もしてないだろう。一体どうした」
「だって、アレク、何かいつもと違う感じしたから」
昨夜もアレクに全てさせてしまったから、いい加減呆れられてしまっただろうか。ギュウギュウと抱き着いていると、アレクの手が穏やかに圭の頭を撫でてきた。
「そろそろいい加減、国に戻って圭を存分に堪能したいだけだ。ここにはいけ好かない奴もいるしな」
「でも、それなら会議とかパーティ終わってすぐ帰らなかったのは?」
「そんなすぐに帰れば、今回の会議に不手際や不満があるように思われるだろ。今日までは部屋も用意されているし、きちんと国へ戻る前の挨拶くらいはする。一応はその程度の常識くらいは俺だって持ってる」
「そっか、良かった」
ホッとしてアレクから体を離そうとしたが、そうはさせぬとばかりにアレクの腰に回した腕を掴まれる。
「抱いてもらえなくて我慢できなくなったか?」
「そ、そんなんじゃないし!」
腕を引っこ抜こうとしても腕力では全く敵わない。ムキになっていると、逆に手を引かれて抱き上げられた。
「心配しなくても、国へ戻ったら嫌というほど抱いてやる」
「だーかーらー、そんなんじゃないってば!」
「それとも、今ここで一発抜いてやろうか? ケイの可愛い息子だけなら、可愛がってやっても良いぞ? さすがに俺のをハメたら俺の方が止められなくなりそうだから、今ここではしないが」
「い、いらない! いらないってばぁ!! アレクのエロ親父!!」
「親父……」
地味にショックを受けてしまっているアレクに、さすがに禁句だったかと口を閉ざす。代わりとばかりに頭を撫でてやる。
「ごめんて。思ってないよ、そんなこと。それとも〝変態〟って罵った方が良かったか?」
「ケイ、俺は別にそういう言葉で興奮しない」
「あっ……ご、ごめん」
意気消沈してしまったアレクを慰めるためになぜか胸を吸われて絶頂を迎えさせられるという行為に耽り、朝からどうしてこうなったのかよく分からないままに朝食へと連れて来られる羽目となった。
「おはよう、ケイ」
圭の額を撫でながら優美に笑んでいるアレクの姿は相変わらずカッコいい。アレクは寝起きでも隙がない程の美丈夫だし、そんな人に見つめられながら目を覚ますというのは何度経験してもその度に照れる。
「おはよ」
少し照れくさくてアレクの胸の中へと顔を埋めた。今日もアレク特有の爽やかな香りが鼻孔をくすぐる。アレクの胸に顔をくっつけたまま大きく深呼吸を一つ。肺の中までアレクでいっぱいになったような気がして朝から満足する。
「こら、それじゃあ可愛い寝起きが堪能できないだろう?」
「どーせ、起きてからずっと見てたんだろ?」
「もちろん。可愛いケイの顔を独占できるのは伴侶である俺の特権だからな。でも、そろそろケイの美しい黒い瞳が見たいんだ」
耳元で囁かれ、胸がキュンと鳴る。そんな風に優しくお願いされたら、断れるはずなんてない。
ゆっくりと顔を上げた先。満足そうなアレクが笑んでいた。
「やはり目覚めている時のケイが一番良い。この瞳に映るのが俺だけなのが堪らない」
頬を包まれる。犬にするように撫でられた後、唇へキス。舌を絡めた情熱的な口づけは朝からするには少しばかり濃厚だ。
「んっ、あれくぅ……」
体が熱くなってくる。昨夜、出さずに眠ってしまったため、溜まった一日分の精液が体の奥で渦巻くようだ。毎日抱かれる生活を送っているので、少し溜まるだけで射精欲へと繋がる。
しかし、アレクはそんな圭のお誘いには珍しく乗ってこなかった。
「今日はヴァラーラを出る。帰ったらたくさん抱いてやるから、今は少しばかりお預けだ」
チュッと額にキスを一つしてアレクはベッドから起き上がった。
今まで圭の方から誘えば大抵そういう雰囲気になっていたため、アレクのこの行動には驚きを隠せない。
既にベッドを降りているアレクの元へと駆け寄り、背後から抱きついた。
「俺、アレクの嫌なことした?」
「何もしてないだろう。一体どうした」
「だって、アレク、何かいつもと違う感じしたから」
昨夜もアレクに全てさせてしまったから、いい加減呆れられてしまっただろうか。ギュウギュウと抱き着いていると、アレクの手が穏やかに圭の頭を撫でてきた。
「そろそろいい加減、国に戻って圭を存分に堪能したいだけだ。ここにはいけ好かない奴もいるしな」
「でも、それなら会議とかパーティ終わってすぐ帰らなかったのは?」
「そんなすぐに帰れば、今回の会議に不手際や不満があるように思われるだろ。今日までは部屋も用意されているし、きちんと国へ戻る前の挨拶くらいはする。一応はその程度の常識くらいは俺だって持ってる」
「そっか、良かった」
ホッとしてアレクから体を離そうとしたが、そうはさせぬとばかりにアレクの腰に回した腕を掴まれる。
「抱いてもらえなくて我慢できなくなったか?」
「そ、そんなんじゃないし!」
腕を引っこ抜こうとしても腕力では全く敵わない。ムキになっていると、逆に手を引かれて抱き上げられた。
「心配しなくても、国へ戻ったら嫌というほど抱いてやる」
「だーかーらー、そんなんじゃないってば!」
「それとも、今ここで一発抜いてやろうか? ケイの可愛い息子だけなら、可愛がってやっても良いぞ? さすがに俺のをハメたら俺の方が止められなくなりそうだから、今ここではしないが」
「い、いらない! いらないってばぁ!! アレクのエロ親父!!」
「親父……」
地味にショックを受けてしまっているアレクに、さすがに禁句だったかと口を閉ざす。代わりとばかりに頭を撫でてやる。
「ごめんて。思ってないよ、そんなこと。それとも〝変態〟って罵った方が良かったか?」
「ケイ、俺は別にそういう言葉で興奮しない」
「あっ……ご、ごめん」
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