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13 第十三話
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ここでは無い世界から来たこと。死んだはずの俺が何故か生きている事。
世界によるステータスの差。魔法の威力の上昇。
今現在俺が持っている情報を全て彼女に話した。
これが良い判断なのかそうでは無いのか。
今の俺にはわからない。
「そうだったのか……」
「信じてくれるんですか……?」
「もちろん信じ難い話ではあるさ。でも君の異常なステータスの説明は付く。完全に信用することは出来なくとも、全てを嘘だと断ずるのにも不都合が多い。何ともまあ困った状態だな。だが……あの時私を助けようとした君を、私は信じてみたいと思うよ」
あの時……ああ、ケツァラプターの攻撃から庇った時の事か。
あの時は無我夢中だったけど、そのおかげで信じてもらえるのなら良かった。
「でもそうなって来ると、私が君に教われることは確かに無いかもしれないね」
「ですよね、すみません」
「いや良いんだ。代わりに面白そうなことが出来そうだからな」
「面白そうなこと……」
嫌な予感がする。つい昨日、面白いと言う理由で俺に従属した魔族がいるんだ。
「君は元の世界では近接戦闘も魔法戦闘もどっちつかずの能力だった。でもここではどちらとも高ランク冒険者以上のものを持っている。それなら、今までは使えなかった物もここでは使えるようになっていてもおかしくは無いんじゃないか?」
「確かにその可能性はありますけど……」
確かに彼女の言う通り、今の俺のステータスなら今までは出来なかったことが出来るかもしれない。
しかし肝心の身に付ける方法がわからない。
「どうやって身に付けるのか……だろう? そこでコイツだ」
メアリーは持っていた本を見せて来た。
「これは?」
「魔法について記されている書物さ。上級魔法についても書かれているんだが……残念ながら私には使えなかった。でも君なら可能性がある」
「それはそうですが……それではメアリーさんには利点が無いのでは?」
「あるさ。君が上級魔法を使えるようになれば、それを私に教えられるだろう?」
言われてみればそうだ。
俺が上級魔法を身に付けてそれを彼女に教えることが出来れば、彼女にとっても特になる。
「どうしたんだアルバートよ。仕方ない。余も協力してやろう」
「良いのか?」
「貴様がより強くなれば、それだけより面白い戦いが出来るからな」
「そうか。確かにお前はそう言ったヤツだったな」
「決まりだ。では早速今日から特訓といこうじゃないか! ビシバシしごいて行くから覚悟しておくのだぞ!」
「お、お手柔らかにお願いします……」
こうして俺の魔法技術の特訓が始まったのだった。
上級魔法と言っても種類はとても多い。
各属性の攻撃魔法もそうだし、バフデバフや回復系のサポート魔法も多種多様だ。
当然だがメアリーの持っていた本にもそれらの全てが記されている訳では無い。
また魔力量以外にも魔法を使うのに重要な概念が存在する。
それが属性の適性だ。
俺は火属性と水属性に適性を持っているが、それ以外の属性には適性を持っていない。
そのため、その点でも俺に使える魔法の種類は限られてくる。
結果として、俺は炎系と水系、そして回復系の上級魔法を教わることとなった。
それから数日が経ち……。
「ふぅ……地獄の炎よ、猛き炎を呼び覚ませ……ヘルファイア!」
「おおっ! 成功だぞアルバート!」
メアリーの教えもあり、俺は初めての上級魔法を習得したのだった。
今まででは考えられなかった境地に、俺はたどり着いたのだ。
「はぁ……やっと使えた……」
魔力の消費量については、初級魔法よりかは消費している気はするもののそれでも俺の魔力量の最大値からしたら大したものでは無かった。
ただ、それはそれとして精神力と言うか集中力が持っていかれていた。
当然か。ここ最近は寝ても覚めても上級魔法の特訓だったんだ。体力はあっても集中力まではどうにもならない。
「はぁ……あれ……視界が……」
成功したことで緊張の糸が切れたのか、意識が遠のいて行く。
少しだけ、休ませてもらおう……。
世界によるステータスの差。魔法の威力の上昇。
今現在俺が持っている情報を全て彼女に話した。
これが良い判断なのかそうでは無いのか。
今の俺にはわからない。
「そうだったのか……」
「信じてくれるんですか……?」
「もちろん信じ難い話ではあるさ。でも君の異常なステータスの説明は付く。完全に信用することは出来なくとも、全てを嘘だと断ずるのにも不都合が多い。何ともまあ困った状態だな。だが……あの時私を助けようとした君を、私は信じてみたいと思うよ」
あの時……ああ、ケツァラプターの攻撃から庇った時の事か。
あの時は無我夢中だったけど、そのおかげで信じてもらえるのなら良かった。
「でもそうなって来ると、私が君に教われることは確かに無いかもしれないね」
「ですよね、すみません」
「いや良いんだ。代わりに面白そうなことが出来そうだからな」
「面白そうなこと……」
嫌な予感がする。つい昨日、面白いと言う理由で俺に従属した魔族がいるんだ。
「君は元の世界では近接戦闘も魔法戦闘もどっちつかずの能力だった。でもここではどちらとも高ランク冒険者以上のものを持っている。それなら、今までは使えなかった物もここでは使えるようになっていてもおかしくは無いんじゃないか?」
「確かにその可能性はありますけど……」
確かに彼女の言う通り、今の俺のステータスなら今までは出来なかったことが出来るかもしれない。
しかし肝心の身に付ける方法がわからない。
「どうやって身に付けるのか……だろう? そこでコイツだ」
メアリーは持っていた本を見せて来た。
「これは?」
「魔法について記されている書物さ。上級魔法についても書かれているんだが……残念ながら私には使えなかった。でも君なら可能性がある」
「それはそうですが……それではメアリーさんには利点が無いのでは?」
「あるさ。君が上級魔法を使えるようになれば、それを私に教えられるだろう?」
言われてみればそうだ。
俺が上級魔法を身に付けてそれを彼女に教えることが出来れば、彼女にとっても特になる。
「どうしたんだアルバートよ。仕方ない。余も協力してやろう」
「良いのか?」
「貴様がより強くなれば、それだけより面白い戦いが出来るからな」
「そうか。確かにお前はそう言ったヤツだったな」
「決まりだ。では早速今日から特訓といこうじゃないか! ビシバシしごいて行くから覚悟しておくのだぞ!」
「お、お手柔らかにお願いします……」
こうして俺の魔法技術の特訓が始まったのだった。
上級魔法と言っても種類はとても多い。
各属性の攻撃魔法もそうだし、バフデバフや回復系のサポート魔法も多種多様だ。
当然だがメアリーの持っていた本にもそれらの全てが記されている訳では無い。
また魔力量以外にも魔法を使うのに重要な概念が存在する。
それが属性の適性だ。
俺は火属性と水属性に適性を持っているが、それ以外の属性には適性を持っていない。
そのため、その点でも俺に使える魔法の種類は限られてくる。
結果として、俺は炎系と水系、そして回復系の上級魔法を教わることとなった。
それから数日が経ち……。
「ふぅ……地獄の炎よ、猛き炎を呼び覚ませ……ヘルファイア!」
「おおっ! 成功だぞアルバート!」
メアリーの教えもあり、俺は初めての上級魔法を習得したのだった。
今まででは考えられなかった境地に、俺はたどり着いたのだ。
「はぁ……やっと使えた……」
魔力の消費量については、初級魔法よりかは消費している気はするもののそれでも俺の魔力量の最大値からしたら大したものでは無かった。
ただ、それはそれとして精神力と言うか集中力が持っていかれていた。
当然か。ここ最近は寝ても覚めても上級魔法の特訓だったんだ。体力はあっても集中力まではどうにもならない。
「はぁ……あれ……視界が……」
成功したことで緊張の糸が切れたのか、意識が遠のいて行く。
少しだけ、休ませてもらおう……。
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