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最終章 果たされた約束
75話 重なる想い⑷
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「お嬢様、おやすみなさいませ」
「おやすみなさい、エファ」
エファが静かに部屋から出て行くと、レインリットは長い息を吐いた。日が暮れるまで、ずっとドキドキしていたのだ。ついに夜が来てしまい、レインリットは一度は寝台に入るも、すぐに降りて部屋の中を意味もなく歩き回った。
――エドガー様は、また窓からいらっしゃるのかしら。
エーレグランツでは、エドガーはバルコニーを伝って来てくれた。しかしこの海軍の施設にはバルコニーはない。レインリットは窓の鍵を開けて、外を覗き込む。隣の窓にも足をかけるような場所はなく、上を向いても窓から入ってくるのは難しそうだった。
「夜風が、気持ちいい」
ふわりと揺れる帳と共に、レインリットの背中に流した髪も揺れる。ソランスターではお馴染みのルティスという甘い香草の匂いが漂うと、レインリットは少し濃すぎたかしら、と気になってきた。
少しでも綺麗にしておきたくて、今日の夜着や下着は真新しいものだ。髪も艶が出るまで梳いてもらい、普段はしたことがない寝化粧までしてみた。エファはいつもとは違うことをするレインリットに、何も言わずに従ってくれた。エドガーの言う通り、きっとすべてを承知しているのかもしれない。
鏡台の前に座り明かりを灯す。それから、寝台の枕元や、部屋の四隅にも明かりを灯していく。明るすぎては恥ずかしいと、その内の幾つかを消してまた寝台に戻ってきた、と――
「レイン」
小さなノックの音と共に、エドガーの囁き声が聞こえた。窓の方ではなく扉の方だ。レインリットは慌てて扉を開けると、黒っぽい服を着たエドガーが部屋の中に滑り込んできた。
「こ、こんばんは」
「こんばんは、レインリット……君を貰いに来たよ」
「エドガー様、お待ちしておりました」
ぎこちなく挨拶をしたレインリットを、エドガーが流れるような動作で抱き寄せる。自分とは違う、爽やかで安心できる匂いに、レインリットはうっとりとした。
「私が窓から来ると思ったのかな?」
「まさか、とは思いましたが、一応……」
「もう、誰にも隠すつもりはないからね。君の隣に立つのは私だ」
エドガーがレインリットの左手を持ち上げると、指の一本一本にキスを落としていく。
「レインリット・メアリエール・オフラハーティ、私の花嫁。今宵、私をその身に受け入れてくれ」
「はい、エドガー・レナルド・フォーサイス伯爵様。私のすべては、貴方のものです」
小指までキスを終えたエドガーが、レインリットをゆっくりと横抱きにする。そして鼻先にキスをすると、足早に寝台へと運んだ。
「怖くはないかい?」
「大丈夫です。少しですが、勉強をしました」
夜の営みについて、少しだけわかったつもりだ。寝台に横たえられたレインリットは、エドガーを迎え入れるために両手を伸ばす。
「いい子だ。そのまま首に手を回して……そうだよ、それでいい」
エドガーの手が、レインリットの夜着の結び目を器用に解いていく。シュルシュルと衣ずれの音がして、身体の前がすべて露わになったレインリットは心細くなった。綺麗だと思ってくれるだろうか。船の中で胸に触られたことはあっても、すべてを見せたことはないので不安になる。
「赤い花が咲いている……ああ、綺麗だよ」
エドガーが胸元に咲いた愛の花に指を滑らせてくると、レインリットはピクンと身体を震わせた。
「ここにキスをしてもいいかい?」
「は、はい」
「そんなに緊張しないでくれ。大丈夫だよ」
ぼんやりとした明かりに照らされた白い胸に、エドガーがそっと唇をつけた。そのままやわやわと食んでいたかと思うと、胸の頂きをくるくると指でいじる。
「んんんっ、あっ、それ、駄目」
「そうかな。ここは触ってほしそうだ」
「や、あんっ」
くりくりと摘まれたり引っ張られたり、レインリットの胸の頂きはぷくりと硬くなって立ち上がっている。そして、エドガーの指の動きに合わせるようにして、胸がふるふると震え始めた。
「赤く色付いて、美味しそうだ」
言うが早いか、エドガーが頂きを熱い唇に含んで吸い上げる。レインリットは必死に声をこらえようとしたが、あまりに気持ち良くて細く長い嬌声を上げてしまった。
「あ、ああぁーーっ!」
「レイン、君の肌が甘い」
「んっ、あっ、やん」
「嫌かい?」
「そ、んな……あっ、いじわ、る」
吸われたり、軽くかまれたりする度に啼いてしまうレインリットは、エドガーの頭を押さえるようにして身をよじる。そんなレインリットを、エドガーは時々宥めながらも唇や手を動かすことをやめない。やがて満足したのか、胸の頂きから唇を離したエドガーは甘い刺激に翻弄されたレインリットの唇を貪ってきた。
「君の啼き声は、可愛らしいな」
「ん、はっ、エドガー様は、いじわるです」
「いじわるをしているつもりはないんだが……んっ、そう、舌を、絡めて」
「ん、んんっ」
「レイン、これから先に進める、よ」
エドガーが、昼間にも触れた、あの秘密の場所に手を当ててくる。温かい手のひらにすっぽりと覆われた脚の間の秘部が、もうそれだけで勝手にひくりと蠢いた。グッと押されると、真ん中からじわじわと何かが溢れてくる。レインリットは咄嗟に脚を閉じようとしたが、エドガーに阻まれてしまった。
「身体の力を抜いて、レイン。これからもっと気持ち良くしてあげるよ」
昼間に触れられた時ですら、十分に気持ちがいいと思っていたのに。レインリットは、あれ以上の快感があると知ってドキドキと鳴り響く胸に手を当てた。その様子を見ていたエドガーが、ゆっくりと身をかがめていく。
「エドガー、さま、何を」
「君の美しい花弁にキスを贈ろうと思ってね」
そうして、エドガーの唇が、レインリットの秘密の場所に触れた。
「おやすみなさい、エファ」
エファが静かに部屋から出て行くと、レインリットは長い息を吐いた。日が暮れるまで、ずっとドキドキしていたのだ。ついに夜が来てしまい、レインリットは一度は寝台に入るも、すぐに降りて部屋の中を意味もなく歩き回った。
――エドガー様は、また窓からいらっしゃるのかしら。
エーレグランツでは、エドガーはバルコニーを伝って来てくれた。しかしこの海軍の施設にはバルコニーはない。レインリットは窓の鍵を開けて、外を覗き込む。隣の窓にも足をかけるような場所はなく、上を向いても窓から入ってくるのは難しそうだった。
「夜風が、気持ちいい」
ふわりと揺れる帳と共に、レインリットの背中に流した髪も揺れる。ソランスターではお馴染みのルティスという甘い香草の匂いが漂うと、レインリットは少し濃すぎたかしら、と気になってきた。
少しでも綺麗にしておきたくて、今日の夜着や下着は真新しいものだ。髪も艶が出るまで梳いてもらい、普段はしたことがない寝化粧までしてみた。エファはいつもとは違うことをするレインリットに、何も言わずに従ってくれた。エドガーの言う通り、きっとすべてを承知しているのかもしれない。
鏡台の前に座り明かりを灯す。それから、寝台の枕元や、部屋の四隅にも明かりを灯していく。明るすぎては恥ずかしいと、その内の幾つかを消してまた寝台に戻ってきた、と――
「レイン」
小さなノックの音と共に、エドガーの囁き声が聞こえた。窓の方ではなく扉の方だ。レインリットは慌てて扉を開けると、黒っぽい服を着たエドガーが部屋の中に滑り込んできた。
「こ、こんばんは」
「こんばんは、レインリット……君を貰いに来たよ」
「エドガー様、お待ちしておりました」
ぎこちなく挨拶をしたレインリットを、エドガーが流れるような動作で抱き寄せる。自分とは違う、爽やかで安心できる匂いに、レインリットはうっとりとした。
「私が窓から来ると思ったのかな?」
「まさか、とは思いましたが、一応……」
「もう、誰にも隠すつもりはないからね。君の隣に立つのは私だ」
エドガーがレインリットの左手を持ち上げると、指の一本一本にキスを落としていく。
「レインリット・メアリエール・オフラハーティ、私の花嫁。今宵、私をその身に受け入れてくれ」
「はい、エドガー・レナルド・フォーサイス伯爵様。私のすべては、貴方のものです」
小指までキスを終えたエドガーが、レインリットをゆっくりと横抱きにする。そして鼻先にキスをすると、足早に寝台へと運んだ。
「怖くはないかい?」
「大丈夫です。少しですが、勉強をしました」
夜の営みについて、少しだけわかったつもりだ。寝台に横たえられたレインリットは、エドガーを迎え入れるために両手を伸ばす。
「いい子だ。そのまま首に手を回して……そうだよ、それでいい」
エドガーの手が、レインリットの夜着の結び目を器用に解いていく。シュルシュルと衣ずれの音がして、身体の前がすべて露わになったレインリットは心細くなった。綺麗だと思ってくれるだろうか。船の中で胸に触られたことはあっても、すべてを見せたことはないので不安になる。
「赤い花が咲いている……ああ、綺麗だよ」
エドガーが胸元に咲いた愛の花に指を滑らせてくると、レインリットはピクンと身体を震わせた。
「ここにキスをしてもいいかい?」
「は、はい」
「そんなに緊張しないでくれ。大丈夫だよ」
ぼんやりとした明かりに照らされた白い胸に、エドガーがそっと唇をつけた。そのままやわやわと食んでいたかと思うと、胸の頂きをくるくると指でいじる。
「んんんっ、あっ、それ、駄目」
「そうかな。ここは触ってほしそうだ」
「や、あんっ」
くりくりと摘まれたり引っ張られたり、レインリットの胸の頂きはぷくりと硬くなって立ち上がっている。そして、エドガーの指の動きに合わせるようにして、胸がふるふると震え始めた。
「赤く色付いて、美味しそうだ」
言うが早いか、エドガーが頂きを熱い唇に含んで吸い上げる。レインリットは必死に声をこらえようとしたが、あまりに気持ち良くて細く長い嬌声を上げてしまった。
「あ、ああぁーーっ!」
「レイン、君の肌が甘い」
「んっ、あっ、やん」
「嫌かい?」
「そ、んな……あっ、いじわ、る」
吸われたり、軽くかまれたりする度に啼いてしまうレインリットは、エドガーの頭を押さえるようにして身をよじる。そんなレインリットを、エドガーは時々宥めながらも唇や手を動かすことをやめない。やがて満足したのか、胸の頂きから唇を離したエドガーは甘い刺激に翻弄されたレインリットの唇を貪ってきた。
「君の啼き声は、可愛らしいな」
「ん、はっ、エドガー様は、いじわるです」
「いじわるをしているつもりはないんだが……んっ、そう、舌を、絡めて」
「ん、んんっ」
「レイン、これから先に進める、よ」
エドガーが、昼間にも触れた、あの秘密の場所に手を当ててくる。温かい手のひらにすっぽりと覆われた脚の間の秘部が、もうそれだけで勝手にひくりと蠢いた。グッと押されると、真ん中からじわじわと何かが溢れてくる。レインリットは咄嗟に脚を閉じようとしたが、エドガーに阻まれてしまった。
「身体の力を抜いて、レイン。これからもっと気持ち良くしてあげるよ」
昼間に触れられた時ですら、十分に気持ちがいいと思っていたのに。レインリットは、あれ以上の快感があると知ってドキドキと鳴り響く胸に手を当てた。その様子を見ていたエドガーが、ゆっくりと身をかがめていく。
「エドガー、さま、何を」
「君の美しい花弁にキスを贈ろうと思ってね」
そうして、エドガーの唇が、レインリットの秘密の場所に触れた。
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