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アリスティア、王都に帰る
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----王都に帰還せよ
そんな知らせが届いたのは1週間が過ぎたころ。
北部海際のルーディア生活を満喫していたら突然早馬が来た。
王都までは早馬で4日ほど、馬車だと1-2週間の旅なので、記憶喪失になったという報告が届いて急いで指令を出したのだろう。
「他に重篤な症状は…」と心配する言葉も添えてあった。
仕方が無いので、アルテ村の野菜たち(種や苗も分けてもらった!)や海辺の出汁の素(海藻や乾燥させた魚)も持って、ファルメディア中央にあるファルディーレ地方のさらに中央、王都ファルドに帰還することとなった。
途中の村々で少しずつ名産品を手に入れながら、知っていることをアドバイスしながらののんびり旅だったので、結局王都につくまでに3週間近くかかってしまった。
いよいよ、この身体の家族とのご対面だ。
緊張する。
というか自分の家の状態がようやく見れる、と思うとワクワクするような怖いような…そんな複雑な気分だ。
王都は石造りの家々が立ち並び、村や町と比べるとやはり人が多く栄えているようだった。
なんだろう、大都会とまではいわないけど地方の政令指定都市ぐらいまでは栄えている、というような…王都と言われて東京ぐらいの密集度を想像していたが、それには程遠い。
ただ、大通りには飲食店(麺類が中心のようだ)やこじゃれた服飾店、あとは雑多なものを売る市が立ち並んでいる。
ちなみに、この国の人たちは洋装だ。食事が和に近いようだからちょっと期待したいけど、シャツにズボン、とか、ブラウスにふんわりとしたスカート、というような服装の人が多い。
ちょっと昔の(私の想像上の)ヨーロッパっぽい?と思わなくもないが、それよりはずっと簡素だ。
王城はいかにもヨーロッパの古城という感じの、石造りのお城だった。
外から見ると荘厳で威圧感があったが、中に入ると意外とがらんとした印象を受ける。
壁や柱には装飾があるが、建物の大きさに比べ人や物が少ないからかもしれない。
入口に衛兵は居たし、ところどころで人には会うのだが、お姫様の帰還というと一杯出迎えの召使が居て…というのを想像していた私は肩透かしを食らった形だ。
ビビやジェスとともに謁見の間に向かうと、金髪碧眼の美男美女で家族と思われる人たちと少数の偉そうな人たち(きっと役職がある人だろう)が待っていた。
「アリスティア、ただいまルーディアより帰還いたしました。」
ビビに教えられた通り膝をついて報告を上げる。
王族なので頭は怒られない限り下げなくていいらしい。
「ご苦労であった。この場のものはごくごく限られておるので楽にして良い。」
王様、つまりお父様からの言葉にゆっくり立ち上がる。
そんな知らせが届いたのは1週間が過ぎたころ。
北部海際のルーディア生活を満喫していたら突然早馬が来た。
王都までは早馬で4日ほど、馬車だと1-2週間の旅なので、記憶喪失になったという報告が届いて急いで指令を出したのだろう。
「他に重篤な症状は…」と心配する言葉も添えてあった。
仕方が無いので、アルテ村の野菜たち(種や苗も分けてもらった!)や海辺の出汁の素(海藻や乾燥させた魚)も持って、ファルメディア中央にあるファルディーレ地方のさらに中央、王都ファルドに帰還することとなった。
途中の村々で少しずつ名産品を手に入れながら、知っていることをアドバイスしながらののんびり旅だったので、結局王都につくまでに3週間近くかかってしまった。
いよいよ、この身体の家族とのご対面だ。
緊張する。
というか自分の家の状態がようやく見れる、と思うとワクワクするような怖いような…そんな複雑な気分だ。
王都は石造りの家々が立ち並び、村や町と比べるとやはり人が多く栄えているようだった。
なんだろう、大都会とまではいわないけど地方の政令指定都市ぐらいまでは栄えている、というような…王都と言われて東京ぐらいの密集度を想像していたが、それには程遠い。
ただ、大通りには飲食店(麺類が中心のようだ)やこじゃれた服飾店、あとは雑多なものを売る市が立ち並んでいる。
ちなみに、この国の人たちは洋装だ。食事が和に近いようだからちょっと期待したいけど、シャツにズボン、とか、ブラウスにふんわりとしたスカート、というような服装の人が多い。
ちょっと昔の(私の想像上の)ヨーロッパっぽい?と思わなくもないが、それよりはずっと簡素だ。
王城はいかにもヨーロッパの古城という感じの、石造りのお城だった。
外から見ると荘厳で威圧感があったが、中に入ると意外とがらんとした印象を受ける。
壁や柱には装飾があるが、建物の大きさに比べ人や物が少ないからかもしれない。
入口に衛兵は居たし、ところどころで人には会うのだが、お姫様の帰還というと一杯出迎えの召使が居て…というのを想像していた私は肩透かしを食らった形だ。
ビビやジェスとともに謁見の間に向かうと、金髪碧眼の美男美女で家族と思われる人たちと少数の偉そうな人たち(きっと役職がある人だろう)が待っていた。
「アリスティア、ただいまルーディアより帰還いたしました。」
ビビに教えられた通り膝をついて報告を上げる。
王族なので頭は怒られない限り下げなくていいらしい。
「ご苦労であった。この場のものはごくごく限られておるので楽にして良い。」
王様、つまりお父様からの言葉にゆっくり立ち上がる。
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