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ハドソン領 領都
空(から)の魔石の使い道
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「確かにハイド氏を見つけるまでは、" 魔力量過多 "の問題は手をつけようが無いだろうね。
ティアナはもうこの屋敷に戻って来るつもりはないのだろう?」
「はい。クレア孤児院にそのままお世話になりながら屋台販売をするつもりです。私に用がある時は、連絡を頂ければこちらに伺うようにします。
この領都には一ヶ月ほど滞在する予定でしたが、流石にこの状況ではもう少し留まった方がいいですよね?」
養蚕事業の方は良いとしても、ララちゃんの事があるんだよね。このまま『後はよろしく!』って出来たらいいのだけれど、命に関わる問題だと思うと治療の目処が立つまでは領都を出る決心はつかない。
このまま領都を出てしまったら気になって仕方がないと思うんだよね。
「そうだねぇ。なるべくティアナには負担を掛けたくはないけど、ログワ村の活性化計画もあるからね。
先ずはハイド氏と連絡が取れるまでは、領都に滞在していて欲しい。そしてその間、クレア孤児院の" 魔力量過多 "と思われるララという子の様子も見ていてくれないか?
勿論、医療行為をしてくれ、とかではない。あくまで体調に変化があるか見ていてくれるだけでいいし、体調が悪くなったりしたらうちに連絡してくれ。ハドソン伯爵家の専属医師を派遣する。
但し、" 魔力量過多 "かもしれない事は伏せたままで。それで医師がそう判断したなら、私に報告するように伝えて欲しい。
あぁ、クレア孤児院のロナリー院長には返事を書くが、手紙を確認した事とララが体調を崩すような事があれば、伯爵家から医師を派遣すると先に伝えておいて欲しい。申し訳ないが、今の段階ではその子のみの診察という事になる。」
ハドソン伯爵は私にだけではなく、バーナード様やカーターさんに指示を出し、現状で出来る対策と仮の方針を立てていった。やっぱり伯爵家の当主様は凄い。
散々、私があれこれ言っていたのをしっかりと把握して、的確な指示を出していた。
話せる事は全て話したので、今日の話し合いは終了となった。問題が無ければ次の話し合いは、ーー たぶん使用人たちの処分についてになるだろうけれど ーー、二日後になった。
" 魔力量過多 "の問題は、空の魔石の件も関係する為、いよいよ扱いが難しくなってしまった。
ロナリー院長たちに説明するのも、当分の間は魔石の事には触れずに上手く説明しないといけない。そう考えて、それも含めてハドソン伯爵に丸投げされた?と後になってから気付く。
取り敢えず、今以上に不安にさせないように上手く話すしかないんだろうなぁ。
ララちゃんの命が掛かっているからと、ロナリー院長を説得してハドソン伯爵に手紙を書かせた筈なのに、私がうっかり空の魔石の事を思い出してしまったので、違う方面から" 魔力量過多 "の子どもに危険が及ぶ可能性が出てきてしまった。
『" 魔力量過多 "の子どもたちの命を救いましょう!』とは声高に叫べなくなってしまったよね。
デリケートな問題の対応ってマジで難しいよねぇ。
ジョー先生が早くに見つかって、ハドソン伯爵と力をあわせて上手い具合に良い案を出して欲しい。
きっと私なんかよりも人生経験豊富な方たちだろうから、きっと良い案が見つかる筈。
そんな事を考えながら、帰り道にクリスと宝石店に立ち寄る。空の魔石でブレスレットを作ってもらえるかどうかを確認する為だ。
大抵の宝石店は専属契約している工房か職人が居る。自分で職人を探すよりは宝石店に掛け合う方が早いからね。
やっぱりというか、『何で無価値の空の魔石でブレスレットを?』という表情をされた。
「空の魔石って、ほんのちょっとだけムーンストーンに似ていません?
丸く加工して石を繋げブてレスレットにしたら可愛いかなぁ、と閃いたんですよ!
空の魔石ならタダ同然でしょう?それなら加工費だけで安く作れるから誰でも買えると思って子ども向けに売ってみようかなぁ、なんて。」
私の苦しい言い訳に隣に立つクリスが呆れていたけれど、ブレスレットを二十個以上頼むつもりだから仕方なくない?
だって、ララちゃんだけブレスレットしていたら、他の女の子たちが羨ましがるかもしれないじゃん。
本来の目的とは関係ないけれど、子どもたちの団体生活でそういう配慮は大事でしょ。
宝石店と言っても平民も利用するようなお店を選んだからか、私の言葉に少しは納得してくれたようで、ブレスレットの加工を引き受けてくれた。
空の魔石は持ち込みをしたので、加工費のみで五ミリサイズを一つ銀貨一枚のお値段で三十個、一センチサイズは銀貨二枚で十個オーダーした。
この空のブレスレットは後日、出来上がってみると案外可愛いらしく仕上がっており、宝石店のオーナーも『これは売れる!』と閃いたようだった。
透明ではなく白く濁ってちょっとマーブル模様になっているのが絶妙にいい感じに見える。
その後、子どもだけでなく、平民の若い女の子たちの間で流行り始め、薔薇などの花型に魔石を加工して販売されたりするようになっていったらしい。
そのお陰で後の" 魔力量過多 "対策に使われる時にも、本来の目的を悟られずに配布するのに役立ったとか。
私、気付かない内にいい仕事しちゃった!?
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もありがとうございます。
ティアナはもうこの屋敷に戻って来るつもりはないのだろう?」
「はい。クレア孤児院にそのままお世話になりながら屋台販売をするつもりです。私に用がある時は、連絡を頂ければこちらに伺うようにします。
この領都には一ヶ月ほど滞在する予定でしたが、流石にこの状況ではもう少し留まった方がいいですよね?」
養蚕事業の方は良いとしても、ララちゃんの事があるんだよね。このまま『後はよろしく!』って出来たらいいのだけれど、命に関わる問題だと思うと治療の目処が立つまでは領都を出る決心はつかない。
このまま領都を出てしまったら気になって仕方がないと思うんだよね。
「そうだねぇ。なるべくティアナには負担を掛けたくはないけど、ログワ村の活性化計画もあるからね。
先ずはハイド氏と連絡が取れるまでは、領都に滞在していて欲しい。そしてその間、クレア孤児院の" 魔力量過多 "と思われるララという子の様子も見ていてくれないか?
勿論、医療行為をしてくれ、とかではない。あくまで体調に変化があるか見ていてくれるだけでいいし、体調が悪くなったりしたらうちに連絡してくれ。ハドソン伯爵家の専属医師を派遣する。
但し、" 魔力量過多 "かもしれない事は伏せたままで。それで医師がそう判断したなら、私に報告するように伝えて欲しい。
あぁ、クレア孤児院のロナリー院長には返事を書くが、手紙を確認した事とララが体調を崩すような事があれば、伯爵家から医師を派遣すると先に伝えておいて欲しい。申し訳ないが、今の段階ではその子のみの診察という事になる。」
ハドソン伯爵は私にだけではなく、バーナード様やカーターさんに指示を出し、現状で出来る対策と仮の方針を立てていった。やっぱり伯爵家の当主様は凄い。
散々、私があれこれ言っていたのをしっかりと把握して、的確な指示を出していた。
話せる事は全て話したので、今日の話し合いは終了となった。問題が無ければ次の話し合いは、ーー たぶん使用人たちの処分についてになるだろうけれど ーー、二日後になった。
" 魔力量過多 "の問題は、空の魔石の件も関係する為、いよいよ扱いが難しくなってしまった。
ロナリー院長たちに説明するのも、当分の間は魔石の事には触れずに上手く説明しないといけない。そう考えて、それも含めてハドソン伯爵に丸投げされた?と後になってから気付く。
取り敢えず、今以上に不安にさせないように上手く話すしかないんだろうなぁ。
ララちゃんの命が掛かっているからと、ロナリー院長を説得してハドソン伯爵に手紙を書かせた筈なのに、私がうっかり空の魔石の事を思い出してしまったので、違う方面から" 魔力量過多 "の子どもに危険が及ぶ可能性が出てきてしまった。
『" 魔力量過多 "の子どもたちの命を救いましょう!』とは声高に叫べなくなってしまったよね。
デリケートな問題の対応ってマジで難しいよねぇ。
ジョー先生が早くに見つかって、ハドソン伯爵と力をあわせて上手い具合に良い案を出して欲しい。
きっと私なんかよりも人生経験豊富な方たちだろうから、きっと良い案が見つかる筈。
そんな事を考えながら、帰り道にクリスと宝石店に立ち寄る。空の魔石でブレスレットを作ってもらえるかどうかを確認する為だ。
大抵の宝石店は専属契約している工房か職人が居る。自分で職人を探すよりは宝石店に掛け合う方が早いからね。
やっぱりというか、『何で無価値の空の魔石でブレスレットを?』という表情をされた。
「空の魔石って、ほんのちょっとだけムーンストーンに似ていません?
丸く加工して石を繋げブてレスレットにしたら可愛いかなぁ、と閃いたんですよ!
空の魔石ならタダ同然でしょう?それなら加工費だけで安く作れるから誰でも買えると思って子ども向けに売ってみようかなぁ、なんて。」
私の苦しい言い訳に隣に立つクリスが呆れていたけれど、ブレスレットを二十個以上頼むつもりだから仕方なくない?
だって、ララちゃんだけブレスレットしていたら、他の女の子たちが羨ましがるかもしれないじゃん。
本来の目的とは関係ないけれど、子どもたちの団体生活でそういう配慮は大事でしょ。
宝石店と言っても平民も利用するようなお店を選んだからか、私の言葉に少しは納得してくれたようで、ブレスレットの加工を引き受けてくれた。
空の魔石は持ち込みをしたので、加工費のみで五ミリサイズを一つ銀貨一枚のお値段で三十個、一センチサイズは銀貨二枚で十個オーダーした。
この空のブレスレットは後日、出来上がってみると案外可愛いらしく仕上がっており、宝石店のオーナーも『これは売れる!』と閃いたようだった。
透明ではなく白く濁ってちょっとマーブル模様になっているのが絶妙にいい感じに見える。
その後、子どもだけでなく、平民の若い女の子たちの間で流行り始め、薔薇などの花型に魔石を加工して販売されたりするようになっていったらしい。
そのお陰で後の" 魔力量過多 "対策に使われる時にも、本来の目的を悟られずに配布するのに役立ったとか。
私、気付かない内にいい仕事しちゃった!?
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もありがとうございます。
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