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第26話 金の祝福
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王都へ向けて移動再開。初日の朝、街道を二台の馬車がゆっくりと進んでいた。
後ろの馬車はフォルクが御者台にいる。中にはウィーとアルシア。今日も寒い、馬車の中にいる連中は顔も出さない。
「王都まで8日程度か。馬で走れば明日には着くんだろうなぁ」
空は澄み渡っていて、遠くの山がくっきり見える。街道沿いは安全なはずだが、往路では色々あった。何事も無ければいいな。
ぽっこぽっこと魔馬が進む。アルシアの馬車を引く普通の馬にペースを合わせているので、こいつも退屈そうだ。
ところで、さっきから見えている街道の先、森の切れ目が近いところで影が動いている。まず間違いなく盗賊の類だろう。
面倒くさい。だが見過ごすわけにもいかないだろう。というか狙われているのはこの馬車に決まってる。天井でギラギラと輝く魔石が悪い。
「セオ、盗賊がいるぞ」
「私に言わなくていいだろう」
そのまま進むと、前触れもなく矢が一本、俺たちの馬車の前に突き刺さった。
続いて、左右の茂みからバッと人影が飛び出してくる。十人以上はいる。ボロ布みたいな軽装に、手にしてるのは短剣やボロ槍。
「積荷を置いていけ!」
間抜けな怒鳴り声。まるで絵に描いたような盗賊だ。
「実は襲われるのって初めてなんだ」
「盗賊如きが魔馬がひく馬車を襲うなんて聞いたことがない。取り締まる兵がいなくなって図に乗ったか」
盗賊の被害に遭うのは大抵徒歩で移動する武力の弱そうな者だ。馬車など襲っても中に護衛がいるかもしれない。引いているのが魔馬となれば尚更だ。
盗賊如きに命懸けで戦う覚悟はない。覚悟があるなら冒険者になって魔物を狩ればいいからだ。大抵の場合、農作業等と兼業で楽に狩れる獲物だけを狙う。それが盗賊。
素手で問題ないだろう。俺が馬車を止めて降りようとしたその時――
「ヘイルストーム!」
暴風が渦を巻き、盗賊どもを中心に円を描いて吹き荒れる。煽られて転げまわる奴、うずくまるしかない奴――そこに、ガツンガツンと音を立てて、こぶしサイズの雹が舞っている。
「これ、便利なんだよね」
「確かに便利そうだ」
盗賊共は全員気絶した。打撃じゃなく寒さの影響だろうな。
俺は倒れている盗賊を転がして服の裾を引き裂く。裂いた布を手早くねじり、腕を後ろ手に縛り上げる。兵士時代に何度も経験したことだ。
縛り上げた盗賊の一人の頬を張ってやると、びくっと体を震わせた。
「拠点の場所を教えろ。3数える間に言わなければ殺して次のやつに聞く」
一応拠点を確認した。古びた小屋に奪った物がいくらか残っている。捕まっている人はおらず、めぼしい物も無い。なんとか売れそうな物だけ奪い、破壊して火をかけた。次の街で盗賊を引き渡して、報奨金は盗賊1人金貨1枚となった。
◇◆◇◆◇
「へっへー、今日の酒はうまいぞー!」
「明日も早いからな、あまり羽目を外すなよ」
「ガルド君はかたいなー。ウィーちゃんをお願いね」
報奨金は全員に配ることになった。
フォルクはさっそく料理と酒を注文して楽しんでいる。その奥で、アルシアは静かにワインを口にしてちびちび味わっていた。セオはもう暗くなってきているのに何かを探しに出た。大きな物を買ってこないように祈ろう。
俺はと言えば――
「ほら、口開けろ。今日は下でもお祝いしているからな。うまいぞ」
「ん……んぐ……」
町で蜂蜜を売っていたので、蜂蜜、ミルク・バター・卵を混ぜて蒸したものを作った。いつもの食事の後のデザート、ふるふると震えて美味しそうにできた。
「……すごく美味しい。こんなのはじめて」
「そりゃよかった。今は何でも食えればいい、たくさん食べて偉いぞ」
「うん……ありがとう」
かすかに笑ってくれるのが嬉しい。こんな状況でも諦めずに頑張るウィーだからこそ、今も生きているんだろう。
それに比べて昼間の盗賊。町の門番へ引き渡した時に聞いたが、やはり増えているらしい。治安維持すら出来ないほど兵士を減らす意味があるんだろうか?仮に戦争を終わらせる為に尽力した人物がいたとして、世が乱れてしまうことを望むだろうか?
わからない。だが、こんな世界を生き抜くには力がいる。ウィーを巻き込むつもりは無いが、力を与えることは可能だ。
「ウィー、これからも一緒に頑張ろう」
「っ!う、うん!ガルド!」
何も明かさずにパーティを組んだ。きっと治療の為の体力作りにも役立つはずだ。
それから4日目。
「……いねえな」
馬車を走らせながら、何度目かの独り言を呟いた。
パーティを組んでから四日。気配を探っても、見渡しても、魔物の姿はない。そりゃそうだ、魔物がしょっちゅうでる街道なんて使えたものじゃない。もっとも、これが何時まで保てるかは知らないが。
セオは後ろでずっとガチャガチャやっている。何をやっているのか分からないが、ずいぶんと楽しそうなので御者はずっと俺がやることにした。後ろの馬車もずっとフォルクだしな。
そんなわけで、ぼけーっと御者席に座っていると、前方に何かが見える。
ん?なんだ?街道にゴミを散らしやがって。何をして――
「オークだ!」
腑抜けた頭に活が入った。人が襲われている!すぐに助けるぞ!
「セオ!馬を頼む!」
俺は駆け出した。土を蹴り、風を裂いて、叫び声の中心へ飛び込む。
転がった荷台の向こう、オークが人間の男を馬車から引きずり出そうとしていた。
「セリャア!!」
勢いそのままに飛びかかり、オークの顔面を蹴り飛ばす!
ドパァン!破裂音と共にオークの頭は弾け飛び、体液を撒き散らした。
見回せば残り5匹、どれも脅威ではない。
全て片付けるのに30秒もかからなかった。
◇◆◇◆◇
「本当に……本当に助かりました! 命の恩人です!」
転倒した馬車の御者が、地面に額をこすりつけそうな勢いで頭を下げてくる。
「礼はいらない。あんたらが無事なら、それで充分だ」
民を守るのは兵士の務め。
そう返すと、別の荷運びらしい男が袋を差し出してきた。中には銀貨がいくつか、食料も混ざっている。
「せめてこれだけでも!」
「気持ちだけで十分だ」
荷袋をそっと押し戻し、跪いた彼を起こした。
転倒していた荷車はすでにフォルクが立て直している。荷の損傷も少なく、怪我人も擦り傷程度で済んだようだ。
「是非ご一緒に!」
「構わず先に行ってくれ」
時間はもう昼を回っている。オークから肉を取っておきたいし、その後は急いで次の宿場まで向かうつもりだ。ウィーがいるのに野営をするつもりはない。
「いいところの肉だけ取っていこう」
「魔石も取っておきたまえよ」
綺麗に倒せたオークに剥ぎ取り用のナイフを入れる。肉は一部でいいが、栄養のある肝臓は全部取っておこう。ふふっ、これから毎日肝臓料理だ。ウィーが喜ぶぞ。
少しずつ広くなっているストレージを整理して、オークの肝臓を詰め込んだ。
肝臓を詰め終わって一息ついた時、レベルアップの為に魔物を探していた事を思い出した。
「こっちが大事だった。ステータスリード」
――――――――――
名前:ウィレーヌ
年齢:14歳
職業:神聖魔法使い
レベル:5
HP:300
MP:650
耐久:30
筋力:30
敏捷:90
知力:80
魔力:140
幸運:21
スキル習得:「金の祝福」
スキル:〈神聖魔法Ⅱ〉
――――――――――
レベル5か。オークを6体倒しただけなのに結構上がったな。それと、パーティを組んでいれば戦闘に参加しなくても大丈夫なようだ。駄目だったら段階的に参加させるつもりだったが助かった。
自分にもレベルが上がった感覚がある。もう慣れたものだ。
だがその数値を見て驚いた。
――――――――――
レベルアップしました。
【ステータス更新】
名前:ガルドリック
年齢:15歳(23歳)
職業:勇者
レベル:36 → 40
HP: 9900→ 10620
MP:1950 → 1990
耐久:1203→ 1323
筋力:933 → 1021
敏捷:630→ 690
知力:540→ 584
魔力:435→ 455
幸運:10
スキル習得:「清浄」<勇者の器Ⅰ>
スキル:「勇者の適応」「ステータスリード」「グローリアスタッチ」「導きの直感」「抑制」「調理技術」「ストレージ」「鋼の翼壁」「戦士の威光」
――――――――――
レベルが4も上がっている。これはおかしい。
成長はずっと鈍化していたはずだ。それにスキルが2つも入ってる。
フォルクとセオのステータスを確認すると、彼らも同じく4上がっている。30前半だけ特に鈍化するという訳では無いようだ。
他に理由があるとしたら、ウィーをパーティにいれたからか?それくらいしか大きな変化が無い。
セオが参加した時には大きな違いは感じ無かった。ウィーが特別?偶然?二人の違いとは?
とりあえず勇者の器Ⅰの説明を見てみる。
【勇者の器Ⅰ:想いを集める器 396】
ふむ、わからん。もうちょっと詳しく頼みたい。
「移動しよう。ちゃんと宿を取りたい」
「オーク肉を焼きたい気持ちもあるけどなぁ」
「宿で焼いてもらえ。それに、まだ肉は集まるかもしれん」
この辺りは往路でもオークが馬車を襲っていた。なら、近くの森に集落があるのかもしれない。
試してみるならそれを狙うのもいいだろう。町で話を聞いてみて、被害が集中しているなら当たりだろう。
手綱を握り、出発の合図を出そうとした瞬間だった。
「ちょ、ちょっとガルド!? ウィーちゃんが……!」
後ろの馬車からアルシアの慌てた声が飛んできた。
「何があった!」
俺はすぐに御者台から飛び降り、後ろの馬車へ駆け寄る。扉を開けると、ウィーがこちらを見ていた――が、その姿に思わず息を呑む。
「……これは」
光だ。柔らかく、金色にきらめく光。ウィーの髪が、まるで金糸を束ねたように輝いていた。
「な、なに?……わたし、どうなって……?」
すごく綺麗だ。綺麗で……綺麗なだけじゃね?
え?レベルアップで習得した「金の祝福」ってこれか?
「ウィーちゃん見て、あなたの髪が金色になってるの。それも細くて滑らかで、量も多い」
「ほんとだ……ガルド、おかしくない?」
「ん?あぁ、すごく綺麗で似合ってるぞ」
「よかった!でもどうしてだろう?」
よく分からんが、本人も喜んでいるのでいいだろう。パーティを組んだのは戦わせる為ではないしな。
「すげぇ、もう天使じゃん」
「たしかに」
淡い紫の髪は可愛らしかったが、今のウィーはより綺麗になった。アルシアの銀髪と並んでも見劣りしない、見事な髪だ。
「よかったなウィー。アルシアと並んでたらきっとみんな驚くぞ」
「……………そう」
「ウィー?」
「ごめんね、時間取らせて。早く行こうよ」
「あぁ、そうだな」
自分たちの馬車に戻って出発した。
「お前、やったな」
「別に困ることじゃ無いだろ」
「やれやれ」
スキルの取得には自分の望みが反映される。必ずそうなるわけじゃないが、セオの例を見ても明らかに影響がある。
ウィーは何を願っていたんだろうか?
◇◆◇◆◇
今日は大きな町まで進む手筈だったが、予定を変えて近くの村に泊まることにした。
大きな村では無いが、街道沿いの宿場になっている。部屋も暖かく清潔だ。何より、気になる話を聞けた。
「オークの被害? ああ、最近じゃしょっちゅうだよ」
「かなり多そうだな」
「道を通る商人の馬車がよくやられてる。朝も昼も関係ねぇ。あいつら、どっかに巣でも作ってんじゃねぇかって話でさ」
「だが、そんなに被害が多いなら領主がなんとかしてるはずだろ」
「そりゃあ何度も頼んださ。でも何にも変わらねぇ。最近はどこも兵を減らしてるらしいな。自警団で警戒しろとか言うだけで何の役にも立ちゃしねぇ。税だけは取るくせによ」
「じゃあ冒険者に頼んだらどうだ?、オークは肉になるしな」
「それも何人か来たよ。でも……結局、数匹倒して『もう巣はない』とか言って帰ってっちまう。次の日にはまた襲撃。お笑い草だ」
村の男は吐き捨てる様に言っているが、俺はチャンスだと思った。
王都までは近い。ここで試せることをしておきたい。
フォルクとセオに話し、問題なく決行が決まった。
そこに――
「えらい!お姉さんも手伝って上げるわよ!」
「それはありがたいが、ウィーを見てもらいたい」
「うっ!そうだった……」
「気持ちだけもらっておく」
アルシアが仲間になったら心強い。だが彼女は勇者のパーティメンバーだった、今後どうなるか予測がつかない。
俺が殺したあの勇者はもう一度召喚されるんだろうか?もしそうなった場合、俺のように記憶を引き継いでいる可能性がある。再びアルシアを招集した場合、レベルが上がっていると・・・遠慮する理由もないか。
「アルシア。役割は違うが、共に戦おう」
「そうね、後ろは任せなさい!」
アルシアもパーティに入れた。メンバーを増やしたことで成長が加速したのであれば、これで更に加速するはずだ。
「そうと決まったらオーク肉焼いてもらおうぜ!」
「そうだな、俺は先にウィーの食事を作ろう」
今日も宿の厨房を借りる。早めに宿に入ったので、忙しくなる前にちゃちゃっと作ってしまおう。
メインは肝のミルクシチューだ。
水で洗って薄切りにした肝と野菜をバターで炒め、香草も少し加える。肝が固くならないように焼き過ぎには注意して慎重に。
香ばしい香りが上がってきたらミルクを注ぎ、後はゆっくり煮込めばいい。
香辛料で味を整え、蜂蜜を少しだけ加えておく。
全体に肝の濃厚な味が広がったシチューだ。こいつは栄養の味がするぞ。
まだまだ行くぞ。
単純で美味いのが串焼きだ。新鮮な肝に塩を振って焼くだけ。
野趣あふれる食べ方だが、新鮮な肝に余計な手間はいらない。
よく作るオムレツにも細かく刻んだ肝を混ぜて焼く。
味見をすると濃厚なレバーの味が全体に広がり、卵のコクとよく合う。
更に肝のペーストを作る。
細かく切ったレバーをじっくり炒めてから、バター・香草と練ったもの。
これはパンに塗って食べれば栄養マシマシになる。
後は肝入り練り団子、低温調理の燻製肝、炒めた肝の酢漬け、肝の塩漬け干しは後で部屋につっておくか。
「出来たぞ!今日の飯はオークの肝臓尽くしだ!栄養満点だぞ!」
「お、おう」
「それを女子に食わせる気か」
「味見したがどれも上手く出来たぞ。じゃあアルシア、たのんだ」
「ええぇ…折角の出来なんだから、ガルドが食べさせてあげて。その方があの子も食が進むようなの」
「そうなのか?まぁそういうことなら俺が食べさせよう。俺の分の肉も焼いといてくれ」
ウィーは大喜びで食べてくれた。途中で休憩したいと言うから、俺は焼いた肉を取りに行って横で食べた。
肉も食べたいと言っていたが、肝の方が栄養が詰まってるからな。ほら、遠慮せずにもっと食べるんだ。オヤツに肝団子もあるぞ。
――――――――――
名前:ガルドリック
年齢:15歳(23歳)
職業:勇者
レベル:40
HP: 10620
MP:1990
耐久:1323
筋力:1031
敏捷:770
知力:614
魔力:455
幸運:10
スキル:「勇者の適応」「ステータスリード」「グローリアスタッチ」「導きの直感」「抑制」「調理技術」「ストレージ」「鋼の翼壁」「戦士の威光」「清浄」<勇者の器Ⅰ>
――――――――――
名前:フォルクハルト
年齢:17歳
職業:戦士
レベル:39
HP:5070
MP:1170
耐久:819
筋力:702
敏捷:897
知力:390
魔力:195
幸運:28
スキル:「投擲術」「見切り」「仕掛け屋の直感」「斥候の足」「軽足」「舞踏戦槍」「クリティカル」
――――――――――
名前:セオドリック・エヴァンシャー
年齢:31歳
職業:魔導技術者
レベル:36
HP:2160
MP:3120
耐久:288
筋力:432
敏捷:324
知力:1728
魔力:360
幸運:10
スキル習得:「魔石合成」
スキル:〈魔導設計〉「疑似溶融」「精密構形」「構造解析視」「魔術Ⅰ」「記憶合金制御」「浮架場生成」
――――――――――
名前:ウィレーヌ
年齢:14歳
職業:神聖魔法使い
レベル:5
HP:300
MP:650
耐久:30
筋力:30
敏捷:90
知力:80
魔力:140
幸運:21
スキル:〈神聖魔法Ⅱ〉「金の祝福」
――――――――――
名前:アルシリオ=ノルヴァ=リスティエ
年齢:328歳
職業:魔術師
レベル:1
HP:120
MP:260
耐久:23
筋力:18
敏捷:30
知力:38
魔力:52
幸運:38
スキル:〈森の祝福〉〈精霊の寵愛〉〈不朽の花容〉〈魔力精製体〉〈工匠の手〉〈剣術Ⅱ〉〈魔術Ⅴ〉〈精霊術Ⅴ〉
――――――――――
「清浄」清潔にする。
「魔石合成」2つ以上の魔石を1つにする。
「金の祝福」金色の幸福を得る。
「勇者の器Ⅰ」想いを集める器 463
――――――――――
(来るぞ!歯を食いしばれ!息を止めろ!)
ドン!めきぃっ!
「(ふんっぐ!)お、おいふぃ~」
「そうか、まだまだあるからたっぷり食べるんだ(フイィィィン!)」
レバー!レバー!レバー!滅多打ちだ!これは危険かぁ!?
「美味しいって、なんですか?」
お気に入りを投入してレバーを追加しよう!
後ろの馬車はフォルクが御者台にいる。中にはウィーとアルシア。今日も寒い、馬車の中にいる連中は顔も出さない。
「王都まで8日程度か。馬で走れば明日には着くんだろうなぁ」
空は澄み渡っていて、遠くの山がくっきり見える。街道沿いは安全なはずだが、往路では色々あった。何事も無ければいいな。
ぽっこぽっこと魔馬が進む。アルシアの馬車を引く普通の馬にペースを合わせているので、こいつも退屈そうだ。
ところで、さっきから見えている街道の先、森の切れ目が近いところで影が動いている。まず間違いなく盗賊の類だろう。
面倒くさい。だが見過ごすわけにもいかないだろう。というか狙われているのはこの馬車に決まってる。天井でギラギラと輝く魔石が悪い。
「セオ、盗賊がいるぞ」
「私に言わなくていいだろう」
そのまま進むと、前触れもなく矢が一本、俺たちの馬車の前に突き刺さった。
続いて、左右の茂みからバッと人影が飛び出してくる。十人以上はいる。ボロ布みたいな軽装に、手にしてるのは短剣やボロ槍。
「積荷を置いていけ!」
間抜けな怒鳴り声。まるで絵に描いたような盗賊だ。
「実は襲われるのって初めてなんだ」
「盗賊如きが魔馬がひく馬車を襲うなんて聞いたことがない。取り締まる兵がいなくなって図に乗ったか」
盗賊の被害に遭うのは大抵徒歩で移動する武力の弱そうな者だ。馬車など襲っても中に護衛がいるかもしれない。引いているのが魔馬となれば尚更だ。
盗賊如きに命懸けで戦う覚悟はない。覚悟があるなら冒険者になって魔物を狩ればいいからだ。大抵の場合、農作業等と兼業で楽に狩れる獲物だけを狙う。それが盗賊。
素手で問題ないだろう。俺が馬車を止めて降りようとしたその時――
「ヘイルストーム!」
暴風が渦を巻き、盗賊どもを中心に円を描いて吹き荒れる。煽られて転げまわる奴、うずくまるしかない奴――そこに、ガツンガツンと音を立てて、こぶしサイズの雹が舞っている。
「これ、便利なんだよね」
「確かに便利そうだ」
盗賊共は全員気絶した。打撃じゃなく寒さの影響だろうな。
俺は倒れている盗賊を転がして服の裾を引き裂く。裂いた布を手早くねじり、腕を後ろ手に縛り上げる。兵士時代に何度も経験したことだ。
縛り上げた盗賊の一人の頬を張ってやると、びくっと体を震わせた。
「拠点の場所を教えろ。3数える間に言わなければ殺して次のやつに聞く」
一応拠点を確認した。古びた小屋に奪った物がいくらか残っている。捕まっている人はおらず、めぼしい物も無い。なんとか売れそうな物だけ奪い、破壊して火をかけた。次の街で盗賊を引き渡して、報奨金は盗賊1人金貨1枚となった。
◇◆◇◆◇
「へっへー、今日の酒はうまいぞー!」
「明日も早いからな、あまり羽目を外すなよ」
「ガルド君はかたいなー。ウィーちゃんをお願いね」
報奨金は全員に配ることになった。
フォルクはさっそく料理と酒を注文して楽しんでいる。その奥で、アルシアは静かにワインを口にしてちびちび味わっていた。セオはもう暗くなってきているのに何かを探しに出た。大きな物を買ってこないように祈ろう。
俺はと言えば――
「ほら、口開けろ。今日は下でもお祝いしているからな。うまいぞ」
「ん……んぐ……」
町で蜂蜜を売っていたので、蜂蜜、ミルク・バター・卵を混ぜて蒸したものを作った。いつもの食事の後のデザート、ふるふると震えて美味しそうにできた。
「……すごく美味しい。こんなのはじめて」
「そりゃよかった。今は何でも食えればいい、たくさん食べて偉いぞ」
「うん……ありがとう」
かすかに笑ってくれるのが嬉しい。こんな状況でも諦めずに頑張るウィーだからこそ、今も生きているんだろう。
それに比べて昼間の盗賊。町の門番へ引き渡した時に聞いたが、やはり増えているらしい。治安維持すら出来ないほど兵士を減らす意味があるんだろうか?仮に戦争を終わらせる為に尽力した人物がいたとして、世が乱れてしまうことを望むだろうか?
わからない。だが、こんな世界を生き抜くには力がいる。ウィーを巻き込むつもりは無いが、力を与えることは可能だ。
「ウィー、これからも一緒に頑張ろう」
「っ!う、うん!ガルド!」
何も明かさずにパーティを組んだ。きっと治療の為の体力作りにも役立つはずだ。
それから4日目。
「……いねえな」
馬車を走らせながら、何度目かの独り言を呟いた。
パーティを組んでから四日。気配を探っても、見渡しても、魔物の姿はない。そりゃそうだ、魔物がしょっちゅうでる街道なんて使えたものじゃない。もっとも、これが何時まで保てるかは知らないが。
セオは後ろでずっとガチャガチャやっている。何をやっているのか分からないが、ずいぶんと楽しそうなので御者はずっと俺がやることにした。後ろの馬車もずっとフォルクだしな。
そんなわけで、ぼけーっと御者席に座っていると、前方に何かが見える。
ん?なんだ?街道にゴミを散らしやがって。何をして――
「オークだ!」
腑抜けた頭に活が入った。人が襲われている!すぐに助けるぞ!
「セオ!馬を頼む!」
俺は駆け出した。土を蹴り、風を裂いて、叫び声の中心へ飛び込む。
転がった荷台の向こう、オークが人間の男を馬車から引きずり出そうとしていた。
「セリャア!!」
勢いそのままに飛びかかり、オークの顔面を蹴り飛ばす!
ドパァン!破裂音と共にオークの頭は弾け飛び、体液を撒き散らした。
見回せば残り5匹、どれも脅威ではない。
全て片付けるのに30秒もかからなかった。
◇◆◇◆◇
「本当に……本当に助かりました! 命の恩人です!」
転倒した馬車の御者が、地面に額をこすりつけそうな勢いで頭を下げてくる。
「礼はいらない。あんたらが無事なら、それで充分だ」
民を守るのは兵士の務め。
そう返すと、別の荷運びらしい男が袋を差し出してきた。中には銀貨がいくつか、食料も混ざっている。
「せめてこれだけでも!」
「気持ちだけで十分だ」
荷袋をそっと押し戻し、跪いた彼を起こした。
転倒していた荷車はすでにフォルクが立て直している。荷の損傷も少なく、怪我人も擦り傷程度で済んだようだ。
「是非ご一緒に!」
「構わず先に行ってくれ」
時間はもう昼を回っている。オークから肉を取っておきたいし、その後は急いで次の宿場まで向かうつもりだ。ウィーがいるのに野営をするつもりはない。
「いいところの肉だけ取っていこう」
「魔石も取っておきたまえよ」
綺麗に倒せたオークに剥ぎ取り用のナイフを入れる。肉は一部でいいが、栄養のある肝臓は全部取っておこう。ふふっ、これから毎日肝臓料理だ。ウィーが喜ぶぞ。
少しずつ広くなっているストレージを整理して、オークの肝臓を詰め込んだ。
肝臓を詰め終わって一息ついた時、レベルアップの為に魔物を探していた事を思い出した。
「こっちが大事だった。ステータスリード」
――――――――――
名前:ウィレーヌ
年齢:14歳
職業:神聖魔法使い
レベル:5
HP:300
MP:650
耐久:30
筋力:30
敏捷:90
知力:80
魔力:140
幸運:21
スキル習得:「金の祝福」
スキル:〈神聖魔法Ⅱ〉
――――――――――
レベル5か。オークを6体倒しただけなのに結構上がったな。それと、パーティを組んでいれば戦闘に参加しなくても大丈夫なようだ。駄目だったら段階的に参加させるつもりだったが助かった。
自分にもレベルが上がった感覚がある。もう慣れたものだ。
だがその数値を見て驚いた。
――――――――――
レベルアップしました。
【ステータス更新】
名前:ガルドリック
年齢:15歳(23歳)
職業:勇者
レベル:36 → 40
HP: 9900→ 10620
MP:1950 → 1990
耐久:1203→ 1323
筋力:933 → 1021
敏捷:630→ 690
知力:540→ 584
魔力:435→ 455
幸運:10
スキル習得:「清浄」<勇者の器Ⅰ>
スキル:「勇者の適応」「ステータスリード」「グローリアスタッチ」「導きの直感」「抑制」「調理技術」「ストレージ」「鋼の翼壁」「戦士の威光」
――――――――――
レベルが4も上がっている。これはおかしい。
成長はずっと鈍化していたはずだ。それにスキルが2つも入ってる。
フォルクとセオのステータスを確認すると、彼らも同じく4上がっている。30前半だけ特に鈍化するという訳では無いようだ。
他に理由があるとしたら、ウィーをパーティにいれたからか?それくらいしか大きな変化が無い。
セオが参加した時には大きな違いは感じ無かった。ウィーが特別?偶然?二人の違いとは?
とりあえず勇者の器Ⅰの説明を見てみる。
【勇者の器Ⅰ:想いを集める器 396】
ふむ、わからん。もうちょっと詳しく頼みたい。
「移動しよう。ちゃんと宿を取りたい」
「オーク肉を焼きたい気持ちもあるけどなぁ」
「宿で焼いてもらえ。それに、まだ肉は集まるかもしれん」
この辺りは往路でもオークが馬車を襲っていた。なら、近くの森に集落があるのかもしれない。
試してみるならそれを狙うのもいいだろう。町で話を聞いてみて、被害が集中しているなら当たりだろう。
手綱を握り、出発の合図を出そうとした瞬間だった。
「ちょ、ちょっとガルド!? ウィーちゃんが……!」
後ろの馬車からアルシアの慌てた声が飛んできた。
「何があった!」
俺はすぐに御者台から飛び降り、後ろの馬車へ駆け寄る。扉を開けると、ウィーがこちらを見ていた――が、その姿に思わず息を呑む。
「……これは」
光だ。柔らかく、金色にきらめく光。ウィーの髪が、まるで金糸を束ねたように輝いていた。
「な、なに?……わたし、どうなって……?」
すごく綺麗だ。綺麗で……綺麗なだけじゃね?
え?レベルアップで習得した「金の祝福」ってこれか?
「ウィーちゃん見て、あなたの髪が金色になってるの。それも細くて滑らかで、量も多い」
「ほんとだ……ガルド、おかしくない?」
「ん?あぁ、すごく綺麗で似合ってるぞ」
「よかった!でもどうしてだろう?」
よく分からんが、本人も喜んでいるのでいいだろう。パーティを組んだのは戦わせる為ではないしな。
「すげぇ、もう天使じゃん」
「たしかに」
淡い紫の髪は可愛らしかったが、今のウィーはより綺麗になった。アルシアの銀髪と並んでも見劣りしない、見事な髪だ。
「よかったなウィー。アルシアと並んでたらきっとみんな驚くぞ」
「……………そう」
「ウィー?」
「ごめんね、時間取らせて。早く行こうよ」
「あぁ、そうだな」
自分たちの馬車に戻って出発した。
「お前、やったな」
「別に困ることじゃ無いだろ」
「やれやれ」
スキルの取得には自分の望みが反映される。必ずそうなるわけじゃないが、セオの例を見ても明らかに影響がある。
ウィーは何を願っていたんだろうか?
◇◆◇◆◇
今日は大きな町まで進む手筈だったが、予定を変えて近くの村に泊まることにした。
大きな村では無いが、街道沿いの宿場になっている。部屋も暖かく清潔だ。何より、気になる話を聞けた。
「オークの被害? ああ、最近じゃしょっちゅうだよ」
「かなり多そうだな」
「道を通る商人の馬車がよくやられてる。朝も昼も関係ねぇ。あいつら、どっかに巣でも作ってんじゃねぇかって話でさ」
「だが、そんなに被害が多いなら領主がなんとかしてるはずだろ」
「そりゃあ何度も頼んださ。でも何にも変わらねぇ。最近はどこも兵を減らしてるらしいな。自警団で警戒しろとか言うだけで何の役にも立ちゃしねぇ。税だけは取るくせによ」
「じゃあ冒険者に頼んだらどうだ?、オークは肉になるしな」
「それも何人か来たよ。でも……結局、数匹倒して『もう巣はない』とか言って帰ってっちまう。次の日にはまた襲撃。お笑い草だ」
村の男は吐き捨てる様に言っているが、俺はチャンスだと思った。
王都までは近い。ここで試せることをしておきたい。
フォルクとセオに話し、問題なく決行が決まった。
そこに――
「えらい!お姉さんも手伝って上げるわよ!」
「それはありがたいが、ウィーを見てもらいたい」
「うっ!そうだった……」
「気持ちだけもらっておく」
アルシアが仲間になったら心強い。だが彼女は勇者のパーティメンバーだった、今後どうなるか予測がつかない。
俺が殺したあの勇者はもう一度召喚されるんだろうか?もしそうなった場合、俺のように記憶を引き継いでいる可能性がある。再びアルシアを招集した場合、レベルが上がっていると・・・遠慮する理由もないか。
「アルシア。役割は違うが、共に戦おう」
「そうね、後ろは任せなさい!」
アルシアもパーティに入れた。メンバーを増やしたことで成長が加速したのであれば、これで更に加速するはずだ。
「そうと決まったらオーク肉焼いてもらおうぜ!」
「そうだな、俺は先にウィーの食事を作ろう」
今日も宿の厨房を借りる。早めに宿に入ったので、忙しくなる前にちゃちゃっと作ってしまおう。
メインは肝のミルクシチューだ。
水で洗って薄切りにした肝と野菜をバターで炒め、香草も少し加える。肝が固くならないように焼き過ぎには注意して慎重に。
香ばしい香りが上がってきたらミルクを注ぎ、後はゆっくり煮込めばいい。
香辛料で味を整え、蜂蜜を少しだけ加えておく。
全体に肝の濃厚な味が広がったシチューだ。こいつは栄養の味がするぞ。
まだまだ行くぞ。
単純で美味いのが串焼きだ。新鮮な肝に塩を振って焼くだけ。
野趣あふれる食べ方だが、新鮮な肝に余計な手間はいらない。
よく作るオムレツにも細かく刻んだ肝を混ぜて焼く。
味見をすると濃厚なレバーの味が全体に広がり、卵のコクとよく合う。
更に肝のペーストを作る。
細かく切ったレバーをじっくり炒めてから、バター・香草と練ったもの。
これはパンに塗って食べれば栄養マシマシになる。
後は肝入り練り団子、低温調理の燻製肝、炒めた肝の酢漬け、肝の塩漬け干しは後で部屋につっておくか。
「出来たぞ!今日の飯はオークの肝臓尽くしだ!栄養満点だぞ!」
「お、おう」
「それを女子に食わせる気か」
「味見したがどれも上手く出来たぞ。じゃあアルシア、たのんだ」
「ええぇ…折角の出来なんだから、ガルドが食べさせてあげて。その方があの子も食が進むようなの」
「そうなのか?まぁそういうことなら俺が食べさせよう。俺の分の肉も焼いといてくれ」
ウィーは大喜びで食べてくれた。途中で休憩したいと言うから、俺は焼いた肉を取りに行って横で食べた。
肉も食べたいと言っていたが、肝の方が栄養が詰まってるからな。ほら、遠慮せずにもっと食べるんだ。オヤツに肝団子もあるぞ。
――――――――――
名前:ガルドリック
年齢:15歳(23歳)
職業:勇者
レベル:40
HP: 10620
MP:1990
耐久:1323
筋力:1031
敏捷:770
知力:614
魔力:455
幸運:10
スキル:「勇者の適応」「ステータスリード」「グローリアスタッチ」「導きの直感」「抑制」「調理技術」「ストレージ」「鋼の翼壁」「戦士の威光」「清浄」<勇者の器Ⅰ>
――――――――――
名前:フォルクハルト
年齢:17歳
職業:戦士
レベル:39
HP:5070
MP:1170
耐久:819
筋力:702
敏捷:897
知力:390
魔力:195
幸運:28
スキル:「投擲術」「見切り」「仕掛け屋の直感」「斥候の足」「軽足」「舞踏戦槍」「クリティカル」
――――――――――
名前:セオドリック・エヴァンシャー
年齢:31歳
職業:魔導技術者
レベル:36
HP:2160
MP:3120
耐久:288
筋力:432
敏捷:324
知力:1728
魔力:360
幸運:10
スキル習得:「魔石合成」
スキル:〈魔導設計〉「疑似溶融」「精密構形」「構造解析視」「魔術Ⅰ」「記憶合金制御」「浮架場生成」
――――――――――
名前:ウィレーヌ
年齢:14歳
職業:神聖魔法使い
レベル:5
HP:300
MP:650
耐久:30
筋力:30
敏捷:90
知力:80
魔力:140
幸運:21
スキル:〈神聖魔法Ⅱ〉「金の祝福」
――――――――――
名前:アルシリオ=ノルヴァ=リスティエ
年齢:328歳
職業:魔術師
レベル:1
HP:120
MP:260
耐久:23
筋力:18
敏捷:30
知力:38
魔力:52
幸運:38
スキル:〈森の祝福〉〈精霊の寵愛〉〈不朽の花容〉〈魔力精製体〉〈工匠の手〉〈剣術Ⅱ〉〈魔術Ⅴ〉〈精霊術Ⅴ〉
――――――――――
「清浄」清潔にする。
「魔石合成」2つ以上の魔石を1つにする。
「金の祝福」金色の幸福を得る。
「勇者の器Ⅰ」想いを集める器 463
――――――――――
(来るぞ!歯を食いしばれ!息を止めろ!)
ドン!めきぃっ!
「(ふんっぐ!)お、おいふぃ~」
「そうか、まだまだあるからたっぷり食べるんだ(フイィィィン!)」
レバー!レバー!レバー!滅多打ちだ!これは危険かぁ!?
「美味しいって、なんですか?」
お気に入りを投入してレバーを追加しよう!
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