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悲しい希望の世界
期待外れの悪魔は浄化!
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「愛情を……食べる?」
「は、はい。私は悪魔ですから。悪魔は人の心を食べます。知ってますよね?」
しらん。悪魔=悪いやつ。それが俺の知る全てだ。
「なので、人を滅ぼすとか、そういうのは出来ないんです。中には絶望を食べる為に争いを誘導したり、憎しみを食べる為に争わせる悪魔もいますけど。私は愛情を食べるので、人間たちが愛情に溢れた平和な世界の方がいいんです」
(ポイント交換発動、嘘看破)
嘘だ嘘だ、こんなの嘘に決まっている。こいつが全て導いたはずだ、アリアもシエラも殺したはずだ、俺を狂わせた筈なんだ。
「人の愛情しか食べない、だから人を不幸にしたいとは思わないと言うことか?」
「はい、人は幸せな方が愛情を育みやすいですから」
本当だ。こいつは人の愛情しか食べず、人の幸せを願っている。
一方で俺は人の感謝しか求めず、人の不幸を願った。真に邪悪なのは……俺?
「お前は、お前は邪悪では無いのか?世界を地獄に変える者ではないのか?」
「わ、わたしはそういうの出来ないです。あんまり力も強くないし、地獄では愛し合う感情はあんまり生まれないですよね?」
なんという事だ。俺の恋い焦がれた悪魔は小物だった。愛情だと?そんなもの何の価値もない、食いたければ勝手に食っていろというのだ。
俺は、俺自身が邪悪だからあの世界を作ったのか?他の誰の責任でもない、俺が邪悪だから。アリアもシエラも、俺が邪悪だから見限ったのか?
人の頭が入ったカプセルが、海すら埋め建てた地上全てに敷き詰められた世界。あれが俺の原風景だというのか?
憎しみに満ち、永遠の争いを続ける世界が俺の望み?
そういう事か。分かった、悪魔を滅しろと言うなら滅しよう。そして、俺自身も。
「悪魔よ、お前に罪はないのかもしれない。だがお前をこのままにするわけには行かない。俺と共に浄化しよう、お前が邪悪な者でないなら消えることはない」
「じょ、浄化ですか?」
「そうだ、浄化を受けるなら殺しはしない」
「わかりました、お受けします」
受けた言葉に嘘はない。こいつ教会での浄化を想像してるんだろうな。甘い、残念だがこちらには大天使がいるんだよ。
「アリア、シエラを呼んできてくれ」
「ふぁえ!?」
「盗み聞きしているのは分かってる、さっさと行ってこい」
さっきも盗み聞きしてたのにバレないわけないだろ。
「最後に聞きたい。俺に愛情はあるか?愛情を食べられた人間はどうなる?」
「愛情の欠片も見えません、私は食べていないのにどうして?食べると愛情の根が無くなるので人を愛せなくなります。でも、愛されることは出来ますよ。人は愛されると嬉しいものなので、一方的な愛情であっても擬似的な相思相愛は可能です」
人を愛せない人間が力を持ったらどうなるか、今更考えるまでもない。
愛情しか食べない優しい悪魔……か。
「お兄様、お呼びですか」
来たか。悪魔よ、期待外れの悪魔よ、真に邪悪なのはどちらか。今から証明しよう。
「シエラ、とても重要な話だ。信じ難い事だろうが、真面目に聞いてくれ」
「は、はい!」
「この少女の名はメグ。悪魔憑きだ、人の心を食べる悪魔。俺もこいつに心を食べられてしまった。シエラ、俺達のために祈ってくれ。俺達を浄化してくれ。お前にはその力がある」
「えぇぇ!?お兄様食べられちゃったんですか!?」
「え、え、まだ何も……」
「そうだ、俺も邪悪な存在になってしまった。だがシエラの祈りがあればきっと浄化できる。二人の為に祈ってくれ」
「信じられません……、あ、悪魔なんて……」
「のっぴょっぴょ~ん!アホになっちゃった~!」
「お兄様!?」
「にんじゃりばんばん!にんじゃりばんばん!」
「あぁルカ様がアホになってしまっている!シエラ様!私も手伝います!祈りましょう!」
「わかりました。お兄様、メグさん、悪魔になんて負けてはいけません。共に生きましょう!」
そうだ!さっさとやれ!
二人が手を組んで祈る。私欲の欠片もない、ただ俺達の為だけの清らかな祈りが捧げられた!
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!ば、ばかなぁ!?なぜぇぇぇぇ!?」
悪魔に痛恨のダメージ!どうだ!これが大天使の祈りだ!
「うごぉぉぉぉぉ!!お、俺の魂がぁぁぁぁぁ!やけるぅぅぅぅぅ!」
俺に極大ダメージ!煉獄の浄化から逃げ続けた罰が今!
「お、お兄様!?」
「大丈夫だ、続けてくれ!俺の魂は不滅!必ずこの試練を乗り越えてみせる!」
「お兄様流石です!二人共頑張ってください!」
「あがががががががが!」
苦しい!だが俺はこれを耐えて生まれ変わるのだ!
鷹の選択と言うものを知っているだろうか?彼らは長い寿命を持つが、その途中で爪や嘴が痛んで使い物にならなくなってしまう。
そこで、自ら爪を砕き、羽を抜き、嘴すら棄てた者だけが、新しい武器を得て残りの半生を生きる事が出来ると言うものだ。
しかしこれは真っ赤な嘘である。よい子のみんなは騙されないようにな!
『ぎぃぃぃぃぃ!やめ゙ろ゙ぉぉ!』
悪魔の体が大きくなっていく!牙をむき恐ろしい姿を見せた悪魔!やはり擬態だったな!真に邪悪なのは貴様だ!
「いけません!心を強くするのです!」
シエラの祈りの力が更に上っていく!
にょろ、にょろろ。
い、いかん!俺の魂がぁぁぁ!抜けそうになっているじゃあねぇか!!
「シエラ様!ル、ルカ様の方も頭から何か出てきましたよ!?」
「アリア、お兄様なら大丈夫!信じましょうお兄様を!」
「あぎゃあぁぁぁぁぁ!し、死んでしまう!!」
にょにょにょにょ、にょろ~ん
「何か抜けそうになってますけど!?」
死ぬ死ぬ死んでしまう!ポイント交換発動!道返しの玉!恒河沙の珠!反魂香!何でも出てこい!俺を救えぇぇ!
『よこせぇぇ!それをよこせぇぇぇ!』
「てめぇはこれでも食ってろ!」
塩!施餓鬼米!ニンニク!桃!初鰹と鯛もくれてやるぞ!
「さ、さかな!?お魚が出てきましたよ!?お塩が振られてます!」
「アリア、今は祈るのです。きっとお兄様には考えがあってのこと!信じています、お兄様ぁ!」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ!」
『あぎゃぁぁぁぁぁ!』
魔を滅するは清らかな祈り。少女の祈りは2体の悪魔を焼き続けた。
それから数十分後。
『ぐ、ぐががががが!ギャバァァァ!』
遂には悪魔が力尽き、小さな少女の姿へと戻った。浄化されたのだろう。
「か、勝った!勝ったぞぉ!」
勝利だ!周囲には色々なアイテムが転がっているが知らん。不正はなかった。俺の心は浄化に耐えたのだ。耐えてよかったのか?しらん、死にたくない。
「流石ですお兄様!」
「ルカ様心配しましたよぅ!」
二人がしがみついて来た。柔らかい感触、ふわりと香る甘い香り。
改めて見ると二人共すごい美少女だ。シエラは妹ながら完璧な貴族令嬢、アリアはすっかり出るところが出てたまらねぇぜ!
「でゅ、でゅふ。二人共もっとくっついていいぞ。でゅふふ」
「え、は?きもちわる……」
「シエラ様!きっと偽物です!悪霊退散!!」
「ぐぼぉぉぉ!」
俺は何か大切な感情を思い出し、見事な水月突きを受けて再びその感情を捨てた。
とにかく、悪魔の問題は終わりだ。こんなはずじゃなかったんだけどなぁ。
「は、はい。私は悪魔ですから。悪魔は人の心を食べます。知ってますよね?」
しらん。悪魔=悪いやつ。それが俺の知る全てだ。
「なので、人を滅ぼすとか、そういうのは出来ないんです。中には絶望を食べる為に争いを誘導したり、憎しみを食べる為に争わせる悪魔もいますけど。私は愛情を食べるので、人間たちが愛情に溢れた平和な世界の方がいいんです」
(ポイント交換発動、嘘看破)
嘘だ嘘だ、こんなの嘘に決まっている。こいつが全て導いたはずだ、アリアもシエラも殺したはずだ、俺を狂わせた筈なんだ。
「人の愛情しか食べない、だから人を不幸にしたいとは思わないと言うことか?」
「はい、人は幸せな方が愛情を育みやすいですから」
本当だ。こいつは人の愛情しか食べず、人の幸せを願っている。
一方で俺は人の感謝しか求めず、人の不幸を願った。真に邪悪なのは……俺?
「お前は、お前は邪悪では無いのか?世界を地獄に変える者ではないのか?」
「わ、わたしはそういうの出来ないです。あんまり力も強くないし、地獄では愛し合う感情はあんまり生まれないですよね?」
なんという事だ。俺の恋い焦がれた悪魔は小物だった。愛情だと?そんなもの何の価値もない、食いたければ勝手に食っていろというのだ。
俺は、俺自身が邪悪だからあの世界を作ったのか?他の誰の責任でもない、俺が邪悪だから。アリアもシエラも、俺が邪悪だから見限ったのか?
人の頭が入ったカプセルが、海すら埋め建てた地上全てに敷き詰められた世界。あれが俺の原風景だというのか?
憎しみに満ち、永遠の争いを続ける世界が俺の望み?
そういう事か。分かった、悪魔を滅しろと言うなら滅しよう。そして、俺自身も。
「悪魔よ、お前に罪はないのかもしれない。だがお前をこのままにするわけには行かない。俺と共に浄化しよう、お前が邪悪な者でないなら消えることはない」
「じょ、浄化ですか?」
「そうだ、浄化を受けるなら殺しはしない」
「わかりました、お受けします」
受けた言葉に嘘はない。こいつ教会での浄化を想像してるんだろうな。甘い、残念だがこちらには大天使がいるんだよ。
「アリア、シエラを呼んできてくれ」
「ふぁえ!?」
「盗み聞きしているのは分かってる、さっさと行ってこい」
さっきも盗み聞きしてたのにバレないわけないだろ。
「最後に聞きたい。俺に愛情はあるか?愛情を食べられた人間はどうなる?」
「愛情の欠片も見えません、私は食べていないのにどうして?食べると愛情の根が無くなるので人を愛せなくなります。でも、愛されることは出来ますよ。人は愛されると嬉しいものなので、一方的な愛情であっても擬似的な相思相愛は可能です」
人を愛せない人間が力を持ったらどうなるか、今更考えるまでもない。
愛情しか食べない優しい悪魔……か。
「お兄様、お呼びですか」
来たか。悪魔よ、期待外れの悪魔よ、真に邪悪なのはどちらか。今から証明しよう。
「シエラ、とても重要な話だ。信じ難い事だろうが、真面目に聞いてくれ」
「は、はい!」
「この少女の名はメグ。悪魔憑きだ、人の心を食べる悪魔。俺もこいつに心を食べられてしまった。シエラ、俺達のために祈ってくれ。俺達を浄化してくれ。お前にはその力がある」
「えぇぇ!?お兄様食べられちゃったんですか!?」
「え、え、まだ何も……」
「そうだ、俺も邪悪な存在になってしまった。だがシエラの祈りがあればきっと浄化できる。二人の為に祈ってくれ」
「信じられません……、あ、悪魔なんて……」
「のっぴょっぴょ~ん!アホになっちゃった~!」
「お兄様!?」
「にんじゃりばんばん!にんじゃりばんばん!」
「あぁルカ様がアホになってしまっている!シエラ様!私も手伝います!祈りましょう!」
「わかりました。お兄様、メグさん、悪魔になんて負けてはいけません。共に生きましょう!」
そうだ!さっさとやれ!
二人が手を組んで祈る。私欲の欠片もない、ただ俺達の為だけの清らかな祈りが捧げられた!
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!ば、ばかなぁ!?なぜぇぇぇぇ!?」
悪魔に痛恨のダメージ!どうだ!これが大天使の祈りだ!
「うごぉぉぉぉぉ!!お、俺の魂がぁぁぁぁぁ!やけるぅぅぅぅぅ!」
俺に極大ダメージ!煉獄の浄化から逃げ続けた罰が今!
「お、お兄様!?」
「大丈夫だ、続けてくれ!俺の魂は不滅!必ずこの試練を乗り越えてみせる!」
「お兄様流石です!二人共頑張ってください!」
「あがががががががが!」
苦しい!だが俺はこれを耐えて生まれ変わるのだ!
鷹の選択と言うものを知っているだろうか?彼らは長い寿命を持つが、その途中で爪や嘴が痛んで使い物にならなくなってしまう。
そこで、自ら爪を砕き、羽を抜き、嘴すら棄てた者だけが、新しい武器を得て残りの半生を生きる事が出来ると言うものだ。
しかしこれは真っ赤な嘘である。よい子のみんなは騙されないようにな!
『ぎぃぃぃぃぃ!やめ゙ろ゙ぉぉ!』
悪魔の体が大きくなっていく!牙をむき恐ろしい姿を見せた悪魔!やはり擬態だったな!真に邪悪なのは貴様だ!
「いけません!心を強くするのです!」
シエラの祈りの力が更に上っていく!
にょろ、にょろろ。
い、いかん!俺の魂がぁぁぁ!抜けそうになっているじゃあねぇか!!
「シエラ様!ル、ルカ様の方も頭から何か出てきましたよ!?」
「アリア、お兄様なら大丈夫!信じましょうお兄様を!」
「あぎゃあぁぁぁぁぁ!し、死んでしまう!!」
にょにょにょにょ、にょろ~ん
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死ぬ死ぬ死んでしまう!ポイント交換発動!道返しの玉!恒河沙の珠!反魂香!何でも出てこい!俺を救えぇぇ!
『よこせぇぇ!それをよこせぇぇぇ!』
「てめぇはこれでも食ってろ!」
塩!施餓鬼米!ニンニク!桃!初鰹と鯛もくれてやるぞ!
「さ、さかな!?お魚が出てきましたよ!?お塩が振られてます!」
「アリア、今は祈るのです。きっとお兄様には考えがあってのこと!信じています、お兄様ぁ!」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ!」
『あぎゃぁぁぁぁぁ!』
魔を滅するは清らかな祈り。少女の祈りは2体の悪魔を焼き続けた。
それから数十分後。
『ぐ、ぐががががが!ギャバァァァ!』
遂には悪魔が力尽き、小さな少女の姿へと戻った。浄化されたのだろう。
「か、勝った!勝ったぞぉ!」
勝利だ!周囲には色々なアイテムが転がっているが知らん。不正はなかった。俺の心は浄化に耐えたのだ。耐えてよかったのか?しらん、死にたくない。
「流石ですお兄様!」
「ルカ様心配しましたよぅ!」
二人がしがみついて来た。柔らかい感触、ふわりと香る甘い香り。
改めて見ると二人共すごい美少女だ。シエラは妹ながら完璧な貴族令嬢、アリアはすっかり出るところが出てたまらねぇぜ!
「でゅ、でゅふ。二人共もっとくっついていいぞ。でゅふふ」
「え、は?きもちわる……」
「シエラ様!きっと偽物です!悪霊退散!!」
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