如月さん、拾いましたっ!

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

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21話(7)俺の恋人が猫に浮気中?!嫉妬したらねこみみ要求されました?!

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「にゃんにゃん王国?」


 いかにも猫がたくさんいそうな場所の前で、小春が立ち止まった。


「多分この中にいるんじゃないかな」
「猫が好きなの……?」
「彼氏のくせに知らないの?」
「え……うん」


 呆れたように小春が俺を見る。そう言われると少し傷つく。小春と一緒に部屋の中へ足を進めた。


 如月は自分のことを、基本的に話してくれないから、知らないことは多い。お互いのことは、ゆっくり知っていけばいいと思ったけど、それではダメなのかな。


 それにしても部屋が涼しい。なんて暑いところに居たのだろう。目の前には沢山の猫。現実離れした可愛らしい空間に、テンションが上がる。


「ねこいっぱい!! すごっ!! 触っていいのこれ?! 猫カフェみたい!! 行ったことないけど!! はぁ~~猫かわいい!!」


 いや、そんなことより如月を探さねば!! 辺りを見回す。


 部屋の隅に座る、如月の姿が目に入った。膝の上に猫を乗せ、指先で撫でながら本を読んでいる。ここ、本読むところ違うよ。静かに近づき、隣へ座った。


「こんなところで何やってるの。俺のこと1人にして」
「あ……ちょっと遊んだら帰ろうと思ったのですが、いつの間にか本を……」
「寄り道が長くなるなら連絡してくれない?」


 如月の膝の上にいる猫に手を伸ばし、優しく撫でる。めっちゃ如月に懐いてるし。


「そうですね……すみません…って、あれ? 姉さん?」
「弥生の居そうな場所へ連れてきた」
「義理姉さん、ここまで連れてきてくれてありがとうございます」


 立ち上がり、小春に軽く頭を下げると、げんこつで頭が挟まれた。痛っ!!!


義理姉さんおねえさんと呼ぶな!!!」
「痛い痛い痛い!!! ぐりぐりやめて!! やめてください!! 義理姉さぁん!!!」
「だから義理姉さんやめろ!!!」
「2人ともうるさい……」


 如月が猫を抱きかかえ、俺と小春のそばを離れようと立ち上がった。如月の服を掴み、引き留める。


「如月どこいくの?! 助けてよ!!」
「君たち煩いからねこがびっくりして逃げる」
「帰る!!!」


 べしっ。小春に思いっきり頭が叩かれた。小春が満足そうに笑みを浮かべ、にゃんにゃん王国を出て行った。


 頭を押さえ、小春の背中を見つめる。


「いったぁあい!!!! もぉっ!! なに!!!」
「まぁ、良いじゃない。私たち、会えたのだから」


 如月が猫に顔を埋め、息を吸っている。猫じゃなくて俺にして欲しいくらいなんだけど。


「はぁあぁあ~~っ。はぁはぁ。いい匂い。かわゆ。んふ。なに? ここ? いいよ。どう? はぁはぁ。かわゆ。はぁあ~~っ」


 如月の猫愛に戸惑う。へんたい地味た如月をじぃっと見つめる。


「ね、ねこ好きなんだ?」
「うん、大好き。でも睦月さんの方が好きだよ」


 如月は猫と戯れ終わると、名残惜しそうに床へ下ろし、振り返って俺を見た。


「次どこ行きますか?」
「今日は暑いし、十分みたからもう帰ろうかな。如月、楽しかった?」


 自分だけ楽しんでしまったような気もする。如月が目を細めて嬉しそうに笑った。


「楽しかったです」
「ならいいけど」


 さりげなく、手を差し出すと、手が握られ、俺を見るなり、妖しい笑みを浮かべた。


「ふふ」
「???」
「睦月さんもねこでした。おうちに帰ったらいっぱい可愛がってあげるね~~楽しみ~~」


 えっ? え~~っ?!?!


 性欲は強い方。でもでもぉ~~、昨日のアレのおかげか、しばらくしなくてもいいかな、と思えるほど満たされている。


「にゃんにゃん猫プレイしようね」
「はぁあぁああ?! なにそれ!! 絶対やらない!!!! 無理!!!! 絶対やりませんからぁ~~っ!!!」


 今度ばかりは絶対やらない!!


「もう今更何やっても平気でしょ。似合うと思うなぁ、ねこみみ」
「?!?! 絶対付けないからーー!!!」


 受け入れない受け入れない絶対受け入れない!! 如月を睨む。「ふぅん?」と艶めかしく笑われた。


「俺は正統派です!!!!」
「私が異端みたいに言わないでもらえます?」
「アブノーマル!!!」
「違います~~」


 くだらない言い合いをしながら、動物園を後にした。


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