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21話(9)元カレと再会?!玄関で猫耳恋人が待っていました?!
しおりを挟むべつに怒ってないし。それに本気で言ってた訳じゃないし。分かってるし、睦月さんがそんなつもりじゃないことも。だけど、えっちに誘ったのに、断られたようなダメージを受けた。
精神的大ダメージ。効果は抜群だ。だが、色々な経験を積み、耐久性がついたのか、HPは残った。当たり障りなく『大丈夫ですよ、気にしてません』感は出してきたつもり。
このまま私がライフを回復して、夕飯時に佐野家へ戻れば、万事解決だと思われる。睦月さんだって、私に気持ちを伝えてきたし、それを私は受け止めた。会話は成立している。
大丈夫。問題ない。
特に行く当てもなく、ぷらぷらと歩く。日は沈み、日中ほどの暑さは感じない。夜風は少し気持ちが良い。
「ん~~どこ行こう?」
どこかへ行く必要性は特にない。折角1人で出てきたのだから、この時間を楽しみたい。う~~ん。友達とか特に居ないしな。うわぁ、寂しい。
ーー皐以外の元恋人。
頭にそのワードが思い浮かぶ。付き合うと割と長く続く方だ。まぁ、恋人になったら、即同棲を繰り返す私の恋愛遍歴なんて、聞いたらドン引きされることは間違いない。
そして、必ずしも恋人に自分のセクシュアルマイノリティを、打ち明けてきた訳ではない。自分のことを分かってもらえそうな人のみだ。
皐とはまぁ色々あったけど、馬が合い、居心地の良い関係を築けた。
私がどんな相手を好むのかとか、そんなことを気にするような女ではなかったから、自分のセクシュアルマイノリティは、はっきりとは話していない。
でもその皐にも晴れて恋人が出来た。やっぱり結婚……するのかな。気軽に会えたはずなのに、気を遣い、どんどん距離が離れていく。
睦月さんにはスマホで写真を見られてしまったが、私のことを良く知る人物は、あと1人いる。皐を除く、睦月さん以外の理解者。
気がつけば、その人物の家の前まで来ていた。あぁ、やだやだ。こんなところまで来ちゃって。大体、皐の前に付き合っていたのだから、もう何十年前の話? 数えられないや。
なんでも相談し合える、睦月さんと旭さんの友人関係が、友達の居ない私には少し羨ましかった。
だからと言って、もう別れている。今更、会いにくるとか。浮気するつもりはないし、帰ろう。
「はぁ……」
「如月く~~ん」
今名前呼ばれなかった? 来た道を戻る足を止め、振り返る。窓から身を乗り出して、手を振る懐かしい人の姿があった。
「なんでこんなところに居るの?」
「久しぶり、千早。なんででしょうね。まだそこに住んで居たのですね」
「君は相変わらずだね。あはは、一応ね。盆休みは実家に帰るよ」
相変わらずなのは貴方も同じだろうに。童顔で、綺麗な顔立ち。同い年とは思えない。柔らかくて、可愛らしい雰囲気な元恋人。
「ご飯、食べた?」
「まだですね。でも、作って待っている人が居るので帰らないと」
もう少し話したい気もする。
「恋人が居るんだ。それは大切にしないと。今度ゆっくり話そうよ、本とか読みながら」
千早が微笑み、私も笑みが溢れた。
「そうですね。また連絡します。会えて良かった」
窓の向こうにいる千早に軽く手を振り、また歩き始めた。少し良いことがあった気分。千早とブックカフェへ行こう。楽しみだなぁ。話しながら、本を読んで、まったりする。いいなぁ。
佐野家に着いて思い出す。
あ、睦月さんと今、変な感じになっていたんだっけ? まぁ、大丈夫でしょ。千早に会ったことで私のライフは全回復した。平気平気。
ドアノブに手をかけて、家の中に入った。
「遅くなりましたーー……え?」
出迎えてくれた、睦月の変わりように、私はひどく困惑した。
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*
ーー時は戻り、30分前 佐野家
「やっぱり帰ってきたらちゃんと謝ろう!!!」
おたまを握る手に力が入る。
「別に怒ってなかったことね? 謝る必要あるの?」
「分かんないじゃん、そんなの~~。真剣に向き合って、謝らないと伝わらない気がする!」
「そういうところが重いんじゃないの?」
「重いとは……」
握っていたおたまが手から滑り落ち、鍋へ入った。
「逃げたくなるっていうかぁ~~もっとフランクにねこみみ付けて『ごめんにゃさいっ』て言っときゃ良いんじゃない」
卯月から先程のカチューシャを手渡され、なんとなく、受け取ってしまう。ねこみみで謝る? ケンカはしていない。少しの誤解。
これを付けて『ごめんにゃさいっ! 仲良くしてね』って言った方が、にゃんにゃん猫プレイはしないけど、いちゃいちゃはしますよ感は伝わるということか!! アリだな!!! おけ!!! やろう!!! そうしよう!!!!
俺はねこみみカチューシャを装備し、士気が上がった。
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