如月さん、拾いましたっ!

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

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22話(5)如月家は全員強火系?!恋人の俺に逃げ場はなし?!

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「こ、ここが如月の実家……」


 祖母の家へ迎えに来てもらい、1日遅れで如月家に到着した。一般的な一軒家を想像していたが、思ったよりも大きい。家、お金持ちなの?


 車からスーツケースを下ろして、小春が駐車し終えるのを玄関門で待った。


「睦月ちゃんお待たせ。入ろう」
「は……はい……」


 柄にもなく緊張する!! 玄関門を通り、小春が扉を開け、大きな声で言った。


「ただいま~~!! 連れてきたよ~~!!」


 バタバタバタバタ。こちらに向かって足音が近づいてくる。こ、こわい!! サッと小春の後ろに隠れると、首根っこを掴まれ、前につまみ出された。


「わあっ!!!」
「何やってんの? 後ろに隠れるな、女々しい」


 目の前には、女性が3人並んでいる。この人が妹?! お義母さん?! お姉さん?!


「これが噂の?!」
「へぇ……いらっしゃい」
「恋人見たくって、実家に帰ってきちゃった」


(はわわわわわぁぁああぁあぁあ!!!!)


「さ、佐野睦月です……こ、こんにちわ……初めまして……お世話になっています(?)」


 誰を見たら良いか分からず、目線が下がる。


「…………」
「…………」
「…………」


(何?! 品定めされてる感がすごい!!)


「あっ…えっと……よろしくお願いします」


 ぎこちなく頭を下げた。視線が痛い。


「彼氏、めっちゃ若いんだけど!」
「……自分の年齢を考えろ、バカ息子……」
「千早くんとは全然違うタイプに見える」


 比べないでぇ!! なんで如月は来ないの?! 早く家に上がらせて!! こんなところで品評会みたいなことしないで!!!


 しばらくすると、猫を抱きかかえた如月が、廊下に顔を出した。


「あ、来たんですか?」
「来ましたよ、そりゃあ……」


 玄関にしゃがみ、スーツケースのポケットから新しい雑巾を取り出して、キャスターを拭く。ふきふき。


「そういうことやるタイプ……」
「え?」


 顔を見上げると、妹? と目が合った。


「え、だって……部屋が汚れたら嫌じゃないですか?」
「まぁ……配慮ありがとう」


 なんかよく分からないけど、気まずい!! 靴を脱ぎ、廊下に上がる。脱ぎ散らかった靴を全て揃えていく。こういうのは気になる。


「……へぇ」
「あ、すみません……勝手に……」
「ありがとう」


 お義母さんらしき方に、微笑まれた!!


 スーツケースを持ち上げ、案内されるまま、ついて行く。リビングだ。広い。良いなぁ。まだ、緊張は解けない。


「弥生、荷物持って行ってあげて」
「荷物置きにいくね。はい、どうぞ」
「ありがと……」
「にゃあ!」


 如月に猫を渡され、抱っこする。腕の中で猫が少し暴れている。如月と離れるのがイヤみたいで、ぴょんっと、腕からすり抜け、どこかへ行ってしまった。


「あ~~っ……」


 如月はスーツケースを持ち、リビングを出て行った。知らない家で1人。どうしよう。「座ったら」と、小春に言われ、ソファへ腰掛けた。落ち着かない。


 キッチンから声が聞こえる。


「お昼何も用意してないけど!」
「どうするの!」
「パスタはあるよ」
「具は何かあるの?」
「うーーん……お母さんどこ?」


(手伝おうかな……)


 ソファから立ち上がり、キッチンへ行ってみる。パスタ麺を片手に、何か悩んでおり、料理は進んでいなさそう。4人の女性に声をかけると、全員がこちらを向き、俺に視線が降りかかった。う~~っ。


「あの……手伝います……」
「睦月ちゃんが?」


 料理出来るの? そんな不審な顔をしている。こ、これは!! 俺が活躍出来る場!! 成功すれば好感度爆上げ!! うじうじしていても仕方がない!! 開き直って立ち向かえ!!!


「やります!! やります!! やらせてください!! 俺が全部作りますから!! お姉さんたちは休んでいてください!! 失礼します!!」


 勝手に冷蔵庫を開ける。ふむふむ。おけ、作れる!! 視線を感じながらも料理を始める。いいんだ、これで! これでこそ俺!


 後ろから如月が俺の手元を覗き込んだ。


「何やってるんですか」
「クリームパスタと明太子パスタ作ってる!」


 フライパンを取り出して、如月に見せつける。調子が戻ってきた!!


 おおよそ30分程度で2つのパスタを作り終わった。我ながら、仕上がりは完璧。味も保証出来る。お皿に盛り付け、リビングのテーブルへ運ぶ。


「美味しそう……」
「できる男……」


 ふふふ、おまけにスープ付き!! 全てを並べ終え、席に着いた。


「「頂きます!!」」
「美味しい~~!」


 家族で食べるって良いなぁ。両親と食べることなんて、もう出来ないから、少し羨ましく思う。でも、喜んでもらえて嬉しい!!


「自己紹介まだだったね。こちらが長女、香澄。二女、小春。四女、琴葉。三女は結婚して、家を出てるから居ないよ」


 お義母さんが淡々と話していく。香澄が軽く手を挙げ、にこりと笑って口を開いた。


「私も結婚しているよー。今日は弥生の恋人が来るって聞いたから来ただけで、実家には住んでないよ」
「睦月ちゃんもちゃんと自己紹介したら?」
「そうですね!! 佐野睦月です!! 24歳です!! 弥生さんとお付き合いさせて頂いてます!! よろしくお願いしまぁす!!」


 1人ずつ顔を見て、笑顔で言う。緊張も解けたし、もう俺は大丈夫!!


「若~~……」
「私より5つも年下!(※琴葉は29歳)」


 どうやら俺の年齢が気になるらしい。まぁ、年の差は結構あるのかも。それはどう頑張っても埋められないし、仕方がないものだ。


 話を訊きながら、パスタをフォークで巻き、口に運ぶ。


「あなた37よ? もっと年相応の……」
「ぇえ? 別にいいでしょ。誰と恋愛したって」


 あれ? 如月家は俺が恋人でもあんまり拒否反応はないんだなぁ。前の恋人も男だったから、あんまり抵抗ないってこと??


「うちは弥生が自分のセクシュアルマイノリティで悩んだ時期があったから、その辺、理解はあるつもり。だから気にしなくて大丈夫だよ」
「そうなんですね……ありがとうございます」
「はぁ~~美味しかった」


 たくさん作ったパスタは、あっという間になくなった。良かった。つい癖で空になった食器を重ね、キッチンへ持っていく。


 はっ。気づいたら、片手にスポンジが!! まぁいっか。洗っちゃおう。後ろにいるお姉さま達の視線が少し気になる。


「何この子……家事力半端ない……」
「あ、作ったのは俺なので、鍋も全部洗いますねー!」


 片付けまでが料理!! 片付けないとかあり得ない!!


 使った調理器具を全て洗い、IHクッキングヒーターの上を拭いていく。IHは手入れが楽でいいな! 元より綺麗になっちゃったぁ。片付け完了。


「終わりました!!」


 後ろを振り返ると、お姉さまやお義母さま方が横に並んでいた。


「あ、えっと、何か? 問題が……?」
「いやぁ、ありがとうね! 若いのにすごい!」
「どうも?(……如月どこ?)」
「お茶飲む?」
「あ、はい飲みます!(……如月どこ?)」
「よく見たらめっちゃ可愛い顔してる!」
「色々話聞かせてよ~~」


 如月ぃいいぃいい?! 助けて!!! どこにいるの?! 俺を1人にしないでぇえぇえぇえ!!


 大きなお姉さま方に囲まれながら、リビングへ連れて行かれ、質問攻めに、ひとつひとつ答える。あ~~疲れる。この状況を抜け出したい!!


「あの……弥生さんは……?」
「自分の部屋で本でも読んでるんじゃない? 2階だよ。行ってみれば」


 小春に場所を教えてもらい、リビングを出た。



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