如月さん、拾いましたっ!

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

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37話 舐めプのネット購入?!スーツ姿の貴方に胸きゅんでいちゃいちゃ?!

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 ーー10月 オフィス外構



 ベンチに腰掛け、神谷と弁当を食べる。今日は木曜日。なんだかんだ1週間もあっという間に過ぎていく。


「今週の土曜、僕の結婚式だからね」
「え?」


 なんですと!!!! すっかり忘れていた!!! ご祝儀袋、用意してない!!! そもそも、ダークスーツとか持ってないし!!! 卯月は制服で良いもんね?!?!


 どうしよう!!!


「忘れてないよね?」
「も、もちろん!!!(嘘)」
「そう、楽しみにしてるね~~」


 帰ったら7時を過ぎる。如月、俺の分のスーツとか持ってるかな?! 如月は自分のスーツあるの?! 結婚式まであと2日しかない!!! むしろ実質あと1日?! 間に合うかなぁ?!?!


 不安で胸がいっぱいになりながら、膝の上の弁当を口へ運ぶ。準備出来ていないことが心配で、喉を通らないや。



 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー


「ただいまぁ!!!」


 バン!!!


 玄関扉を開け、急いでリビングへ向かう。早く結婚式に着て行く服の相談をしなければ!!!


「如月!!! 俺、ビジネススーツしか持ってない!!!!」
「はい?」


 こたつで暖まりながら、パソコンと睨めっこをしている如月の元へ駆け寄る。


「だって、今週の土曜は結婚式!!! 如月はスーツあるの?!?!」
「用意しましたよー、睦月さんがクリーニング出してくれたじゃないですか」


 それも兼ねてのクリーニング?!?! 騙された!!!(※騙してはない)えっ、まさか俺だけ用意ができていない?!?!


 座っている如月の後ろから抱きつき、肩に顎を乗せ、ぐりぐり頬擦りする。


「もうなんですかぁ~~」
「如月のぷらいむ会員で俺にスーツ買って~~」
「え? スーツって、土曜に着るやつですよね? 今から買うんですか? ネットで? 今日、木曜の夜ですけど……」


 ぶつぶつ言いながらも、執筆画面を閉じて、俺のために検索し始める如月好き。すりすり。パソコンに表示されたスーツを一緒に見ていく。


「いやぁ~~無理じゃないですか、流石に。配送状況とか確実性はないかと……」


 スーツを見ている割には、なんだか買うことを渋ってくる。むー。でも要るんだもん。仕事休めないし。注文したら次の日届くんでしょ? いいじゃん!!


「ぷらいむ会員って1日で届くんでしょ?」
「今日買って明日届くとでも思ってるんですか?!?!」
「そういうアレなんでしょ!! 届くって!!! 買ってよぉ~~」


 ぎゅうぎゅう。如月を強く抱きしめる。


「それ舐めプですって!!! 自分で買いに行っては?!?!」
「やだ。如月買って~~」
「しかも私持ち!!!」


 観念したようにグレーのスーツをクリックし、また探し始めた。


「如月ありがとう~~」


 如月の頬に手を添え、自分の方へ向けて、唇を重ねる。ちゅ。如月の頬がほんのり染まるのを見て、こちらまでドキッとする。


「届かなくても知りませんからね~~」
「届かなかったらビジネススーツ着てく」
「…………(あるじゃん)」


 たくさん表示されるスーツの中から、吟味する。やっぱ、グレーとか? 披露宴もお色直しもない結婚式だと、フランクな感じで、カジュアルっぽい方がいいのかな?


「どれが良いと思う?」
「1日で届くって謳ってるやつですかね……」
「もぉ!!! 俺にはどのスーツが似合うか聞いてるの!!!」
「あーはいはい」


 画面を見ながら如月と一緒にスーツを選ぶ。結局、自分が選んだスーツは総却下され、少し高そうなスーツを買ってもらえた。これで準備はオッケー!!!



 あとは2人の結婚を祝うのみーー。



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 ーーーーーーーー
 ーーーー


 ーー結婚式当日



 スーツは無事、次の日に届いた。ネットで早急に買ったものではあったが、着用しても、違和感なし。むしろピッタリ。良い感じ!!!


 ネクタイをキュッと締める。


「お兄ちゃんがスーツ着てると変な感じ」


 卯月がじろじろと見てくる。俺は妹がパーティードレス着てる方が違和感だよ!!! 制服でいいじゃん!!! 制服で!!! なんで買ってもらってるの!!!


「スーツ無事届いてよかったですね」
「やっぱり1日で届いたぁ~~」
「もう2度とギリギリには注文しません。心臓に悪い……」


 髪の毛を縛りに、脱衣所へ向かう如月の後を、こっそりついて行く。洗面台の前に立ち、髪の毛を櫛で解かしながら、1つにゆわえている。脱衣所の扉の陰から様子を窺う。


 髪留めを咥える口がなんとも可愛い!!! キュンとする!!! 束ねるために掻き上げた髪から覗くうなじが色っぽい!!! これは目が離せない!!!


 じぃ~~。


「な、なんですか? あんまり見ないで?」
「え?」


 頬を赤く染め、照れ隠しのようにぐしゃっと頭が撫でられた。最近すぐ俺の頭を撫でる。でも、如月に頭を撫でられるのは嫌いじゃない。むしろ好き。


 いつもオーバーサイズの服しか着ない、如月がスーツに着替え始める。ゆったりとした普段の服とは違い、身体のラインがはっきり分かる。ネクタイ姿も良い。


 ……なんだかそそられる。


「準備できました~~ん? なぁに?」
「あ……」


 いつもとは違う雰囲気の如月を見て、今度は俺の方が照れてしまい、頬が染まる。なんか恥ずかしい。


「ふふ。どうしたの~~?」
「な…なんも……」


 脱衣所の扉の陰へ、スッと隠れる。隠れた俺を嘲笑うようにクスッと笑ってくる。む。笑わなくてもいいじゃん。扉に如月が近づいてきた。


「わぁっ……んっ……」


 突然ネクタイを引っ張られ、無理矢理、唇が重なる。顔を傾け、もう一度口唇が触れ合う。吐息の熱に鼓動が早くなった。


「っはぁ……」
「ネクタイ、歪んでしまいました」


 首元に如月の指先が触れる。ドキ。ネクタイが解かれていく。胸元でごそごそする如月の手に心臓は更に早くなる。はぁ。緊張する。


 この心臓の音が如月に聞こえていたら、どうしよう。


「はい、直りましたよ」
「ありがとう」


 何か心配事でもあるのか、ジッと見つめてくる。頬が優しく撫でられた。


「緊張してる?」
「え? あっ……結婚式とか初めてだから……」


 全然違う。結婚式に緊張してしてる訳じゃないのに。貴方に緊張しています、なんて言えるはずもなく。恥ずかしくて、自分の気持ちが素直に言えない。つまらない嘘をまた吐いてしまった。


 こんな嘘の積み重ね、したくはない。


「そっか。まだ若いもんね」
「うん……」
「私、卯月さんの髪の毛セットしてきます」


 自分の手はリビングへ行こうとする如月の手を無意識に掴んでいた。


「どうしたんですか?」
「あ……えっと……」


 不思議そうな顔で俺を見つめる。既に終わった話の訂正なんて、ただの自己満足でしかない。それでも、嘘を吐いたままは嫌で、掴んだ手にぎゅっと力を入れる。


「……嘘吐いた」
「はい?」
「緊張してるのは……如月が近かったから……」
「ふふ。話してくれてありがとう。睦月さん」


 目を細め微笑む如月にそっと抱きしめられ、首筋へ顔を埋める。ごめんなさい。次は、次はちゃんと素直に言うよ。聞いてくれてありがとう。


「貴方がそんなことで悩んでるなんて、私からしたら愛しいですけどね」
「……そう?」
「そうですよ」
 

 首筋から顔を離し、如月を見る。涙が瞳に溜まり、ぼやけてよく見えない。指先で目を擦る。如月に向け、笑顔を作るが、はにかんでしまう。


「泣いてるの? もう~~」
「泣いてないし」


 ぽふ。


 優しく後頭部を押され、また首筋に顔が埋まる。如月の匂いがふわっと香った。落ち着く。とんとん、と子どもをあやすみたいに背中が叩かれた。


「もう、大丈夫だよ。ありがとう」
「キスする?」
「する」


 目を瞑ると、優しく唇が触れ合った。親密であたたかい。少しだけ唇を開けると、ゆっくり舌が差し込まれてきた。内側から甘く溶かされ、絡め合う。吐息でさえも溶けていく。


「ん……っん…ん……んん……はぁっ…」


 唇が離され、少し物足りなさと寂しさを感じた。


「ふふ。そんなトロンとした目で式場なんて行っちゃダメですよ」
「分かってるってばぁ……でももう少しだけ」


 如月の頬を両手で挟み、軽く口付けする。


 ちゅ。


「そんなキスで良いんですか?」
「続きは帰ってきてからする」
「それは楽しみですね」


 妖しい笑みを浮かべる如月を見て、下腹が少し熱くなる。あぁ、後ろも疼く。俺って、なんてえっちなの。はぁ。


「さてと、卯月さんの髪の毛やらないと……」


 如月と一緒にリビングへ向かうと、待ちくたびれたのか、卯月がだらんとして、座って待っていた。


「遅い!!!」
「ごめんなさい。すぐやります!!」
「俺も何か手伝えることある?」
「お兄ちゃんお茶持ってきて」


 それ、パシリ……。


 キッチンへ行き、3人分のコップを用意し、お茶を注ぐ。お茶の入ったコップを持ち、リビングへ戻ると、卯月の髪は両サイドから編み込まれ、中央でまとめられていた。


「ハーフアップ出来ました~~」
「よーし!!! お茶飲んだら出陣じゃあぁあぁあ!!!」
「そんなすごいところ行くわけじゃ……」


 よく分からないが、卯月に乾杯をさせられ、3人でコップを合わせる。お茶を一気に飲み干し、玄関へ向かった。


 慣れない靴を履き、玄関の外へ出ると、タクシーが一台停まっていた。如月が呼んだのだろう。結婚式かぁ。俺はする予定ないな。


 神谷と皐の幸せな姿を思い描き、楽しみを胸に抱きながら、タクシーへと乗り込んだ。



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