私の恋人は幼馴染(♀)

竜田優乃

文字の大きさ
52 / 55

52. まだまだ暑いですね

しおりを挟む
 アメリカンフードを食べてアクアシティを出た。
 外に出ると空は真っ暗になっていた。
 周りの建物が光っているせいか星などは全く見えない。
 見えるのは丸くなったお月様だけ。
 観光客なのか分からないが家族連れや外国人などで人通りは家を出た時よりも多くなっていた。

 「人多いね」
 「そうだね、とりあえず家の前のスーパーで食材とか買ってこうかな」
 「わかった。ぎゅ~」

 絵梨香は私の腕に飛びつくと力いっぱい抱きしめた。
 絵梨香の胸に腕があたりとても柔らかい、不思議と安心感が出て来てしまう。
 しかし、この見た目で私に甘えてくると少し不思議な感じになってしまう。
 絵梨香の見た目はクール系女子、所謂ボーイッシュだ。
 それに比べて私はただの女子高生、見た目的には私が「絵梨香カッコ良い!すっごく甘えたい。ねぇ、ぎゅ~ってして言い?」みたいな感じで私が絵梨香に甘えるのが普通なはずなのに絵梨香が私に甘えてしまっているせいで周りからの視線が変な風に集まってしまう。
 現に今も色んな人から見られているのかもの凄く視線を感じる。
 改めて絵梨香の魅力というか人を惹きつける力を実感した。
 視線を感じながら歩き、家の前のスーパーに着いた。
 まだ八月という事もあり、夜はとても蒸し暑くなっていた。
 店内に入るとクーラーが効いているのか外よりは涼しかったがそれでも蒸し暑かった。

 「暑いね」
 「そうだね、早く帰りたい」
 「急いで済ますから我慢して」

 スマホで時間を確認すると7時になっていた、店内を見渡すと人はあまり居らず仕事帰りのサラリーマン見たいな人が二人ほど見えるだけだった。
 私はショッピングカートは使わず手さげのカゴを取り、最初に精肉コーナーから見始めた。
 時間も時間なだけあって数は少なかったがほとんどのお肉に半額シールや4割引きシールが貼ってあった。
 とりあえず日持ちしそうなものを手に取りカゴに入れた。
 その後、ポン酢が切れていた事を思い出したので調味料コーナーに行ってポン酢もカゴに入れた。
 魚とか海鮮も見たかったが時間的に良い物は置いていないと思ったので海鮮コーナーは辞めた。
 レジに行きカゴを置いた。
 気怠そうな店員さんが商品をレジに打っていく。

 「全部で1242円です」

 案外かからなかったなと思い財布から2千円をだした。
 店員さんは少し嫌そうな顔をしながら2千円を受け取り「こちらお釣りの758円です」と渡して来た。
 お釣りが細々するのが嫌なのかと少しイラついたがグッと抑えて「ありがとうございます」と言い商品とお釣りを受け取った。
 店を出てマンションに向かう。
 と言ってもほんと数歩の所にあるから一瞬でマンションに着くのだが。
 マンションに入る。
 エントランスはさっきのスーパーとは違い、クーラーの性能が違うのかとても涼しかった。
 部屋の番号を打ち、オートロックを解除してエレベーターに乗り込んだ。

 「さっきの店員さん、愛想悪かったね」
 「まぁ、いいよあれくらい。少しイラついたけど」 
 「私もー、あそこではーちゃんに舌打ちとかしてたら殴ってたかも」
 
 それはやりすぎじゃなかと思いながら私は苦笑いをした。
 4階に着き部屋の前まで来た。
 扉を開けて中に入ると小太郎が居た。

 「あ、姉貴おかえり。それとえりちゃんも」
 「おいっす、小太郎ただいま~」
 
 諸悪の根源とでも言った所だろうか。
 こいつが絵梨香を家に住むことを許可しなければと思いながら私は少し機嫌悪そうに「ただいま」と返した。

 「姉貴何か、怒ってる?」
 「別に」
 「そ、そっか……」
 少し気まずくなってしまったので話のネタを探す。
 そう言えば、この人は望海ちゃんに勉強を教えるだかで家に泊まっていたんだっけ。
 話のネタも無いところだし、せっかくなら聞いてみよう。

 「そういえばさ、望海ちゃんとどうだったの?」
 「ん?あー勉強教えるって件?」
 「そう」
 「いやーそれがさ、俺が連絡したら「是非!教えてください!」って来たから家に行って勉強教えてあげたのさ」
 「うん」
 「だけど望海って全く勉強出来なくてさ、もう学校の宿題ですらチンプンカンプンな感じなのさ」
 
 あの子勉強出来なかったんだ。
 
 「それでまぁ、何とか数学の宿題は片付いたし良い時間だから帰ろうとしたら「もっと教えてください!」なんて言われてさ、無理にでも帰ろうと思ったけど望海の親がまた面倒でさ」
 「ふむふむ」
 「俺が帰ろうとしたら望海の親が帰って来て「まぁ!望海のお友達!?どうぞ遊んでって!」って遊び終わった後なのに遊んでけってうるさくてさ、そのまま第二ウェーブ突入だよね」
 「でも、泊まる必要無かったじゃん」
 「それは、望海が「全部宿題終わらせたいから泊まって良いから教えて」ってうるさくて……」
 「ふーん」
 「姉貴、ジト目やめてくれ……頼むから」
 「体の関係とか持ったりしてないよね?」
 「な、なななんてこと聞くんだよ!これでも俺は今年受験生なんだぞ!そんな事しねぇよ!」

 受験生が関係あるかは分からないが小太郎の反応からしてそうゆう事はしていなそうだ。
 気まずくなったのかいつの間にか絵梨香は居なくなっていた。
 取りあえず買って来た物を冷蔵庫に詰めて、手を洗いに洗面所に向かった。
 洗面所の扉を開けるとそこには全裸の絵梨香が居た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

処理中です...