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第61話 竜王オーリヴェール 2
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「あの、俺」
部屋に戻ったびしょ濡れの二人は、お互いの体を拭き合い、それぞれの服を身につけている。ソリティアの姿は既になかった。
「実は俺、お願いがあるんです」
「願い? 前も聞いたやつ?」
「ちょっと進化しました。でも今は言いません。ユカリノ様の望みを叶えてから言いますね」
「わかった。お前の言葉を聞ける日を待っているよ」
ユカリノはあえて何も聞かないことにした。今はやるべきことがあるのだ。
「って、あれ? さっきも思いましたけど、ユカリノ様、また少し大きくなられました?」
帯を結んでやりながらオーリは意外そうに言った。
「なんだ、失礼だな」
「俺を追い越さないでくださいよ」
「できるか、そんなこと!」
「ですよね。でも確かにいろんなところが育ってるなぁ」
「あまり見るな。貧弱なのはわかってる」
ユカリノは今更のように、背中を向けた。
「貧弱? 冗談でしょ。でも、今は夜に備えて眠りましょう」
「……うん。でも、昼間に随分寝たから。あまり眠くない」
「じゃあ、俺は眠りますから、横にいてください。離れないでね」
「わかった。オーリを抱くよ」
「えっ!?」
オーリは目を見張った。
「だって、いつもオーリは私を抱っこしてくれているだろう? 今日は私が背中に回る」
「じゃあ、お願いします。抱っこして」
オーリは大きな体を布団に入れた。
「うーん。ユカリノ様の匂いがする……気持ちい~」
「黙って寝ろ! 昨夜も戦っていたんだろう?」
「ん~、大したことなかったし~」
オーリは既に眠そうにもごもご言っている。
「そんな訳あるか」
「ほんとですぅ……」
「はぁ」
ユカリノも、もう理解している。
ケガレを呼んでいるのは、陵墓に眠る竜族の男なのだ。
ケガレは彼によって作り出され、彼に命じられ恐れながらも従い、人間を滅ぼそうとしている。そしてその力を結集し始めた。
アルブレロは知らぬ顔をしているが、内心は必死になっているに違いない。
だから、ヤマトを管理して戦わせ、竜族の末裔を探して血を欲し、二つの種族の血を混ぜて武器を作り、掛け合わせて強い子を産ませようと企んでいる。
おそらく生まれた子も道具になるのだろう。
オーリを道具になど、絶対にさせない!
ユカリノは、大きな体に回した腕に力を込めた。
「オーリは私のものだ!」
青年らしい、太い寝息とかすかな汗の匂い。ユカリノが心から安心できる音と香りだ。
ゆったりともたれかかっているうちに、ユカリノも再び睡魔に誘われる。
お前のそばが、私の居場所なんだな……オーリ。
そうしてユカリノも目を閉じた。
「残酷です……ユカリノ様ぁ」
体を丸めたオーリの情けない声が漏れてきたのは、その五分後のことだった。
部屋に戻ったびしょ濡れの二人は、お互いの体を拭き合い、それぞれの服を身につけている。ソリティアの姿は既になかった。
「実は俺、お願いがあるんです」
「願い? 前も聞いたやつ?」
「ちょっと進化しました。でも今は言いません。ユカリノ様の望みを叶えてから言いますね」
「わかった。お前の言葉を聞ける日を待っているよ」
ユカリノはあえて何も聞かないことにした。今はやるべきことがあるのだ。
「って、あれ? さっきも思いましたけど、ユカリノ様、また少し大きくなられました?」
帯を結んでやりながらオーリは意外そうに言った。
「なんだ、失礼だな」
「俺を追い越さないでくださいよ」
「できるか、そんなこと!」
「ですよね。でも確かにいろんなところが育ってるなぁ」
「あまり見るな。貧弱なのはわかってる」
ユカリノは今更のように、背中を向けた。
「貧弱? 冗談でしょ。でも、今は夜に備えて眠りましょう」
「……うん。でも、昼間に随分寝たから。あまり眠くない」
「じゃあ、俺は眠りますから、横にいてください。離れないでね」
「わかった。オーリを抱くよ」
「えっ!?」
オーリは目を見張った。
「だって、いつもオーリは私を抱っこしてくれているだろう? 今日は私が背中に回る」
「じゃあ、お願いします。抱っこして」
オーリは大きな体を布団に入れた。
「うーん。ユカリノ様の匂いがする……気持ちい~」
「黙って寝ろ! 昨夜も戦っていたんだろう?」
「ん~、大したことなかったし~」
オーリは既に眠そうにもごもご言っている。
「そんな訳あるか」
「ほんとですぅ……」
「はぁ」
ユカリノも、もう理解している。
ケガレを呼んでいるのは、陵墓に眠る竜族の男なのだ。
ケガレは彼によって作り出され、彼に命じられ恐れながらも従い、人間を滅ぼそうとしている。そしてその力を結集し始めた。
アルブレロは知らぬ顔をしているが、内心は必死になっているに違いない。
だから、ヤマトを管理して戦わせ、竜族の末裔を探して血を欲し、二つの種族の血を混ぜて武器を作り、掛け合わせて強い子を産ませようと企んでいる。
おそらく生まれた子も道具になるのだろう。
オーリを道具になど、絶対にさせない!
ユカリノは、大きな体に回した腕に力を込めた。
「オーリは私のものだ!」
青年らしい、太い寝息とかすかな汗の匂い。ユカリノが心から安心できる音と香りだ。
ゆったりともたれかかっているうちに、ユカリノも再び睡魔に誘われる。
お前のそばが、私の居場所なんだな……オーリ。
そうしてユカリノも目を閉じた。
「残酷です……ユカリノ様ぁ」
体を丸めたオーリの情けない声が漏れてきたのは、その五分後のことだった。
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