内気な私に悪役令嬢は務まりません!

玉響

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学園二年生編

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「ど………どう、して………?」

震えて、消えそうな声で何とかそれだけ声を絞り出す。
すると、オルティアは少し驚いたような顔をした。

「え、まさか……気が付かれないとでも思ってたの?」

その様子だと、まさか………バレバレってこと?
私は更に顔が熱くなるのを感じた。

「ほんっとうにジュリアは純粋だよね。アルフレッドが執着したくなるのも、分かるな。普通に見ていれば、気がつくと思うけどさ………俺の場合は、特に。好きなコが、誰を目で追っているかを見れば嫌でも気がつくさ」

そう言ってオルティアは、少し寂しそうな顔をした。

「す、好きな………コ………?」

思わず、声がうわずってしまう。
これは………この流れは、流石に言葉にされなくても予想がついてしまう。
すると、オルティアのアクアマリン色の瞳が、真っ直ぐに私を射抜いた。

「………俺………ジュリアが好きなんだ。ずっと。………最初は前世で、ゲームの中の崇高な……気高いジュリエット・カラミンサに。そして、一年前に君に出会って………内気で、恥ずかしがり屋で、でも優しくて可憐な………ジュリアに。………俺は、君に二度恋をしたんだ」

私の胸が、締め付けられるような痛みを訴えた。
それは、アルフレッド様に抱く感情とは全く異なる………それは、多分………罪悪感。
だって、私の気持ちは初めからアルフレッド様のもの。オルティアの気持ちを知ったからと言っても、その気持ちには答えられないということに、気がついているから………。

その時、お昼休みの終わりを告げる、ベルが鳴った。

「………授業、始まったね」

返す言葉が見つからない私を気遣っているのか、まるで何事もなかったかのように、オルティアが呟いた。
それがまた何とも言えずに痛々しくて。………オルティアを傷付けているはずの私が、堪えきれずに泣いてしまう。
止めようとしても、次から次へと涙が溢れてくる。

「…………っ」

違うのに。
私は涙を流していい立場じゃない。泣きたい気持ちなのはオルティアの方だ。
なのに、どうして涙が止まらないの………?

「………ジュリア?!」

突然泣き出した私に、オルティアが慌てる。

「ご………ごめん、………なさっ………」

泣きじゃくる私を慰めようとしてくれたのか、オルティアが私を抱き締め、背中を擦ってくれた。
その手の温かさに、私は何とも言えない安堵感を覚えた………その時だった。

「ジル…………何を、している?」

地を這うような低い声が耳に届いて、私ははっとして顔を上げた。
そこには、見たこともないような恐ろしい形相をした、アルフレッド様が立っていた。
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