内気な私に悪役令嬢は務まりません!

玉響

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学園二年生編

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翌日。
登校した私を待っていたのは、クラスメイトからの冷たい視線だった。

「………?」

アルフレッド様は今日は公務があって登校出来ない日だった。だから朝から一人なんだけれど、それはしばしばあることで、珍しいことじゃない。
でも、こんな空気感は、初めてだった。
皆私を遠巻きにして、こちらをちらちらと見ながらなにやらひそひそ話をしているようだった。

「あー……ジュリエットちゃん……」

制服を着崩したネイサンが、私に声を掛けてきた。

「あのさ。………ちょっと、いい?」

小声で囁いて、ネイサンは私を教室から連れ出した。
招き入れられたのは、物置代わりになっている空き教室だった。

「ね、ネイサン様?」

ネイサンはとってもチャラいけど、私に対して積極的には絡んでこないし、面白がっているだけで私に興味はない。それなのに、今日に限ってどうしたんだろうと思案しながらネイサンについていくと、すぐに理由が分かった。

「あのさ。……昨日のことが噂になってるんだ」

昨日のこと?私は一瞬何のことかわからずに、昨日の出来事を思い出し、はっとした。

「それって………もしかして……」
「オーリーと一緒に授業をサボって、しかも人目につかない場所で抱き合っていたって、いつのまにか噂が出回っていたんだ……。それで、君を探しに行った殿下がそれを目撃して激怒したって……」

気まずそうに目を泳がせながら、ネイサンが噂の内容を教えてくれた。
私は、愕然とする。

あの場には、ほかの生徒はいなかった。それなのに、ほぼ正確に、事実が知れ渡っている。
……抱き合っていた、というのは本当は違うんだけど、でも普通に傍から見たら、そう捉えられても仕方がないかもしれない。

「………そんなはず、ないよな?ジュリエットちゃんがオーリーを好きだなんて……」

困ったような表情を浮かべたネイサンが、気遣うように俯いた私の顔を覗き込んできた。
どう答えたらいいのかわからず、私はぎゅっと唇を噛む。

「オーリーは、ただの友達だろう?」
「……そ、そうです。私は、オルティアに対して、特別な気持ちを抱いてはいません……。だから、やましい気持ちはありませんが、抱き合っていた、というのは……その、本当なのです……」
「なんだって?!」

ネイサンが、茫然とした表情を浮かべて私を見た。


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