7 / 9
危ない仕事【2】
しおりを挟む
壁に寄りかかる犬飼さんの、頭から血が流れている。目は腫れ、はだけた首もとにも痣がついていた。部屋は荒れ、壊れた物や書類が散乱している。
憤慨する課長が、僕を睨み付けた。
「お前か! お前がコイツに言ったのか! お前がポンコツから悪いんだろうが!」
意思と関係なく体が竦んだ。こんなのは、仕事だとしても怖すぎる。
「さすがに二人も怪我を負っては、言い訳できなくなりますよ、課長」
低く沈んだ声が聞こえた。体勢とスーツを正す犬飼さんは、黒い目で課長を睨んだ。明らかな挑発を受け、課長の視線が移動する。
「それもそうだなぁ、有馬。お前、出来るからって調子乗るなよ? ここでの上司は俺なんだから、俺に従ってろ!」
「そうして会社のために死ぬまで働けと? 毎日、日を跨いでまで? 法に違反しますよ」
敢えて、核心部を刺しているのが分かった。僕と会話している時と何も変わらない。ただ、淡々と挑発していた。
なのに、噛みつく姿は狂犬を感じさせる。それほどの勇気があるのに、なぜ彼は。
「無能なのが悪いんだよ! 第一、こんなんどこの会社もやってるだろうが! 終わんなきゃ終わるまでやる! 普通だろ!」
言いながら殴る。また殴る。頭では止めに入っているのに、体が動かなかった。繰り返される暴力を、警察が止めに入るまで見ていた。
全て終わった犬飼さんは、真っ黒な瞳で微笑していた。
憤慨する課長が、僕を睨み付けた。
「お前か! お前がコイツに言ったのか! お前がポンコツから悪いんだろうが!」
意思と関係なく体が竦んだ。こんなのは、仕事だとしても怖すぎる。
「さすがに二人も怪我を負っては、言い訳できなくなりますよ、課長」
低く沈んだ声が聞こえた。体勢とスーツを正す犬飼さんは、黒い目で課長を睨んだ。明らかな挑発を受け、課長の視線が移動する。
「それもそうだなぁ、有馬。お前、出来るからって調子乗るなよ? ここでの上司は俺なんだから、俺に従ってろ!」
「そうして会社のために死ぬまで働けと? 毎日、日を跨いでまで? 法に違反しますよ」
敢えて、核心部を刺しているのが分かった。僕と会話している時と何も変わらない。ただ、淡々と挑発していた。
なのに、噛みつく姿は狂犬を感じさせる。それほどの勇気があるのに、なぜ彼は。
「無能なのが悪いんだよ! 第一、こんなんどこの会社もやってるだろうが! 終わんなきゃ終わるまでやる! 普通だろ!」
言いながら殴る。また殴る。頭では止めに入っているのに、体が動かなかった。繰り返される暴力を、警察が止めに入るまで見ていた。
全て終わった犬飼さんは、真っ黒な瞳で微笑していた。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる