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「レオニード……随分偉そうなことを言ってくれるな……だが俺の幸せは俺が決める。そしてこの女の幸せも俺が決める! これまでそうして来たのだからな!」
「その関係がもう終わったと何故気づけないのですか? アニエルはもう僕の婚約者なのですよ」
「だから関係を元に戻そうって話をしているのよ! レオ、いいから私とよりを戻しなさいな。その方が絶対幸せになれるわよ」
レイチェル様の言葉に大きくため息をつくレオ様。
「レイチェル。君もこの人と同じで僕自身を認めてくれるようなことはなかった。生涯を共にする人。その人をありのまま愛すればいいのに、君たちはその存在の人格を否定して、自分の思い通りにコントロールしようとする。そんな君たちと共に生きることが幸せなわけないじゃないか」
私はレオ様手をギュッと掴む。
レオ様は私の顔を見て笑顔を浮かべる。
「……そのままでいいんだ。自分らしく生きられることが一番大事なんだよ。自分をありのままに認めてくれる存在が、きっと一番必要なんだ」
「男なら男らしくいればいいのよ! いつもヘラヘラして、威厳も何もないあんたにもっといい生き方を教えてあげてるだけなのよ、こっちは!」
「……もういい。話にならない。僕たちはこの辺りで失礼するよ」
そう言うとレオ様は、私の手を引いて走り出した。
「ま、待て!」
全力で逃げる私とレオ様。
ニコライド様とレイチェル様が鬼の形相で追いかけて来る。
「自分が一番正しいと考えている人は他人の意見を聞くことができない。ある意味、悲しい存在なのかもしれないね、あの二人は」
「私もそう思います」
あの人たちといると絶対に不幸になってしまう。
お互いに歩み寄り、お互いの大事なことを求めあうところに真の幸せがある。
自分の考えだけを押し付けるような人と一緒になるなんて、絶対に幸せになれない。
私は歩み寄ってくれる存在を見つけた。
だから何が何でも絶対にこの方を手放したくないし離れるつもりもない。
ニコライド様に逆らったら大変なことになるかも知れない。
だけどそんな些細なことはどうでもいいのだ。
自分の幸せは、この人と共にあるのだから。
馬車に乗り込み、すぐさまに走らせてもらう。
ニコライド様たちは後ろで何やら叫んでいる様子。
そしてレイチェル様が乗って来た馬車に乗り、こちらを追いかけて来た。
「……どこまで追いかけて来るつもりでしょうか?」
「さぁ……地獄の果てまでかもしれないね」
彼らには一生付きまとわれるかもしれない……
そんなことを想像し、私は背筋をブルッと震わせた。
「その関係がもう終わったと何故気づけないのですか? アニエルはもう僕の婚約者なのですよ」
「だから関係を元に戻そうって話をしているのよ! レオ、いいから私とよりを戻しなさいな。その方が絶対幸せになれるわよ」
レイチェル様の言葉に大きくため息をつくレオ様。
「レイチェル。君もこの人と同じで僕自身を認めてくれるようなことはなかった。生涯を共にする人。その人をありのまま愛すればいいのに、君たちはその存在の人格を否定して、自分の思い通りにコントロールしようとする。そんな君たちと共に生きることが幸せなわけないじゃないか」
私はレオ様手をギュッと掴む。
レオ様は私の顔を見て笑顔を浮かべる。
「……そのままでいいんだ。自分らしく生きられることが一番大事なんだよ。自分をありのままに認めてくれる存在が、きっと一番必要なんだ」
「男なら男らしくいればいいのよ! いつもヘラヘラして、威厳も何もないあんたにもっといい生き方を教えてあげてるだけなのよ、こっちは!」
「……もういい。話にならない。僕たちはこの辺りで失礼するよ」
そう言うとレオ様は、私の手を引いて走り出した。
「ま、待て!」
全力で逃げる私とレオ様。
ニコライド様とレイチェル様が鬼の形相で追いかけて来る。
「自分が一番正しいと考えている人は他人の意見を聞くことができない。ある意味、悲しい存在なのかもしれないね、あの二人は」
「私もそう思います」
あの人たちといると絶対に不幸になってしまう。
お互いに歩み寄り、お互いの大事なことを求めあうところに真の幸せがある。
自分の考えだけを押し付けるような人と一緒になるなんて、絶対に幸せになれない。
私は歩み寄ってくれる存在を見つけた。
だから何が何でも絶対にこの方を手放したくないし離れるつもりもない。
ニコライド様に逆らったら大変なことになるかも知れない。
だけどそんな些細なことはどうでもいいのだ。
自分の幸せは、この人と共にあるのだから。
馬車に乗り込み、すぐさまに走らせてもらう。
ニコライド様たちは後ろで何やら叫んでいる様子。
そしてレイチェル様が乗って来た馬車に乗り、こちらを追いかけて来た。
「……どこまで追いかけて来るつもりでしょうか?」
「さぁ……地獄の果てまでかもしれないね」
彼らには一生付きまとわれるかもしれない……
そんなことを想像し、私は背筋をブルッと震わせた。
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