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甘すぎるのも悪くない
甘くはなれない
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先輩のバイトがある日は無理だけど、それ以外の日は相変わらず一緒に登下校。
変わったのは、放課後に勉強タイムができたこと。さすがに試験があるから、あっちの方はあまりさせてもらえないけど、週1はさせてくれるって約束も取り付けた。
先輩に触れるのは嬉しいし、触ってもらえるのも幸せだし、季節はもう新緑だけどおれ的には毎日春です。
いつものパン屋で待ち合わせ。今日は珍しく先輩が遅刻してきた。
「悪い、待ったか?」
「少しだけ。じゃあ行きますか?」
「いや、一個だけパン買ってく!」
まあ、時間あるからいいけど……。
相変わらず甘そうなの買うなぁ。おれも甘い物は好きだけど、先輩の足下にも及ばない。
先輩は新発売のホワイトチョコプリンシュークリームを買って満足そうにしている。
「珍しいですね、先輩が遅れるの」
「ああ。昨日の夜あまり眠れなくてな」
「……おれのことでも、考えてたんですか?」
「ああ」
「え、ホントに!?」
「明日はまたあんな怖い目にあうのかなと思ったら、恐怖で眠れなかったんだ」
「……ほ、本当……に?」
「バーカ、冗談だよ」
「どっちが本当でどっちが冗談ですか……」
先輩は悪びれない顔で笑っている。
おれは貴方の一言で一喜一憂だっていうのに。
でもいくら意地悪されたって今日のおれは上機嫌なんだから。明日はお試しの日だもんな。
今度こそ指を二本は入れてやる。先輩に一回でも多く喘がせてやる。
「後輩くんてば、エロい顔」
「えっ!?」
「何だよ、マジか? ったく……」
「か、カマかけましたね、酷いです!」
「ぼーっとしてるからだ」
学校が見えてきたところで、先輩がぼそりと言った。
「俺と一緒に居るときに、俺以外のこと考えてるのかと思ったんだよ」
そう言って、ぽんとおれの背中を叩く。
「なんてな」
ちょっと意地の悪い笑みを浮かべて、先輩が駆けていった。
「それじゃ放課後な~」
えっ……ええー。ホント、どこまで冗談、なんですか、もう……!
おれ今絶対、頬赤い、やばい! 嫉妬してくれた? 本当に?
あの誰にでも優しい先輩がおれだけを特別に思ってくれる幸せ……。今日もいい一日になりそうだと思ったのに……。
「あの、これ白瀬先輩に……」
教室へ入ると毎度お馴染みラブレター。
本当毎日よく飽きないものだと思う。
でもおれは、笑顔でそれを受け取った。
「じゃあ渡しておくけど、先輩はいっぱいもらってるから見てくれないかもしれないよ? いい?」
「はい……!」
悪いけど……。先輩がこれを見ることはないんだよ。
放課後には君の恋心、焼却炉で燃えてしまいます。
ごめんね、あの人だけは、誰にも譲れません。一通でも芽は摘ませてもらうからね。
甘すぎるのも悪くない……。けど、おれは先輩以外に対しては、そう甘くはなれないみたいです。
変わったのは、放課後に勉強タイムができたこと。さすがに試験があるから、あっちの方はあまりさせてもらえないけど、週1はさせてくれるって約束も取り付けた。
先輩に触れるのは嬉しいし、触ってもらえるのも幸せだし、季節はもう新緑だけどおれ的には毎日春です。
いつものパン屋で待ち合わせ。今日は珍しく先輩が遅刻してきた。
「悪い、待ったか?」
「少しだけ。じゃあ行きますか?」
「いや、一個だけパン買ってく!」
まあ、時間あるからいいけど……。
相変わらず甘そうなの買うなぁ。おれも甘い物は好きだけど、先輩の足下にも及ばない。
先輩は新発売のホワイトチョコプリンシュークリームを買って満足そうにしている。
「珍しいですね、先輩が遅れるの」
「ああ。昨日の夜あまり眠れなくてな」
「……おれのことでも、考えてたんですか?」
「ああ」
「え、ホントに!?」
「明日はまたあんな怖い目にあうのかなと思ったら、恐怖で眠れなかったんだ」
「……ほ、本当……に?」
「バーカ、冗談だよ」
「どっちが本当でどっちが冗談ですか……」
先輩は悪びれない顔で笑っている。
おれは貴方の一言で一喜一憂だっていうのに。
でもいくら意地悪されたって今日のおれは上機嫌なんだから。明日はお試しの日だもんな。
今度こそ指を二本は入れてやる。先輩に一回でも多く喘がせてやる。
「後輩くんてば、エロい顔」
「えっ!?」
「何だよ、マジか? ったく……」
「か、カマかけましたね、酷いです!」
「ぼーっとしてるからだ」
学校が見えてきたところで、先輩がぼそりと言った。
「俺と一緒に居るときに、俺以外のこと考えてるのかと思ったんだよ」
そう言って、ぽんとおれの背中を叩く。
「なんてな」
ちょっと意地の悪い笑みを浮かべて、先輩が駆けていった。
「それじゃ放課後な~」
えっ……ええー。ホント、どこまで冗談、なんですか、もう……!
おれ今絶対、頬赤い、やばい! 嫉妬してくれた? 本当に?
あの誰にでも優しい先輩がおれだけを特別に思ってくれる幸せ……。今日もいい一日になりそうだと思ったのに……。
「あの、これ白瀬先輩に……」
教室へ入ると毎度お馴染みラブレター。
本当毎日よく飽きないものだと思う。
でもおれは、笑顔でそれを受け取った。
「じゃあ渡しておくけど、先輩はいっぱいもらってるから見てくれないかもしれないよ? いい?」
「はい……!」
悪いけど……。先輩がこれを見ることはないんだよ。
放課後には君の恋心、焼却炉で燃えてしまいます。
ごめんね、あの人だけは、誰にも譲れません。一通でも芽は摘ませてもらうからね。
甘すぎるのも悪くない……。けど、おれは先輩以外に対しては、そう甘くはなれないみたいです。
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